『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』要約まとめ

桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか

著者名を見てピンと来た人もいるだろう。内閣総理大臣を務めた鳩山一郎は著者の曽祖父にあたる。名門の家に育った著者だが、高校2年のときに父が40歳で急死し、生活は荒れたそうだ。何かにつけて「鳩山家」と言われることに抵抗感を持ち続けたが、鳩山家とは関わりのないビジネスの世界で結果を出したことで、ようやく自身の家柄を消化し、本を執筆できたという。

 著者の鳩山玲人氏は三菱商事からハーバードビジネススクールに留学し、34歳のときにサンリオ米国法人のCOOとなった。2008年当時のサンリオは業績の低迷が続いていたが、欧米でのライセンスビジネスに注力した結果、会社の営業利益は5年で約3倍(過去最高を更新)、時価総額は約7倍にまでなった。

 タイトル通り「桁外れの結果」を出してきた著者が、これまで人知れずやってきたことを端的に表すと、「準備」の一語に尽きる。「結果を出す人」と「結果を出せない人」の差は、能力の優劣ではなく、どれだけ準備をしてきたかによるものだと著者は明言するのだ。

 仕事において、まず最初にやるべきことは、入社する会社の情報や競合企業の情報、社内のルールなど自分の仕事に必要な情報をできるだけ早く学んでおくこと。そうして仕事の全体像を見通した上で、会社の「最終的な目的」を考えながら仕事をすることが、結果につながっていくのだ。

 このように情報収集が著者の「準備」の基本。たとえば、広報対応で問題が見つかれば、書店で広報に関する本を10冊ほど買ってきて読み込み、現場の人間や外部の専門家と対等に意見をかわせるくらいにまで専門知識を身につける。「自分が責任を負うのだ」という強いコミットメントを持ち、悔いのない判断をするためにも、安易に人まかせにしないという姿勢だ。

 さらにはビジネス誌からファッション誌まで様々なジャンルの雑誌に目を通し、トレンドを隈なくチェックする。エンターテインメント業界の最先端でビジネスをやっていく上で、こうした日々の習慣がいずれは大きな差となって表れてくるものなのだ。

「いくら準備をしても損をすることはない」というのが著者の考えだ。しかし、時間は誰にとっても平等であり、限られている。仮に毎日19時に退社し、24時に就寝するとしたら、5時間の時間がある。1カ月で約100時間、1年間でおよそ1200時間。新人時代の著者は常にこの限られた1200時間をいかに使うかを考えてきたという。

 この時間を仕事のトレーニングにあてることができれば、10年後には圧倒的な差となって表れてくる。体力のある若手社会人には「朝は早く起き、夜は遅く寝る」ことを著者はアドバイスしている。大きな仕事をやり遂げるには、ときには多少の無理をしてでも人より多くの時間を作り出す必要もあるのだ。

 著者がハーバードビジネススクールに留学したのも、ビジネスパーソンとして次のステップに進むためにはマネジメントやファイナンスの知識を身につけるトレーニングが必要だと考えたからだ。留学中は「三菱商事に戻り米国で事業展開する場合」、「自分で起業する場合」、「サンリオのビジネスの研究」など、どの方向に進んでもいいようにあらゆる可能性をシミュレーションした。こうした心の準備があったからこそ、著者はサンリオへの転職を即決できたのだ。

 当時のサンリオは業績が悪化し、歴代の米国法人社長はみな長続きしなかった。こうした人がやりたがらない仕事にこそ、大きなチャンスがひそみ、成果を出しやすいと著者は逆の発想をした。チャンスはいたるところに落ちている。問題はそれに気づけるかどうか。そして、勇気を持って一歩を踏み出せるかだ。たとえ失敗したとしても、失敗には学びのチャンスや改善の余地がある。著者にとっては、何もしないことこそが最大の失敗なのである。

 著者の華々しい略歴を見ると、順風満帆の人生に見えるが、仕事で大きな失敗をしたり、職場の人間関係に悩んだり、常に仕事の不安を抱えてきた。「不安は一生消えることがない」と著者は言う。そして、不安を打ち消すもっとも簡単で効果的な方法が、著者が再三に渡ってその大切さを語る「情報収集」と「トレーニング」の準備なのだ。不安があるからこそ、人は成長できるのである。

『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』の3つのポイント

●いくら“準備”をしても損をすることはない

●日々の“トレーニング”なくして、結果は出ない

●不安があるからこそ、人は成長できる

文●大寺 明