『学びを結果に変えるアウトプット大全』要約まとめ

ビジネス書を読んだり、セミナーに参加して勉強しているのに、なかなか結果が出ない……。それは、「インプット過剰/アウトプット不足」という状態かもしれません。自己成長を遂げるには、知識をインプットする以上に、人に話したり感想を書くといった“アウトプット”が重要。本書は脳科学の見地から80個のアウトプット術を教えています。ぜひ実践してみてください。

 知識を詰め込むインプットの学びだけでは、現実は変わらない。結果を出すには、インプットよりもアウトプットを重視すべきだというのが本書のテーマとなる。そこで精神科医の著者は、脳科学の見地と自らの実践からさまざまなアウトプット術を解析し、効果的な方法やコツを教えている。

 実際に知識を「使う」ことで、脳はそれを「重要な情報」ととらえ、長期記憶として保存する。こうした脳科学の法則を知らないと、非常に効率の悪い学び方や働き方になってしまう。だからこそ、意識的に「使う(=アウトプット)」ことが重要になるのだ。

 著者は13年間、毎日メルマガを発行し、毎日3時間以上の執筆を11年間続け、10年連続で年2~3冊の著書を上梓した。さらに9年連続で新作セミナーを毎月2回以上開催。その一方で、月10本以上の映画鑑賞、月20冊以上の読書、週4~5回のジム通いという日々を送っている。寝る時間もなさそうだが、毎日7時間以上の睡眠を確保しているそうだ。

 なぜこんなことができるかというと、40歳からアウトプットの方法を工夫するようになり、学びと自己成長のスピードを最大化することに成功したからだという。著者のアウトプット術は80個にわたり、まさに「大全」といった内容だ。すべてを紹介することはできないので、いくつかエッセンスを紹介したい。

 インプットとは、脳の中に情報を「入力」することであり、「読む」「聞く」などがある。一方、アウトプットは、脳に入ってきた情報を処理し、外界に「出力」することであり、「話す」「書く」「行動する」といったものがある。

 自己成長したければ、インプットとアウトプットをどんどん繰り返していくしかない。著者が「成長の螺旋階段」と名付けたように、これが一巡するたびに少しずつ成長していくのだ。ただし、多くの人はインプットが過剰で、アウトプット不足に陥っている。むしろインプット3:アウトプット7くらいの比率がいいそうだ。

 本をたくさん読んでいる人のほうが自己成長できそうなものだが、インプットの量と自己成長は比例しない。月3冊読んで3冊ともアウトプットする人と、月10冊読んで一冊もアウトプットしない人では、成長するのは前者なのだ。

 一番簡単なアウトプットは「話す」こと。本の感想、映画の感想、グルメの感想など、まずは家族や友人に話すことからスタートするといい。「自分の意見」「気づき」をひとつでも盛り込むことが、感想を話すコツとなる。

「話す」と並ぶアウトプットの基本「書く」では、タイピングよりも手書きのほうが効果が高い。なぜならブローカ野という言語処理にかかわる部位が、手書き中のみ活性化するからだ。本を読むにしても、書き込んだり、アンダーラインを引きながら読んだほうが記憶に残りやすいのだ。

「書く」となると、文章が苦手という人も多い。文章が上手くなるには、たくさん読んで、たくさん書くしかないのだが、いくら文章を書いても、読んだ人のフィードバックがなければ上達しないものだという。そこで著者は、SNSやブログに文章を書くことを薦める。批判にさらされることを危惧するかもしれないが、人に「読まれる」という緊張感が、集中力を高め、文章力を鍛えてくれるのだ。

 もっとも効果的なアウトプット法としては、「質問する」がある。他の人に質問するのもいいが、自分自身に質問すると、脳は圧倒的に活性化し、必要な情報を集めてくれるのだ。これは「選択的注意」という脳のGoogle検索のようなもので、たとえば「自分はその本から何を一番学びたいのか?」と自分に問いかけてから読むと、脳は本の中からその答えを必死に探すようになる。たったこれだけで学びの効率は大幅にアップするはず。

 アウトプットにおいて「話す、書く」の他にもうひとつ重要な要素が、「行動する=Do」である。チャレンジのないところに自己成長はない。なぜならチャレンジすると、脳内物質のドーパミンが出るからだ。ドーパミンが分泌されると、集中力とやる気が高まり、記憶力も高まる。この作用をいかに意識的に活かすかが、アウトプットのコツと言えそうだ。

 チャレンジを恐れる人は、高すぎる目標や難易度の高い課題に挑戦しようとしている場合がある。そうすると不安や恐怖心が高まるばかりだ。そうではなく、少しがんばれば達成できる「ちょい難」くらいに目標設定するといいそうだ。実は、これくらいの難易度にチャレンジするとき、もっともドーパミンが分泌されるのだ。

 80個のアウトプット術の中で最も自己成長につながるのが、「教える」ことだという。人に教えることを前提に勉強するだけで記憶力がアップするそうだ。また、自分の理解度や不十分な点が見えてくるため、しっかり勉強して補おうとする。「教える」はアウトプットにしてフィードバックであり、さらなるインプットでもある。自己成長の3ステップすべてを含んだ最強のアウトプット術と言えるだろう。

「話す」「書く」「行動する」といったアウトプット術は、同時にコミュニケーション術でもある。これを活用すれば、人間関係は豊かになり、楽しい人生になるはず。実は精神科医の著者が、こうしたビジネス書を書いた理由がここにある。それは、ひとりでも多くの人が仕事や学業によるストレスや人間関係の悩みから開放されてほしいという願いだ。その重要な鍵となるのが「アウトプット」なのだ。

『学びを結果に変えるアウトプット大全』 3つのポイント

●アウトプットの基本は、「話す」「書く」「行動する」

●知識は“使う=アウトプットする”ことで、長期記憶になる

●インプット3:アウトプット7の比率で、「入力」と「出力」を繰り返す

文●大寺 明

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