横浜の風を感じて「トゥクトゥク」でフォトクルージング。インスタ映えする新手の商売で、目指すは横浜名物! 「TUKx2」の独立ノウハウ

足立吉雄/1971年横浜生まれ。
大学卒業後、パチスロメーカーの営業、広告代理店等を経て、家業の足立玩具店を継ぐ。店長を6年間務めたが、店舗閉店にともない薬品メーカーや大手家電メーカーに勤務。2017年5月に「有限会社 足立玩具店」を「ネオスタイルラボ」に社名変更し、同年8月「YOKOHAMA TUKx2」としてトゥクトゥクのフォトクルージング事業をスタートさせた。


――独立DATA――
46歳で独立
【開業資金/370万円】
・トゥクトゥク車両代+カスタム費/約300万円
・メンテナンス費/10万円
・内装費/5万円
・社名変更費用/10万円
・ホームページ制作費/15万円
・商標登録/30万円

開業資金はすべて起業のための貯金でまかなった。外装のネオンなどは業者に依頼し、内装のネオンやスピーカーは自作して費用を抑えている。その他の費用として、家業の有限会社を「ネオスタイルラボ」に社名変更する行政書士の費用10万円と、「TUKx2」の商標登録が30万円かかっている。商標登録はひとつの登録で数万円だが、足立さんはレンタカー用やフランチャイズ用など事業内容を変えて4つ登録したため、この金額になっている。

――事業内容――
有限会社ネオスタイルラボ

トゥクトゥクで、横浜の観光スポットをめぐるフォトクルージングサービスを行う。料金(総額)は30分6,000円、1時間12,000円など各種あり(6名まで同一料金)、チェキ付き。その他、車両タッピング広告、各種イベントの企画制作、トゥクトゥクの車両販売を予定している。

タイでは庶民の足としてお馴染みの「トゥクトゥク」が日本でも乗れる⁉ ただし、タクシーではありません。横浜の赤レンガ倉庫や繁華街で見かける白いトゥクトゥクは、横浜の観光スポットをクルージングする写真サービスなのです。つまり、目的地への移動手段ではなく、観光都市「横浜」をトゥクトゥク&写真で楽しむための新手の商売! インスタ映えすること間違いなしの「YOKOHAMA TUKx2」を考案した足立さんに話を伺いました。

広告関連の仕事を転々とした後、家業の老舗玩具店を継いだ。ところが、大手家電量販店の進出により、閉店を余儀なくされ…

 私が学生だった頃は就職氷河期まっただ中で、最終的に入社を決めたパチスロメーカーは、1600人くらい受けて10人しか入れないという難関でした。最終面接のときに「日本にカジノの島を作りたい」という話をしたのを覚えていますね。ちなみに、そのときのカジノの夢が、めぐりめぐって現在の私のビジョンにもつながってくるんです(笑)。

もともと広報希望で入社したのですが、配属されたのは営業職。しかも人員削減のためスロットのメンテナンスも営業の仕事で、朝から夕方まで神奈川のパチスロ店を周ってメンテナンス業務をして、店が閉店する22、23時以降にようやくオーナーに営業するわけです。それから飲みに連れていかれることもしょっちゅうで、帰宅するのは早くて深夜2時、朝帰りもザラでしたね。生活リズムが崩れて倒れそうになり、1年で辞めてしまいました。

それから某大手広告代理店の系列会社に転職しました。商品キャンペーンの企画制作の仕事では、缶コーヒーの景品で野茂英雄のジャンパーを企画したり、JAの「貯金魚」をアイデアから企画するといった仕事を手がけました。そのとき知り合った社長に引き抜かれて、小さい広告代理店に移り、5年ほど勤めた後、今度はクライアントだった社長に引き抜かれ、パチンコチェーンの会社に移って広告制作と全店舗の管理の仕事を3年ほどしていました。

 実はひとつの会社に長く居続けなかったのは、家業の「足立玩具店」を継ぐつもりだったからです。祖父の代から続く横浜の老舗玩具店で、横浜タカシマヤの真向かいの相鉄ジョイナス1Fの路面店という恵まれた立地もあり、小規模の玩具店では坪単価の売上で全国トップ10に入る有名店でした。30歳くらいで店を継ぐ予定だったのですが、代表取締役の父と店長の叔父の確執があり、なかなか店を継ぐタイミングが訪れなかったため、会社勤めを伸ばしていたわけです。

