『うまくいっている人の考え方 完全版』要約まとめ

うまくいっている人の考え方 完全版

大きな失敗をしたり、人間関係がうまくいかないと気分が落ち込んでくるもの。心が揺らいだ途端、何もかもが悪い方向に転がっていった経験はないだろうか? 結果、ますます自信を失うという悪循環……。これらはすべて自らの心が生み出していることなのだ。50万部のロングセラーとなった本書は、“自尊心”を高めることで、人生のつまずきに対処し、仕事や人間関係を好転させることができるとする。幸福感のヒントも自尊心にあるのかもしれない。

100項目にもおよぶ「うまくいっている人の考え方」が記された本書の提案は実に多岐にわたっている。ただし、その中心にあるのは「自尊心をどう高めるか」というシンプルなテーマだ。それは、尊大に振る舞ったり、プライドに固執することではなく、自分で自分を好きになろうとする“自尊心”である。自尊心を高めると、自分はより幸せになるに値する人間だと思えるようになり、人間関係も仕事もあらゆる事柄が好転しだすとしている。

逆に「自分は弱虫だ」「人より劣った人間だ」として自分を卑下するような自己認識は、自尊心が失われている状態にあり、何もかもがうまくいかないように感じられ、実際にそのとおりの結果を招きかねない。同じ仕事でも嫌々やるのと楽しんでやるのとでは仕事の質が変わってくるように、心の在り方が現実に影響をおよぼしてくるものなのだ。では、どうすれば自尊心を高められるのか。著者は無理に変わる必要はないという。ありのままの自分を見つめ、受け入れればよいというのだ。

まず最初に「自分を許す」ことが挙げられている。たとえ重大なミスを犯しても、自分を非難してはいけない。自分を追い詰めてもプレッシャーが増してさらにミスを繰り返すだけ。それよりも「たいしたことはない」と考えた方が心に余裕が生まれ、ミスの原因を冷静に学習することができるというのだ。

誰しも生まれた頃から数えきれないくらい失敗を繰り返してきたはずだ。その都度、間違った解決法が消去され、正しい解決法が導きやすくなっていっただろう。完璧さを求める必要はない。ときに過ちを犯すのが人間らしさというものであり、失敗は学ぶための絶好の機会と考えることが賢明だ。失敗や間違いを認めることは何も恥ずかしいことではないのだ。

人は意識を集中した部分が拡大するようになっている。ならば、失敗や短所に意識を向けるより、長所を伸ばしたほうが建設的だというのが本書のスタンスである。幸福感も自尊心も他者との比較から生じるように思いがちだが、本来は自発的に生まれる心の状態である。毎日5分間、意識的に幸せを感じる練習をすると、本当に幸せな気分で日々を過ごせるようになるという。不遇感も幸福感も、最終的には「あなた自身の心の持ちよう」という考えがベースになっているのだ。

私たちは幼い頃から親や先生から「人の気持ちを考えなさい」と言われ続けてきたため、他人の意見や評価を過度に気にするようになっている。しかし、本書が再三繰り返すのは、他人ばかり気にすることをやめ、自分の心と向き合おうとする提言だ。それは、自己中心的ということではなく、自分を一番理解しているのは自分であり、最終的に頼りになるのも自分だという認識である。

自分を他人と比較することはどんな場合も好ましいものではないと著者は言う。なぜなら、環境や人生経験、ものの見方や考え方が組み合わさり、あなたはこの地球上の誰とも異なる個性的でユニークな存在となっているからだ。財産や外見、知力や才能などによって人は人の価値を量ろうとするが、他人が何と言おうと、人間の価値を決定する絶対的な基準などなく、そこに優劣はない。あるのはただ「違う」という事実だけだ。お互いの違いを尊重し、自分らしさを大切にして生きることで、自尊心は育まれていく。

他人の期待にこたえることが人生の目的でもなければ、他人を思い通りにしようとしてもいけない。それは本質的に無理なことであるし、がっかりして不満が増大するだけ。むしろ、安易に人に頼ろうとせず、自己責任で生きている人の方が、かえって人の助けが得られ、何事も好転していくものだという。

著者は心とはコンピュータのようなものであり、幼少期から特定のルートで考えるようにプログラムされているとしている。脳に一定の思考回路ができているため、ネガティブな人はずっとネガティブな思考回路を辿って不平不満を抱き続けることになりかねない。自尊心が低いのも、こうした思考回路が原因なのだ。本書の狙いは、それをポジティブなセルフ・イメージへと切り替えること。これまでの成長過程で形成されてきた劣等感や不公平感など、間違った考え方をひとつ取り除くたびに、人生はシンプルになり、得るものが多くなっていくという。

『うまくいっている人の考え方 完全版』3つのポイント

自分を責めず、ありのままの自分を認める

他人の評価ではなく、自分の価値観、判断を信じる

自尊心を高めることで、人生は好転する

文●大寺 明