『ポジティブの教科書』要約まとめ

ポジティブの教科書

スーパーコンピュータ「京」のロゴや大河ドラマ『天地人』の題字など、言葉が持つ力を最大限に引き出す書道家・武田双雲は、仏教や脳科学を取り入れた自己啓発書のベストセラー作家としても知られる。彼自身、NTTで3年間勤務し、書道家として独立を果たしたという過去を持ち、社会人の悩みをよく理解した人。本書から毎日ハッピーに生きる“技術”を学んでみよう!

書道家、武田双雲は出会った人から「幸運体質になれました」「仕事が上昇気流に乗りました」とよく言われるという。著者自身、「スーパーポジティブ」を自認し、その人柄に触れた人に影響を与えているのだ。しかし、以前の著者は物事をポジティブに考えることがむしろ苦手だったという。そこで、仏教や儒教、過去の偉人から現代の本までむさぼるように読み漁り、会う人ごとにポジティブな生き方について質問していくうちに、前向きに生きるための「技術」があることに気づかされた。そして、その技術を習慣化し、しつこいくらいに繰り返してきた結果、今も幸福度がどんどん増している。

著者の幸せになるための基本は、「幸せを与えること」「幸せであることに『気づくこと』」「幸せな言葉を発し、幸せな態度をとること」の三つ。多くの場合、幸せの基準は出世やお金の多寡など「他人との比較」で成立しているが、本書は自身の心との対話と、他者貢献の精神から幸せの法則を導きだそうとする。

著者の常日頃の習慣は、自らを「感謝オタク」と言うように何ごとにおいても「感謝」すること。人は「夫が○○してくれない」といったように期待の裏返しで不満を溜め込み、イライラしてしまう。これを「してもらってる」という感謝に切り替えることによって苛立ちもなくなり、満たされた気持ちでいられるというわけだ。そして、感謝をすれば「恩返しをしたい」という気持ちが溢れてくる。たとえばこの気持ちを「会社に恩返ししたい」と目的化することで、モチベーションが上がり、仕事も劇的に好転するようになる。

本書のポジティブ技術の特徴は、ブラシーボ効果のように自己暗示をかけてしまうことだ。著者は「うわー水道ってすげー」「うわー携帯電話ってすげー」と普段当たり前のこととして通り過ぎている小さなことにも感動し、「できない理由」よりも「できる理由」を集めるなど、意識的に感情をコントロールしている。「感情」と「現実」はニワトリと卵の関係なのだという。たとえば、「私は運がいい」と思っている人は、運がいいと思うことばかりを記憶していくが、「私は運が悪い」と思っている人は、運が悪いと思うことばかりを記憶していく。だからこそ、日頃から「楽しい」「ありがたい」と言い続けていると、本当に楽しい現実ばかりが向こうからやってくるというわけだ。

とはいえ、多くの人は将来や健康など常に「不安」を抱え、なかなかポジティブにはなりきれない。こうした切実な不安に対しては「大したことない」と思うようにするといいそうだ。著者が運営する書道教室の生徒の中に胃ガンを患った40代女性がいたが、心だけでも健康に保つために、問題を大きくとらえないようにしたところ、手術は成功し、少しずつ元気になっていったという。著者もまた胆のうの痛みに悩まされたことがあるが、手術後は深呼吸の質と量を倍増させることで心を落ち着かせ、元気を取り戻していった。

こうして意識的に「ポジティブ=上機嫌」でいることが最大の健康法にもなる。なぜなら「気」がうまく流れているときは、人体の免疫システムが完全に作動し、ウィルスや毒素などの侵入を防いでくれるからだ。

著者のポジティブ思考は、いずれも考え方や視点を少し変えることだが、実際の行動においては、「能動的」になることだとしている。受動的に生きていると「やらされてる感」がつきまとうが、能動的になると義務感がなくなり、登山家が険しい山を楽しんで登るようにエネルギーが湧いてくるものなのだ。「仕事がイヤで朝起きられない」という人は、まずは仕事を能動的なものへと切り替えるように意識してみよう。

さすがに書道家だけあって著者は「言葉」に対して常に意識的だ。自分の声を一番聴いているのは自分自身であり、潜在意識には主語がないそうだ。だから、他人の粗探しばかりしていると=自分をいじめていることになり、他人を褒めると=自分を褒めていることになり、潜在意識はハッピーで染まっていく。

著者は書道家として独立してから、幾度となく壁にぶち当たってきた。その度にどこへ向かうべきかを自問自答するうちに、「人類に大きな貢献をするにはどうすればよいのか」という意識に変わっていった。その一つの解が「1人1人のポジティブ力を高める」ことであり、本書を執筆する原点にもなっている。

『ポジティブの教科書』の3つのポイント

●人に幸せを与えること

●幸せであることに、気づくこと

●幸せな言葉を発し、幸せな態度をとること

文●大寺 明