『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』の要約まとめ

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

少子高齢化にともない、政府は年金支給年齢70歳への引き上げを検討している。そうなったとき、大卒後の働く期間は47年間。めまぐるしく変化する時代において、今の職業があるかもわからない。70歳近くまで「今と同じように働く自分」を想像できるだろうか? 新たな働き方を選択すべき時期に来ているのかもしれない。

自分が何歳まで働くのか、考えたことがあるだろうか。ほとんどの人が「定年まで」と答え、その後は年金生活を送るつもりでいるだろう。

日本人の平均寿命は男性79.44歳、女性85.90歳。60歳定年の時代であれば、大卒後に働く期間「37年」に対し、引退後の人生は「20年」(男性の場合)でバランスがとれていた。しかし、2013年現時点で51歳以下の男性と46歳以下の女性の年金支給年齢は、早くても65歳である。企業の雇用義務も65歳まで引き上げられ、引退後の人生は「15年」に目減りすることになる。

さらに、現在30歳未満の人の年金支給年齢が「70歳」まで引き上げられる可能性が高く、こうなると、働くだけで人生が終わってしまうことになりかねない。そもそも70歳近い老人を雇い続ける体力が企業にあるだろうか。

さらにグローバリゼーションにともない、人件費の安い新興国と労働賃金を競合することになり、家族を養う中高年の給与が高く設定された年功序列型の賃金体系は早晩、維持できなくなる。これまでは「いい大学に進み、いい会社に入れば、定年まで安泰」といった人生の成功パターンがあったが、次の10年間で日本人の働き方は大きく変わるだろうと本書は予測するのだ。

「手に職をつければ安心」という考えもあるが、寿命が100歳、年金支給が80歳という時代が到来したらどうだろう? パソコンの普及で代書屋やタイピストといった職業が消えていったように、数十年という長いスパンで考えたとき、今や「人生でひとつの仕事」は非現実的になりつつある。

そこで著者が提唱するのが「職業人生を2回選ぶ」生き方だ。著者自身、40代後半で大きく働き方を変えた。それまでは日本の証券会社と米系企業に勤務し、仕事にやりがいも感じていたが、海外出張が多く労働時間も長かったため、40代になる頃には、この働き方を今後20年続けていくことに限界を感じるようになった。そして、文筆業でやっていけると安易に考えたわけではなく、最低限の生活費ならパートで稼げるだろうと判断し、40代後半で転身したのだ。

40代ともなると体力の衰えを感じはじめ、誰しも人生の有限感と向き合うことになる。だからこそ、やりたいことの優先順位を決めて、残された人生を有意義に過ごそうと著者は提唱する。
20代最初の就職では、自分の基準で選ぶだけの情報を持ち合わせていないため、他人と違うものを選びにくい。そのため、職業も定番コースを選びがちだ。海外旅行でいえば、集団のパッケージ旅行をしているようなものだろう。

40代になると、働くことの実態がわかり、自分のやりたいこと、やりたくないことも明確になってくるから、個人の自由旅行のプランを考えるように、身の丈に合った「オリジナルの働き方」も選びやすくなるだろう。

しかし、40代で別の職業に就くには、よほどの経済力か能力がなければムリではないかと思える。たしかに今の生活レベルを維持したまま、別の職業に就くのは難しいだろう。そこで本書が提案するのは、支出を抑えたミニマムな生活に切り替えたうえで、体力があるうちに「自分で稼いでいける態勢を整えよう」という極めて現実的な人生の再設計なのだ。

20歳から64歳までの人口は40年後には3割以上減る。長期的に見れば労働力が足りなくなることはほぼ確実だ。収入はそこそこでよいと割りきれば、仕事がまったくないということは考えられない。そこで、「週に2、3日だけ働く」「好きな仕事にだけ専念する」といったように、高齢になっても続けられる働き方に40代で切り替える選択があってもいいだろう。

なにしろ人生も働く期間もどんどん長くなり、若い頃と同じように働き続けられるとはとても思えない。変化を恐れて現状にしがみつくのではなく、変化を前向きに受け止めて“未来の働き方”を準備すべきかもしれない。

3つのポイント

●年金受給70歳時代に備える

●職業人生は2回あると考える

●40代で長く継続できる仕事にシフト

文●大寺 明