『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』要約まとめ

絶対に会社を潰さない 社長の時間術

「残業代ゼロ法案」が議論されている。過労死やワーカホリックを大量に生むという懸念もあれば、「残業代」というささやかな喜びが奪われることに抵抗感を持つ人も少なくない。しかし、「仕事が遅い人の方が給料(残業代)が高い」という矛盾があったこともたしかだ。残業代ゼロ時代に備え、仕事をスピードアップするコツを『社長の時間術』から学んでみたい。

ダスキンの販売代理店業務を請け負う株式会社武蔵野の社長・小山昇氏は、赤字続きだった組織の経営改革を断行し、2000年、2010年の二度にわたって日本経営品質賞を受賞し、11年連続の増収増益という優良会社に育て上げた。その経験を活かし、500社以上の企業の経営指導を手がけ、さらには全国各地で年間240回もの講演・セミナーを行う超多忙な日々を送っている。

多忙のあまり時間の使い方に悩んでいる社長も多いそうだが、著者は「カバン持ち」体験をさせることで時間術を実際に見て学んでもらっている。この費用が1日なんと30万円。高いお金を払ってでも、中小企業の社長がこぞって希望し、1年3カ月先まで予約でいっぱいだという。

小山社長の一日が始まるのは夜明け前の4時15分。5時半には家で仕事を始め、6時には迎えの車が来る。この間、ニュースや新聞を見ながらボイスメールをチェックし、朝食後は日報と稟議、メールをチェックする。こうして今日一日の全体像を把握し、予定を決めてから行動するのだ。

本書の時間術の特徴は、とにかく朝が早いこと。普通の社長とは約2時間の「時差」をもって生活している。朝の通勤ラッシュが避けられたり、混んでいない時間帯にランチが食べられたり、人と同じ時間帯を避けるだけで「待ち時間」がゼロに近づくというわけだ。仕事が山積みになっても残業はせず、いつもより1時間早く起きて仕事をする。頭がクリアな朝の方が仕事を早く片付けられるからだ。

ほとんど外に出ずっぱりという著者は、外出先であってもオンライン環境があれば仕事をし、徒歩や車の移動中といったわずかな時間も無駄にしない。そのために携帯電話を2台、iPhone、iPad、ザウルスといったITツールを5台持ち歩く。こうしたITツールは検索性に優れ、データを人と共有できることもあって、時間の節約に欠かせないものとなっている。

渋滞にハマることを避けるため、あえて電車を使うことが多いそうだが、駅構内図を頭に入れ、どのホームで降りれば階段に一番近いかを考え、さらには早く切符を購入するコツや、もっとも早い乗り換えを見つける方法など、とにかく一分一秒でも無駄にしない徹底ぶりだ。また、ポケット、財布、カバンの中は入れる物の定位置が細かく決められている。もちろんこれも探し回る時間のロスを防ぐためだ。同様の考え方から社内の整理整頓も徹底させている。

こうした行動面で時間を節約する一方、社長業に求められる「決断」も早い。会社が生き残っていくためには世の中の変化に柔軟に対応していかなくてはいけない。そのためには早く反応することが大切であり、「朝令暮改」で判断を修正していくことも必要だという。

即断即決するためには「損をしてもいい」と腹をくくり、「間違ってもいい」と肩の力を抜くことがコツ。いろいろ考えて悩むことこそ時間の無駄というものであり、時間を節約する究極の方法は「早く決断すること」だという。

何事も早く取り組むのが著者の時間術の基本。そのため社員には、「正確さはどうでもいいから、まずやれ。やってから考えろ」と口が酸っぱくなるほど言っている。残業も仕事が遅いことだとして評価の対象にはならないと断言する。

効率化を追求するのは、社員やお客など人とのコミュニケーションのために時間をねん出するためだ。いくら時間が短縮できても、人の心が離れてしまっては元も子もない。人が会社を辞めると、また募集をかけて一から教育するといった時間がかかる。それを避けるため、著者は1日のうち1時間は「社員が頑張っていることを探す時間」として確保し、空いた時間には感謝の気持ちを伝える手書きのハガキを書くことに割く。そして、部下と一緒に飲みに行く時間を作ることも大切だと考えているのだ。

著者が時間の使い方がうまくなったのは、たとえどんなに忙しくても「飲みに行きたい」と思う気持ちがあったからこそ。人間は不純な動機で行動するとき一番熱心に取り組むものだというのだ。

『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』の3つのポイント

●「朝型」に生活をきり替え、人と同じ時間帯を避ける

●時間を節約する究極の方法は、早い「決断」

●時間をねん出し、人とのコミュニケ―ションにあてる

文●大寺 明