ようやく30代半ばで店を継いだのですが、そのときには最高益の頃に比べ、売上が半分くらいになっていた。それなりにいい売上でしたが、家賃が相当高いのでギリギリの経営状態だったんですよ。さらにその1年後にヨドバシカメラがオープンして、ワンフロアを使ったオモチャ売り場ができた。いくら路面店とはいえスケール的にかなわないですし、うちは定価商売だったので、歩いて5分の所で3割引きで売られたら太刀打ちできない……。なんとか6年ほど店を続けたんですが、40歳のときに店を閉じることにしたんです。

トゥクトゥクのビジネスを模索するも、日本では乗車運賃をとって走ることができない。この問題をいかにクリアするか?

じゃあ次は何をしよう?と考えたとき、30代の頃から温めていた2つのアイデアが浮かびました。ひとつは、これまでにないたい焼き&立ち飲みの店。実は家業を継ぐ前に本当にやるつもりで物件を探したこともあった。結局、資金が用意できなかったのと、父に反対されてとん挫したんですけど、店も閉めたし、いよいよやってみようかと。

だけど、そのとき彼女と同棲していたので、結婚のことも考えてとりあえず再就職することにしたんです。薬品メーカーに勤めた後、大手カード会社に勤め、いずれも契約社員から正社員になることを求められましたが、断りました。いずれ自分の店をやるつもりで物件も探していたので、正社員になって自由に動けなくなることに抵抗があったんです。

 私は飲食業が未経験だったので、会社が終わった後、立ち飲み屋でバイトをやってみることにしました。1年ほど修業した結果、自分にはムリだと実感しましたね。それまでインスタントラーメンしか作ったことがなく、包丁も握ったことがなかった自分が飲食店をやろうなんて甘かった……と(苦笑)。

 それから大手家電メーカーの営業職に転職して3年ほど勤めたんですが、その間も、次は何をやろう?と考え続けていました。そのとき浮かんだのが、30代の頃から温めていたもうひとつのアイデアの「トゥクトゥク」だったんですよ。タイ旅行のときに乗ったことがあって、漠然と「トゥクトゥクを使って何かできないか」と考えていたわけですが、そのときは具体的に何をやるかまでは考えていなかった。

トゥクトゥクの良さは、風を感じられることです。まず、トゥクトゥクで横浜の景色を見ながら風を感じてほしいとと思いましたね。横浜は観光客が多いのでロケーション的にもトゥクトゥクは絶対に合うはずです。空には遊覧ヘリがあって、海にはクルージング船があるけど、陸には観光用の乗り物がない。タクシーは目的地にまっすぐ行くだけで景色を楽しむ感じでもないし、「あかいくつ」バスも実際はただのバスでイマイチだったんですよね。そう考えると、やっぱりトゥクトゥクがベストだろうと。

 トゥクトゥクを使ったビジネスを考えるために、日本の道路交通法や旅客運送法、道路運送車両法を全部調べました。ナンバーを付ければトゥクトゥクは日本で走らせられるけど、タクシーのように乗車運賃をとって走ることはできない。じゃあお客さんを乗せて走るためにはどうすればいいのか? そこから考えていったのが、フォトクルージングなんです。トゥクトゥクを使った移動式写真屋として観光スポットで写真を撮って販売するビジネスなら、何の問題もなくお客さんを乗せて走ることができるわけです。

独立に向け、人の流れを知るべくタクシーで1年間修業。並行して、こだわり抜いたフルカスタムのトゥクトゥクを完成させた

トゥクトゥクで起業することに決めて家電メーカーを退職した後、開業準備としてタクシー会社で1年間修業することにしました。どのエリアでどういうお客さんが乗車するか、人の流れを知りたかったというのもあるんですが、第二種運転免許が欲しかったというのもあります。1年間勤務すれば免許費用をタクシー会社が負担してくれることになっていたので、最初からきっちり1年間勤めて辞めるつもりでした。

