『無敵の思考 誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21』要約まとめ

最近はテレビの討論番組にも出演し、ひょうひょうと物議を醸す発言をする「2ちゃんねる」元管理人のひろゆき氏。独特の持論のようでいて、ときとして本質をついた発言だと思えることもしばしば。なぜなら自分なりのロジックを持ち、人にどう思われるかを気にせず本音で語っているからだと思うのです。そんな彼には、いくつかの独自ルールがあるそう。「割り切っている」と称賛したくなる、ひろゆき氏の“無敵の思考”とは?

「お金があれば」「能力があれば」「ポジティブ思考だったら」もっと幸せになれるはず。そう考える人は多いが、著者のひろゆき氏の考えはことごとく逆を向いている。世間一般で信じられている幸せになるための基準は、かなりの部分が幻想であって、むしろ「考え方」を変えれば解決できることが大半だと考えているのだ。

「幸せ」を感じるためには、ゲームをしたり映画を見たりする自分の時間が必要だ。それが1日「3時間」だとしたら、その時間を確保するために必要最低限のお金を稼がなければいけない。多くの人は幸せになるために「生活レベルを上げる」という選択肢をとろうとするものだが、給料が上がらない時代に生活レベルを上げるとなると、労働時間を増やす必要があり、幸せを感じる3時間が削られていく。それこそ「奴隷に近い状態」だとひろゆき氏はいうのだ。

「お金持ちになりたい」ということは、「お金を使いたい」ということである。ひろゆき氏は「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」の成功で相応のお金を手にしたが、そもそもお金を使うことにあまり興味がないから、以前と生活スタイルはあまり変わらないという。ブランド品を買って虚栄心を満たしたいとも思わないし、高級料理を食べたいとも思わない。趣味のゲームと映画さえあれば充分満足でき、お金があってもなくても、幸せは感じることができると知っているのだ。

 お金をかけずに幸せを感じる手段としては、クリエイターになるのもひとつの手だ。絵を描いたり、写真を撮ったり、文章を書くことは、自分の時間さえあればできる。ソーシャルゲームで遊ぶにしても、課金せずに頭を使ったり試行錯誤するから「ゲーム性」が楽しめるのであって、課金でキャラクターを強くすることは何の意味もないとひろゆき氏は考える。

 ひろゆき氏に努力信仰はない。しかし、「努力しないで何かを手に入れるための努力」は最優先している。たとえば「語学」でいうと、英会話学校に通って英語が話せるようになった人は見たことがないが、アメリカに住んでいて英語が話せないままの人も見たことがない。つまり、努力せずとも現地で生活すれば語学が身につく可能性が高い。そこでひろゆき氏はまったくフランス語を勉強せずにフランスで暮らしてみることにした。1年半もすると、なんとなく相手の言っていることがわかるようになったという。

 今後、国際的に経済格差がどんどん広がっていくとひろゆき氏は予測する。真のお金持ちは全体の数%で、大多数の人はそちら側にいけない。だからこそ、個人の楽しさや幸せとお金をリンクさせないほうがいいという。将来が安心できるまでお金を稼ぐことより、今の生活で満足できるように考え方をシフトさせたほうが手っ取り早いと考えるのだ。

 そのためには「払いたくない支出」を明確にすることが大切。ひろゆき氏の場合、家賃と交通費には極力お金を使わないことにしている。住む場所は職場に近いところで最安値の物件から見ていく。職場に近ければ交通費を抑えられるからだ。広さや快適さで家賃が高くなるわけだが、「それを我慢すれば、その額だけもらえる」と発想を転換する。この考え方は飛行機の料金でも同様で、たとえばビジネスクラスが30万円でエコノミークラスが10万円だとしたら、後者を選ぶことで「20万円もらえる」と考えるのだ。

 これから先、日本の失業率は上がり、二極化が進んでいく。そうすると、コンピュータに代替できない「スキルを身につけてお金を稼いで幸せを目指すか」、「お金がなくても工夫して幸せを目指すか」の2拓になるとひろゆき氏はいう。

 スキルを手に入れる場合、大事になるのはスキルそのものではなく、「スキルを得るためのスキル」だ。ひとつのスキルがダメになっても、別のスキルを素早く身につけられることが重要になるのだ。その典型が受験勉強である。たしかにあまり役に立たない勉強だったかもしれないが、参考書に書いてあることが理解できるスキルさえ手に入れば、あとはいろんな勉強に使うことができる。

 スキルがない人の生存政略としては、「料理」を覚えるといいという。料理は試行錯誤の連続であり、仕事もその延長上にある。そして何を食べるかを「自分で決める」ことは、案外バカにできないことだという。それは自分の身体が欲しているものである可能性があり、人間はいろんなものを食べたほうが健康で長寿でいられる。ちなみにひろゆき氏はほとんど外食をせず、家で料理するのが基本。だから食費も抑えられている。

 本書で語られていることはいずれも極論に感じられるかもしれないが、お金を使わずに幸せを感じるひろゆき氏の思考法は、近い将来、一般的な考え方になっているかもしれない。どんどん消費して幸せを感じるという時代でもなくなりつつあるからだ。視点や考え方を変えることで楽しいと感じることをなるべく増やし、不快に感じることはなるべく減らす。そのためには「根拠なき自信」や「自己正当化」もあっていい。たとえホームレスになったとしても、ひろゆき氏はそれ相応に楽しくやっていけそうに思える。むしろ、そういう人のほうがリスクをとって挑戦し、成功しているものなのだ。

『無敵の思考』3つのポイント

●世間の基準ではなく、自分の「ルール」を持つ

●個人の「楽しさ・幸せ」とお金をリンクさせない

●趣味や料理など、お金をかけずに楽しめるものを見つける

文●大寺 明