『伝え方が9割』の要約まとめ

伝え方が9割

好きな子に告白したり、就職を希望したり、人生にはいくつもの岐路があり、そのつど私たちは人に「頼みごと」をしている。「ノー」と「イエス」では大きく結果が異なるが、もしかしたらその差とは79.5点と80点ほどの僅差だったかもしれない。この差の9割を占めるのが「伝え方」だと人気コピーライター・佐々木圭一は指摘する。彼が見つけ出した「伝え方」の法則をマスターしよう!

ヒット連発のコピーライターとして活躍する著者の佐々木圭一だが、実は少年時代は人に「伝えること」が大の苦手で、博報堂の新人コピーライター時代は落ちこぼれ社員だったそうだ。仕事で悩んでいたとき、これまで著者の心を動かした言葉には、ある法則があることに気づいた。

「考えるな、感じろ」というブルース・リーの台詞や「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」という『踊る大捜査線』の台詞は、いずれも正反対の言葉を用いて心に訴えている。この法則に気づいた著者は膨大な言葉やコピーを研究し、そこで見つけた法則に従った結果、一躍名コピーライターに変身。本書はこの法則を日々のコミュニケーションに活かそうと提案する。

人は一日に頼みごとを平均22回している。「ノー」と言われる場面を伝え方の工夫で少しでも「イエス」に変えていけば、きっと人生は変わるはず。「イエス」に変えるためには3つのステップがあるという。

まず、【1】自分の頭の中をそのまま言葉にしない。【2】相手の頭の中を想像する。そして、【3】相手のメリットと一致するお願いをつくるのだ。たとえば、「デートしてほしい」と思っているなら、相手がイタリアンを好きなことを考え、「驚くほど旨いパスタの店があるんだけど、行かない?」と誘うのだ。結局は「デート」と同じことだが、たしかに伝え方はまったく異なっている。

さらに、「相手の頭の中を想像する」には、7つの切り口がある。①は先の例のように「相手の好きなこと」を想像すること。②は逆に「嫌いなこと」を想像し、それを回避するように言葉をつくる。たとえば、「芝生に入らないで」ではなく、「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」と伝えるのだ。③は「選択の自由」を与えること。多くの人は決断するのが苦手だが、「パスタの店と、石窯フォカッチャの店どちらがいい?」という比較なら簡単に選ぶことができる。

④は、相手の「認められたい欲」を刺激すること。「きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?」と残業を頼めば、快く応じてもらえるだろう。⑤は「あなた限定」という伝え方で、「他の人が来なくても、○○さんだけには来てほしいんです」と限定して頼むのだ。⑥は「チームワーク化」すること。「勉強しなさい」ではなく、「一緒に勉強しよう」と言えば、子どももやる気になってくれるはず。そして最終手段にして最大の方法が⑦の「感謝」だ。「いつもありがとう」といった感謝から入ると、人は心理的に「ノー」と言いにくくなるという。

世の中の情報量はこの10年で約530倍になり、印象の薄い言葉は無視される時代となった。だからこそ、人を動かす「強い言葉」をつくることが大切になる。その基本となるのが言葉に高低差をつけることだ。そこにも5つの技術がある。

①「サプライズ法」は「!」をつけたり、「そうだ、~」「実は、~」というように伝えたい言葉を強調する。②「ギャップ法」は、「嫌いになりたいのに、あなたが好き」というように正反対の言葉で高低差をつける。③「赤裸々法」は、普段は言葉にしないような赤裸々なことをあえて言葉にする。その際、「くちびるがふるえてる。あなたが好き」といったふうに肌感覚を入れるのがポイントだ。④「リピート法」は、言葉を繰り返すことで印象を強める。「うまい」より、「うまい、うまい」とリピートする方が、心からそう思っているような印象になる。⑤「クライマックス法」は、「これだけは覚えてほしいのですが」といった前置きをすることで、聞き手の集中力をこちらに向かせる技術だ。

これらの法則は料理本のレシピのようなもので、その手順に従えば誰でもプロに近い味わいの言葉をつくることができるという。

3つのポイント

●自分の頭の中をそのまま言葉にしない

●相手のメリットを考えて頼みごとを伝える

●言葉に高低差をつけて、相手の心を動かす

文●大寺 明