 もちろんトゥクトゥクでタクシー業務はできないわけだから、第二種運転免許は必要ない。実はこれも先のことを見越してのことなんです。近い将来、日本にも必ずライドシェア・ウーバーが入ってくると予測しています。今のところ安全性に問題があるとしてタクシー業者が反対していますが、いずれ日本政府はウーバーを認可するはず。そのときタクシー業者を納得させるために、ウーバーをやるには第二種運転免許が必要という規制をかけるんじゃないかと思うんです。そうなったとき、トゥクトゥクでウーバーをやるために第二種運転免許が欲しかった。

 他にもトゥクトゥクはとても目立つので宣伝カーとして利用することや、結婚式の送迎サービスとして利用することも考えています。実はそれを見越して車体のカラーを白にしているんですよ。トゥクトゥクのフォトサービスがダメだったときに備えて、二重三重に保険をかけているわけです。私の性格なんですが、やることはこれまでにない斬新なものでも、先の先まで読んで石橋を叩いて渡るタイプなんですよね(笑)。

 並行してトゥクトゥクの車両を探したところ、名古屋と沖縄にトゥクトゥクの販売業者を見つけ、両方の車両に試乗して決めることにしました。名古屋の業者はマニュアル車を販売していて、沖縄の業者は日本仕様のオートマ車でした。タイではマニュアル車が一般的なんですが、タイ旅行のときにトゥクトゥクがエンストしていたのを思い出したんですよね。お客さんを乗せてギアチェンジすると衝撃もひどいし、日本で営業するにはオートマ車にすべきだと考えました。

タイのトゥクトゥクはオートバイのエンジンなんですが、私のトゥクトゥクは660ccの車のエンジンを積んだ完全日本仕様です。車種区分としては、トライク(3輪バイク)と同じ扱いなのでシートベルトを付けなくてもいいんですが、安全性を考えてシートベルトを付けています。フルカスタムなので車両ができるまでに半年ほどかかりましたね。その期間も見越してタクシーで働いていたわけです。

異国情緒あふれるトゥクトゥクで、国際都市・横浜の景色を堪能しながら、港町ヨコハマの“風”を感じてほしい

こうして2018年8月から横浜でフォトクルージングのサービスを始めました。これまでにないサービスなので、本当にお客さんが利用してくれるか未知数でしたけど、最初はほとんど乗る人がいなかった。週に3、4組という状況がひと月ほど続いて、9月から徐々にお客さんが増えていきました。たぶん認知されていなかったんでしょうね。続けていくうちに客数も安定してきたので、認知度が上がれば絶対に流行るはずだと思ってます。

 主に横浜の赤レンガ倉庫前で営業し、21時以降から野毛の繁華街に移動して22時まで営業しています。利用方法としては、最初に目的地と料金プランを選んでもらって、それに合わせてコースを考えます。たとえば目的地が横浜中華街で30分のプランなら、真っすぐ走ると15分で着いてしまうところを、観光スポットを周ったり、夜景スポットで撮影したりして30分に合わせます。そして、ポラロイドカメラで撮った写真を販売するという流れになります。

スピーカーでEDMを流したり、ネオンを光らせたりして、日本にいながら日本でないような異国情緒を演出しています。夏場はフルオープンで走るので、風が気持ちいいんですよね。冬場は透明シートをかけて、ブランケットとベンチコートを用意しています。缶ビールや缶酎ハイも飲みながら乗られるお客さんもけっこう多いんですよ。

 最初は「ちょっと高いな」と言われたりもするんですが、何人かで割り勘にすれば手ごろな値段になりますし、トゥクトゥクで横浜の夜景スポットを走ると、降りる頃には「この値段でこのサービスは安い!」と言われる方がほとんどです。私は横浜生まれ横浜育ちの人間なので、横浜の景色を見てほしいし、横浜の風を感じてほしい。横浜に来た人みんなが笑顔になって帰ってほしいと思ってます(笑)。

私のトゥクトゥクはとにかく目立つので、「なんだこれ?」となって写真や動画に撮って、インスタやツイッターにアップする人がけっこういるんですよ。だから宣伝費をかけなくても、走っていればSNSで拡散されて宣伝になる。石の上にも3年と言いますけど、とにかく今は認知度を上げて、流行るまでやり続けるしかない。まず地元の横浜でこのビジネスを成功させて、ゆくゆくは全国でフランチャイズ展開することを目指しています。

