『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』の要約まとめ

99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ

日本的な礼儀を意識しすぎるあまり、ムダなことに時間を割いてはいないだろうか。スピードと判断が大切となるビジネスの世界では、上司への「ホウレンソウ」も業務上のメールも、実は単刀直入な内容が相手にも喜ばれる。仕事をスムーズに進めるための、ちょっとしたコツを体得することで仕事は劇的に変わるかもしれない。

礼儀をわきまえることは、社会人として必須のマナーだ。そのため、上司への報告や相談、業務上のメールなど、細部にわたって日本的な礼儀に即した丁寧さを心がけてしまう。

しかし、そうしたまじめさはスピードと判断が大切なビジネスの世界においては、むしろマイナスである場合も少なくない。時間的ロスと無駄な労力を発生させ、かえって企業の生産性を妨げている可能性があるのだ。本書はこうした「まじめ」と「みじめ」は一字違いと指摘する。
「ふまじめ」を推奨しているわけではない。ちょっとした「コツ」をみなが実践することによって、仕事をスムーズに進めようと提案しているのだ。大企業グループの人事制度改革リーダーや巨大プロジェクトのオフィスリーダーという豊富な経験を持つ著者だけあって、指南する「コツ」の一つ一つは実に腑に落ちるものばかり。逆に、多くの人がこれと逆のことを無自覚で行っていることに気づかされる。

たとえば、「報告、連絡、相談(ホウレンソウ)」をする際に、謙遜して「まだ準備不足なのですが」と前置きすることはないだろうか。これはまったくの逆効果。同じ資料でも、自信なさげに渡すのと、「結構うまく、まとまっていると思います」と自信ありげに渡すのとでは、受け取った側の反応がまったく異なってくるのだ。前者はネガティブなコメントが返ってくることになり、結果、資料を作り直すといったムダな時間と労力が発生してしまう。

また、上司にホウレンソウをしようとする際、「忙しそうだから迷惑かもしれない」と慮るあまり、「今、ちょっと、いいですか?」と声をかけてはいないだろうか。そうすると、「ごめん、後にして」と返ってくることになりがちだ。その挙句、上司がそのまま出張に出てしまい、判断を仰ぐのに数日待たされるといったこともありうる。これを避けるには、「1分(あるいは3分)ください」と言うのが得策。どんなに忙しくとも、限定された時間が見えていれば、人は話を聞こうという気になるものなのだ。

今ではメールでホウレンソウをするのが一般化しているが、伝えられる情報量とレスポンスの速さを考えたとき、「対面→電話→メール」という優先順位にすべきだと著者は指南する。

実はメールを書いている時間というのは思った以上に長く、あまり効率的とは言えない。返信する側にしても、ひと手間かかる面倒な作業だ。メールで判断を仰がなければいけない際には、相手が返答しやすいように、返事の選択肢を「A」「B」と示した上でメールを送るのがコツ。返す側は「A」(もしくはB)とだけ答えればいいから、やりとりがスムーズに進む。

さらに内容が判別できる【資料請求:○○会議】といった件名で送信すれば、優先順位も高くなる。美辞麗句はあくまでプラスアルファと考え、単刀直入に伝えられた内容が、実は喜ばれるメールなのだ。同様に、ビジネス文書においても冗長さは禁物。相手に伝わりやすい構成を考え、出来れば3つほどにポイントをまとめた文書が好ましい。

日本企業の時間的ロスという意味では、しばしば外国人が「長すぎる会議」を指摘する。月に2回、2時間の会議に20人が参加した場合、2時間×20人×2回で計80時間が費やされることになる。これを月1回の1時間に短縮し、参加人数10人にすると計10時間となり、70時間が削減されることになる。この時間を別の仕事にあてれば、組織にとって大きな価値になるだろう。

本書の提案はまさにここにある。これまでまじめに時間を割いてきた仕事を考え直し、目的とゴールを明確にするといった工夫をすることによって、自分にとっても相手にとっても負担を軽減する時間作りをしようというのだ。

著者が指南する「コツ」の一つ一つを抜き出すと、こと細かな仕事テクニック集のようだが、もし、5000万人の組織人がこの仕事のコツによって1%の生産性を上げることができれば、50万人分の労働力が生まれるのと同じ価値となるのだ。

3つのポイント

●ポジティブな言い方に変える

●対面→電話→メールの順にする

●ムダな時間を削減し、別の業務に生かす

文●大寺 明