『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』要約まとめ

アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書

忘れっぽくなったなぁ……。年齢を重ねると、脳の機能が衰えていくように感じがちだが、実はまったくそんなことはない。たしかに脳細胞の数は減少するが、それと反比例するように脳内にアミノ酸などの物質が増え、私たちの脳は死ぬまで成長し続けるのだ。医学博士の著者は、脳の「成長の仕組み」に沿ってトレーニングすることで、脳をさらに強化できるとしている。

 脳には「成長したい」というエネルギーが満ち溢れている。そのため、社会に出て「将来こうなりたい」という目的を持って行動する20代から40代にかけてがもっとも脳の成長が著しいそうだ。できるだけ多くの「経験」を積むことが脳を鍛えるため、脳科学的に見ても積極的にチャレンジすべき年代なのだ。

 脳に備わっている「成長の仕組み」に沿ってトレーニングしようとする本書のベースとなっているのが、「脳番地」という考え方だ。脳には1000億個を超える神経細胞が存在しているが、思考に関わる細胞集団、記憶に関わる細胞集団といった具合に、それぞれの働きによって集団を構成している。脳を1枚の地図に見立て、それぞれの集団に「住所(番地)」を割り振ると、120の脳番地に分けることができるという。年齢を重ねるにつれ、この脳番地がネットワークでつながれていくため、脳細胞の数が減少しても脳の機能は強化されていくのだ。そのため、ネットワークの「枝ぶり」を太くしていくトレーニングが効果的となる。

 脳には成長に必要な情報が得られていない「休眠中」の脳番地が多く存在するという。人と多く会話をする営業マンであれば、言語力の脳番地は酷使しているが、他の脳番地はあまり使われていないため、プライベートでは言語以外の脳番地を鍛えるようにすればいいだろう。普段、自分がどんなことに一番頭を使っているかを考えれば、おのずと鍛えるべき脳番地がわかってくるものなのだ。「言いたいことをうまく伝えられない」「よく道に迷う」「リズム感がない」といった苦手意識のある能力も、脳番地が休眠中となっているためであり、苦手だからと避けるのではなく、むしろ積極的に使っていくべきなのだ。

 効果的に脳をトレーニングするには3つのポイントがある。まず一つ目は「日常の習慣を見直す」こと。たとえばいつも長時間にわたる仕事が常態化している人は、脳に悪い習慣がついている可能性がある。長時間同じ作業を続けても脳が疲弊して作業効率は低下するばかり。日常生活をほんの少し見直し、小休止をとったり運動をして気分転換をはかるといいだろう。

 二つ目が「脳の癖を知る」こと。脳には万人に共通する癖と、人それぞれの固有の癖がある。「ほめられると喜ぶ」「数字でくくると認識しやすい」「睡眠によってパフォーマンスが高まる」などは誰しもに共通する脳の癖だが、「マンガは好きだけど、本は嫌い」といったものは、人によって異なる固有の癖となる。脳は「好き・嫌い」という嗜好に大きく影響され、どうしても好きなことを選びたがる。それは、すでに脳内にできあがっている「高速道路」のようなものであり、嫌いなことに関しては、道路工事から始めなければいけない悪路のようなもの。しかし、トレーニングによって開拓することも可能だ。

 そして三つのポイントが「『したい思考』で発想する」こと。多くの人は「やるべきこと」をたくさん抱えすぎ、いつしか何事に対しても「やらされている」という受け身の感覚に陥りがちだ。休眠中の脳番地は「させられ思考」になっている可能性があり、脳を鍛えるにおいても「したい思考」に切り替えないと効果は出ないという。

 これら三つのポイントを踏まえ、本書では「思考系脳番地」「運動系脳番地」「記憶系脳番地」など8つの脳番地にわけて66項目のトレーニング法が解説されている。中でも象徴的なものをいくつか紹介してみたい。
「思考系脳番地」のトレーニングでは、「自分の意見に対する反論を考えてみる」トレーニングが効果的。自分の意見を別角度から見ることで視野が広がり、脳に強い刺激を与えられる。

「伝達系脳番地」の鍛え方では、見知らぬ人に話しかけてみるといったコミュニケーションが有効。性格や立場といった予備知識がなく、相手のリアクションも読めない。そのため、伝達系の脳番地がフル回転するのだ。
「理解系脳番地」では「時間の枠」を設けると効果的。脳はデッドラインを明確にすると、それまでに作業を終わらせようとしてフル活動する。暗記しなければいけないことがあるなら、通勤時間の「1日20分」など時間を明確に決めると良い。
「運動系脳番地」では、利き手と反対の手で歯磨きをしたり、歌いながら料理をするといいそうだ。普段使わない動きをしたり、脳が同時に複数の指令を出さなくてはいけない状況を作ることで脳に負荷をかけるのだ。

 このように日常の習慣を見直すだけでも脳を刺激することは十分可能だが、著者は最後に“価値観が大きく変わるような体験をすること”が重要だとしている。価値観が変わるような体験は人によって様々だが、強烈な印象の体験をすることで脳が心地よい“衝撃”を受け、その結果、「潜在能力」が引き出されるという。

【アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書 3つのポイント】

●自分の脳の癖を知り、日常生活の習慣を見直す

●「やらされ思考」から「したい思考」へチェンジ

●新たな経験をして脳に負荷を与える

文●大寺 明