『会社と上司のせいで燃え尽きない10の方法』要約まとめ

会社と上司のせいで燃え尽きない10の方法

組織が大きくなるにつれ、業務が細分化され、仕事のやりがいは失われがち。膨大な雑務に追われながら理想のビジネスパーソンを目指している自分……。若い頃はやる気がみなぎっているが、長年がんばり続けると、いつしか倦怠感に包まれ、人生の目的がわからなくなってしまう。これが30年前にアメリカで唱えられた「燃え尽き症候群」だ。あなたは大丈夫だろうか?

元気はつらつと会社に行っていた自分が、いつ頃からか浮かない気分で朝を迎えるようになった。日に日に気力が減退し、憂鬱やいら立ち、けだるさに包まれているとしたら、それは「燃え尽き症候群(バーンアウト)」かもしれない。

「人生の意味がわからなくなり、希望がなくなった」と訴える多くの人々が心理学者の著者のもとを訪れたが、そのほとんどが、仕事に生活のすべてを捧げ、何ごとにも挫けない強い意志の持ち主であったという。

目まぐるしく変化する現代において、人々のライフスタイルは享楽的な消費社会へと一変した。しかし、多くの人が勤勉努力する教育を受けてきている。しかし、謹厳な生活を送ったとしても報われるとは限らず、組織でうまく立ち回ることに長けた人が出世したりするのが現実だ。このギャップから勤勉に生きてきた人は、わけかわからなくなり、燃え尽きの兆候が表れるそうだ。その最初のシグナルが「疲労感」。鬱状態とは異なり、家に帰ればテニスを楽しんだりするが、仕事になると急にしょげかえっているのが特徴である。

燃え尽き症候群にかかる人は、仕事の実績や幸福な結婚など、人生の目標を目指してがんばり過ぎて疲れ果ててしまった人々であり、人生の理想を持たない人がこの病気にかかることはない。燃え尽き症候群の人は有能かつ自信過剰な人が多く、弱みを隠したがる性向があるため、初期段階で発見することが難しいという。まず重要なことは症状を自覚すること。時間をとり、一人きりの静かな場所で、最近の行動や人との接し方を自省してみるといいだろう。

目標達成と幸福を目指して働くことが悪いわけではない。しかし、燃え尽きる人の出発点をさかのぼると、そもそも目標の選択自体が、上流社会で生きることや円満な家庭など、社会的に良しとされたコースであり、自ら選んだ「本物の目標」でないことがトラブルの根となっている。高い目標はきまって「他人に認められたい」という気持ちによるもので、努力が認められていく過程ではエネルギーが流れ続けるが、目標を達成して落ち着いてくると、途端に心が沈み、幻滅してくるようだ。そこに本当の喜びがなかったからである。人生の途中で、目標を再点検してみることもときには大切だ。

周囲から期待される理想の自分に近づこうとがんばりすぎるあまり、本当の自分の声を押し殺している状態が燃え尽き症候群。そんなときは、信頼できる人に心の中でくすぶっているモヤモヤを話すといいそうだ。ありのままを話すことで、ありのままの自分に立ち返るのである。苦痛やいら立ちをまぎらわすために「孤立」することが「退屈」と「ひねくれ」を生み、燃え尽き症候群の悪化につながるため、人づきあいがよいことが防衛策になる。

骨の折れる仕事をやり遂げて評価される「理想の自分」にしばらく休暇を与え、絵を描いたり、小説を読んだり日常生活の定型を破ってみるのもいい。セックスやギャンブル、アルコールなどの気晴らしも人生には適度に必要だ。娯楽には人間の活力をよみがえらせる効果があり、それらを締め出してしまうマジメ人間が燃え尽き症候群にかかりやすいからだ。ただし、燃え尽き症候群の人は、一つのことに打ち込みすぎる性格であるため、「ほどほど」ということが不得手。アルコール依存症やギャンブル狂に陥りやすいので注意した方がいいだろう。

燃え尽き症候群は、自分を欺く「否認」が拍車をかける。40代50代になると、年をとったことを否認しようと若手以上に働いてみせたりするが、このオーバーワークが燃え尽きを誘発させかねない。仕事の量を適度にし、調和のとれた生活を送ることが、燃え尽きないために大切なのだ。

大きな報いを期待して世界に失望するよりも、日々の生活の中に小さな満足を見つけ、世界をありのまま受け入れること。人生はあまりマジメに考えすぎると、袋小路から抜け出せなくなるものなのだ。

『会社と上司のせいで燃え尽きない10の方法』の3つのポイント

●「疲労感・倦怠感」のシグナルを見逃さない

●仕事の量を適度にし、日常生活を変えてみる

●「理想の自分」ではなく、「ありのままの自分」を解放する

文●大寺 明