トゥクトゥク写真サービス 独立ノウハウ集

独立前

先の先を読み、可能性に賭けるべし

就職活動の最終面接で「カジノの島を作りたい」と話していた足立さんだが、四半世紀を経てカジノ合法化が現実味を帯びてきた。現在、足立さんは赤レンガ倉庫前で営業しているが、実はこの場所を選んだのも、近い将来、横浜のベイエリアにカジノができることを予測してのことなのだ。この読みが当たった場合、横浜のベイエリアは今以上に発展し、カジノ客や外国人観光客で溢れ返ることは間違いない。そのとき横浜名物として認知されていれば、横浜観光の記念に大勢の人が利用するはず。足立さんは常に先の先を読み、可能性に賭けて商売をしているのだ。

セールストークを身につけるべし

足立さんのトゥクトゥクは夜になると幻想的なネオンでライトアップされ、とにかく人の目をひく。道行く人が必ずといっていいほど足を止めて、しげしげと見てくるのだ。すると、足立さんはすかさず話しかけてサービス内容を説明する。足立さんの商売は、興味を示した人に売り込む営業トークが決め手となり、そのために夜景スポットを走るトゥクトゥクの写真も用意している。こうした接客面では、家業の玩具店で対面販売をしてきた経験や、家電メーカーで営業をしてきたセールストークが活かされているそうだ。

自分の商売に活かされる業務経験を積むべし

開業前に足立さんはタクシーで1年間修業をしているが、フォトサービスの料金設定はタクシー料金を目安にしたそうだ。「TUKx2」の料金設定は30分6,000円や1時間12,000円ほどになっているが、同様にタクシーも深夜料金で30分、1時間走るとこれくらいの料金になる。それでも「高い」と感じる人もいるかもしれないが、足立さんのトゥクトゥクは6名まで乗車できるので、割り勘にすれば手ごろな値段になる。他にも写真映えするスポットの把握や、距離と移動時間の感覚など、タクシー業務の経験がかなり活かされている。

起業後

日本初のビジネスは、法的問題をクリアにすべし

営業をはじめて1カ月目に陸運局から「白タクではないのか?」という問い合わせがあったそうだ。足立さんにとっては想定済みのことであり、「移動式の写真サービス」であることを説明して納得してもらった。間違えられやすいが、「TUKx2」は目的地への移動手段ではなく、フォトクルージングという合法的なビジネスである。足立さんはお客を乗せる際にも事前にサービス内容を説明して了承を得ているし、白タクと間違われることを避けるため、22時以降は営業を控えている。日本初のビジネスを始める場合は、合法であることを確認し、大手を振って商売ができるようにしてから始めるべし。

「インスタ映え」をアピールすべし

「インスタ映え」を目的として、珍しい景色や変わった体験を求める人が増えている。足立さんは最初からインスタ狙いだったわけではないが、かなりの割合でインスタの写真を撮ることが目的のお客がいるそうだ。当初はデジカメで撮影するつもりだったが、ほとんどの人がスマホを持っているので必要ないと考え、あえてポラロイドカメラで撮影して販売している。そのかわり無料でインスタやツイッター用の写真をお客のスマホで撮ってあげているそうだ。これがSNSで拡散されれば宣伝にもなる。今ではインスタのフォロワー数も大幅に増え、「横浜 トゥクトゥク」で検索すると足立さんのHPがトップに表示されるようになった。

誰もやってない=“元祖”の強みを活かすべし

足立さんは「TUKx2」をまず横浜で流行らせ、ゆくゆくは浅草や京都など全国の観光都市でフランチャイズ展開することを目指している。それを見越して「TUKx2」の商標登録を取っているのだ。構想としては、FCに商標とノウハウを提供し、トゥクトゥク車両の販売事業も行う予定。いわば現在の営業は、口コミで「TUKx2」の認知度を高めていくための下地作りでもあり、流行りさえすれば無限に可能性は広がる。こうした構想が描けるのも「誰もやったことがない元祖だからこそ」と足立さん。料金設定やサービス内容も元祖だからこそ自分で決めることができる。起業するからには、元祖の強みを活かした事業をやりたかったという。

取材・写真・文●大寺 明

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※主に横浜・赤レンガ倉庫前や野毛で営業(雨天時、暴風時を除く)。
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