『世界のエリートはなぜ、この基本を大事にするのか?』の要約まとめ

世界のエリートはなぜ、この基本を大事にするのか?

「世界最上級のビジネス・スクール」として知られるハーバード・ビジネス・スクールでは、卒業生の進路の1位と2位をコンサルティング・ファームのマッキンゼーと、投資銀行のゴールドマン・サックスが占めている。さらに、この2企業の出身者が世界中の産業界・金融界・政界でつながりを持ち、影響し合っている。彼ら世界のエリートに共通する「基本」とは?

著者の戸塚隆将は慶応大学経済学部卒業後、新卒でゴールドマン・サックスに入社し、投資銀行家として活躍。その後、ハーバードへの私費留学のため、同社を退社。MBA(経営学修士号)を取得した後、マッキンゼーに入社し、経営コンサルタントとして活躍した。そして現在は、日本発の商品・サービスと、日本人ビジネスパーソンのグローバル化を支援する会社を経営している。

ハーバード、ゴールドマン・サックス、マッキンゼーというと、「エリート集団」といった鼻持ちならないイメージを持つ人も少なくないかもしれないが、著者がこれまでのキャリアを振り返って示す彼らの「常識」「価値観」「ルール」は、多くのビジネス書で提唱されてきた基本的なものばかり。仕事への態度も実にスマートで紳士的だ。

彼らに共通する「基本」は大きく分けて4つ。①人との「つながり」を大切にする。②「自分磨き」を一生継続する。③「日々の成果出し」に強くこだわる。④「世界的な視野」を常に意識する。本書では、これらのポイントを具体的なエピソードを交えて「48の基本」として紹介している。

中でも印象的なのが、冒頭で語られるハーバード時代の友人関係の大切さだ。ハーバードでは毎日最低10時間を超える自習が要求され、授業の出席時間も考えると食事の時間が惜しまれるほど。その一方で、「パーティースクール」と揶揄されるくらい毎週のように飲み会やパーティーが開かれるそうだ。どうやって時間を捻出するかに日々頭を悩ませながら、学生たちは人と過ごす時間に最優先に「投資」しようとする。

世界中から集まる学生たちと交流を持つことで視野が広がるのはもちろん、利害関係を超えた友人との時間の共有が、予期せず将来の仕事に結びつくことが実際に多く、ハーバードに通う最大の価値となっているのだ。

人間関係を深めるコツとして、名前の覚え方や、出身地を質問して相手への関心を示すこと、しっかり2秒間握手するなど、いずれもちょっとした心がけで出来るものばかり。また、時間を共有する際の工夫として、仕事場で出会った人とは、仕事を離れた場所(ランチや飲み会など)で会い、あえて場所や環境を変えた再会を心がけ、互いに楽しい思い出になるように配慮する。

ハーバードでは無遅刻・無欠席が大原則であり、そのため学生たちは時間に追われながらも十分な睡眠をとるよう時間管理をし、病欠しないように健康管理に気を配る。これらは社会人の基本だが、こうした自己管理の意識を習慣化させることで、大きな取引や重要な会議で失敗することがなくなるのだ。

また、ゴールドマンやマッキンゼーの社員の服装は、驚くほど没個性的だという。彼らは服装で個性やセンスをアピールするのではなく、「清潔感」を大切にし、あくまでアドバイスの中身で「個性」を発揮しようとする。こうした考えは、プレゼンテーション資料にも表れており、パワーポイントを使うと、ついついカラフルなグラフィックに頼りたくなるものだが、マッキンゼーでは極端にシンプルな白と黒が基本。力強いメッセージと細部の文言への注意、そして、それを的確に伝える構成に重きを置いているのだ。

実際の仕事では、優先順位をつけて効率的に仕事をすることを徹底し、その一方で、一冊の本を2時間かけて読んだら、その3倍の6時間かけて考える。ジムに通う、社外の人に会うなど、自分のために時間を「投資」するのが彼らの考え方。また、ニュースや新聞で情報を得たり、ネットで調べるだけで納得するのではなく、いくつもの情報を見比べ、世の中がどう反応するかを常に考えるよう意識するなど、多忙を極める投資銀行家、経営コンサルタントの日々の努力が垣間見える。これらをすべて真似することは難しいかもしれないが、心がけるだけでも仕事の質は向上するかもしれない。

3つのポイント

●利害を超えた友人関係を築く

●見た目で個性を出さず、中身で勝負

●効率化を徹底させ、自分のために時間を投資

文●大寺 明