『雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール』要約まとめ

雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール

新学期や新入社、パーティ会場といった見知らぬ人ばかりの場所で、どう声をかければいいのか、きっかけがつかめない人は多い。明治大学文学部教授の齋藤孝氏の教え子にもこうした悩みを抱える学生が多く、友だち同士の会話は弾むのに、世代や立場が違う人と対峙した途端、急に無口になる会話力のアンバランスさを実感するそうだ。そこで著者は「雑談力を鍛えるレッスン」を行っているという。人間関係をスムーズにする“雑談力”とは?

今でこそ多数のテレビ番組に出演し、社交的に見える著者の齋藤孝氏だが、思春期の頃は人見知りがひどく孤立しがちだったという。だからこそコミュニケーションが苦手な人の気持ちがわかり、コツさえつかめば誰でも克服できることだと断言できるのだ。

近頃は会話を途切れさせないためのトーク術の本が売れているが、相手との距離を縮めたいときに効力を発揮するのは、トーク術ではなく“雑談する力”だという。雑談が苦手な人は、「初対面の人と何を話していいのかわからない」と躊躇しがちだが、そもそも雑談とは“中身がない話”であることに意味があると著者は言う。まず相手との気まずさを解消し、場の空気を作りだすことが目的なのであって、それこそ天気の話題や時事ネタで十分なのだ。

仕事の連絡や交渉など、要件を伝えることが“意味のある会話”だとすれば、これが社会生活において占める割合はほんのわずか。要件だけの会話はすぐに終了するものだ。実際は“意味のない話=雑談”が会話のほとんどを占め、人間関係における“水回り”的な役割を果たしている。優秀な経営者や営業マンは雑談をしている時間がほとんどで、それが商談をスムーズに進めるための地ならしになっていたりするという。

一般的に女性のほうが雑談が上手だとされている。話題にまとまりや一貫性がなく、話が飛びながら延々と雑談を続けられるのだ。これに対し男性は、一般論を持ち出したり要点をまとめるなどして、会話の締めにかかってしまう傾向が強い。しかし、雑談において結論やオチは不要。なぜなら会話がそこで終わってしまうからだ。結論に至る前に、小気味よく話題を変えていくことが雑談というコミュニケーションの秘訣となる。

その際のコツは、前に出てきた言葉やエピソードから連想し、話題を派生させていくこと。盛り上がっている雑談ほど、連想が幾重にも連鎖し、最終的に「で、何の話をしてたんだっけ?」となるものなのだ。サッカーで言えばスペースを見つけて走りこむ感覚であり、雑談が行き詰っても、このスキルさえあれば話題を切り替え、さらに雑談を展開していくことができる。

第2章からは「雑談の基本マナー」がレクチャーされる。雑談はまず「ほめる」ことが基本。相手に一歩近づくことが雑談の目的なのだから、ネクタイやシャツの柄など、とりあえずは相手の見えるところをほめるのだ。そうすれば「この人は自分を悪くは思っていない」ということが相手に伝わり、好意をベースにした人間関係の土台が無理なく出来上がる。

雑談は「肯定で答える」「まず同意する」ことが大前提。たとえば映画の話題になったとき、「つまらなかった」と答えると雑談は続かない。そんなときは「ストーリーは平坦だったけど、主役の▲▲はすごくいい味出してましたね」と何かしら肯定的要素を見つけてプラスの方向に話を転がすのだ。

相手に話の主導権を握らせたほうが雑談は盛り上がる。自分が話術に長けている必要はなく、“間が持てる人”や“話を聞いてほしくなる人”であることが重要だ。だから朴訥とした語り口でもいいし、相づちを打つだけでもかまわない。より雑談を盛り上げたいなら、相手の言葉に「質問」で切り返すといい。絶対に外さない話題とは相手が興味のあることであり、たとえば犬好きの人なら、どんどんペットについて質問を投げかければいい。雑談においてはゴールではなく、会話が盛り上がるためのパス回しが大切になるのだ。

逆に会社の上司や年配者から「何かスポーツをやっている?」「休みの日は何をしてるの?」と質問されることがある。プライベートに踏み込まれるように感じて嫌がる人も多いが、実際は年配者に対して気詰まりを感じている若者の気持ちを察し、それでは自分も気疲れしてしまうため、気を使って話しかけているにすぎない。答えを求めているわけではなく、雑談で打ちとけようとしているわけだから「一問一答スタイル」ではなく、自分からもプラスαのひと言を返すようにすると雑談は心地よく転がっていく。

こうした一見、意味のない雑談から、あなた自身の人間性や社会性が瞬時に判断されている。気持ちよく雑談ができる人は、豊かな人間関係の中で育ってきたことや、人格的に安定感があるという評価となり、そこから人間関係が発展したり、仕事で大きなチャンスを得られたりするものなのだ。

同時にそれは周りの人を活かす力にもなっている。話すことで人は救われ、聞いてもらうことで人は癒されるものだからだ。雑談力とは、社会に出てすぐに役立つ最強のスキルであり、「生きる力」そのものだと著者はその大切さをあらためて提唱する。

『雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール』要約まとめ

雑談は“中身のない話”であることに意味がある

気まずさを解消し、場の空気を作ることが“雑談力”

雑談に“結論”は不要。「で、何の話だっけ?」が理想

文●大寺 明