『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』要約まとめ

『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』

やらなきゃいけないことはわかっているけれど、ついつい後回しにしてしまう……。それは、慎重になりすぎているせいかもしれない。逆にあまり深く考えない人ほど、やるべきことをすぐにやり、結果を出していたりする。脳科学者の茂木健一郎が、この違いを脳科学的な見地から紐解いたのが本書だ。脳のメカニズムを理解して、「すぐやる脳」に作り変えてみよう。

 世の中には二通りの人間がいる。何に対しても素早く決断して行動できる「すぐやる」人間と、なかなか物事を決められず、考えすぎて動けない「すぐやれない」人間だ。ビジネスの世界で結果を出している人はもちろん前者。一方、後者は意外なことに真面目な人が多いそうだ。きちんと取り組もうとすればするほど、なぜかやる気が落ちてしまい、仕事を後回しにするクセがついてしまっているという。

 「すぐやる」「すぐやらない」という差がどこから生まれてくるかというと、脳の働きが大きく関係している。脳科学者の茂木健一郎が提唱する「すぐやる脳」とは、「抑制」が外れて、軽やかに動く頭脳である。たとえば子供がお菓子を食べたいと思っている。なぜすぐに食べないかというと、お母さんから「3時まで食べちゃダメ」と言われたことで脳に抑制が働いているからだ。「すぐやらない」人間を脳科学的にみると、むしろ脳が正しく働いていると言えるのだ。

 この現象は子供も大人も同じ。集団のルールを大事にする人ほど、「慎重に検討しなければならない」「常識で考えると……」といった抑制が働き、行動にブレーキをかけてしまいがち。いわば、真面目に生きようとすればするほど、行動力は失われていく。「すぐやらない」人は、「すぐやる」ことが苦手なわけではなく、「脳の抑制の外し方」を知らないだけなのだという。

 では、どうすれば抑制を外せるのか? そこで大切になるのが、あまり深く考えないことを習慣化すること。自分が何か特別なことをやっていると意識すると、脳が身構えて抑制が働いてしまうからだ。

 脳の前頭葉には「努力するために使う回路」があり、これが活性化している状態が、いわゆる「頑張っている」状態。この回路は何かを習慣化したり継続することには向いていない。なぜなら脳エネルギーの消耗が激しく、頑張り続けると脳が疲れ果ててしまうからだ。だからこそ「頑張る」ことを意識しない自然体の努力を「習慣化」した方がいい。

 そのためには「脳内ダイエット」が必要不可欠。たとえば仕事と学業を両立させようとすると、やらなければいけないことが山積みになり、一番重要なことに集中することが難しくなってしまう。こういうときは「何かをやらない」と決めて、脳の中に空き地をつくることだ。

 子供の頃を思い出してほしい。子供は何に対しても好奇心旺盛でやる気が溢れている。これは脳の中にたくさんの空き地があり、発想や創造力の余地があるため。それが大人になるにつれ、空き地にたくさんの「抑制」ができてやる気が失われていく。そうならないためにも、自分が取り組むべきタスクを整理するといいだろう。

 ただし、脳内に空き地をつくっただけで行動力や創造力が勝手に生まれるわけではない。脳は負荷をかけることで成長していく。脳の「抑圧」になりそうに思えるが、脳活動が停滞するのは「他者からの制約」の場合で、自分で自分に課す「制約」は、逆に脳のモチベーションを上げるそうだ。

 自分への「制約」として著者は効果的な3つの方法をあげる。第一の法則が「瞬間トップスピードを習慣化」すること。いきなりトップスピードで行動に移すということだが、誰でも最初はうまくできない。しかし、脳の回路も筋肉と同じで、毎日それを続けることで強化され、次第にできるようになっていくものなのだ。

 第二の法則が「雑談の時間をつくる」こと。特定の目的を持たずに自由にコミュニケーションをとることは、脳のマッサージであり、様々な価値観が生まれる脳のサプリメントでもある。こうした時間をつくることで、創造力が飛躍していくものだという。

 第三の法則は「ベストエフォート(最善努力)方式」というもの。たとえば英語を毎日勉強しようと決めたのに3日しか続かなかった……。真面目な人や完璧主義の人ほど「私はダメなんだ」と嫌気がさしてやめてしまいがちだが、「5日目からまたやればいい」くらいに考えるのだ。何かをすぐにやろうとするときは、自分を追い込まず「やれる範囲のことをやる」ということを徹底的に自分に叩き込むことがポイントになる。

 このように毎日何かしらの工夫をして脳に健全なプレッシャーをかけていくことが、本書が提言する「すぐやる脳」のつくり方。その手法として「この時間内でこの仕事をすべて終わらせる」といったプレッシャーや、周囲の人に目標を公言するといったプレッシャーも有効らしい。

 これからの社会では、5年後10年後の未来を予測しながら、果敢にリスクを取って進化していくことが求められると著者は述べる。そのためにも若い世代には「すぐやる脳」を鍛え、たくましく生きてほしいとエールを送る。人間の脳は行動することでしか鍛えることができない。リスクを脳の「抑制」と捉えず、自身の成長機会と捉え、勇気を持って“すぐに”行動してみよう。

『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』3つのポイント

●「すぐやらない」人は、脳に“抑制”が働いている

●あまり深く考えないことを習慣化する

●リスクを恐れず、脳の成長機会と考えて「すぐやる」

文●大寺 明