Appleの最新ニュースとこだわりレビューで個人サイトでは異例の500万PVを達成! ブログメディア『gori.me』が語る独立ノウハウ

g.O.R.i(草刈和人)/1987年神奈川県横浜市に生まれた後、すぐに東京に転居。6歳からアメリカのノースカロライナ州で過ごし、12歳で帰国。渋谷教育学園渋谷高等学校を経て、慶應義塾大学(湘南藤沢キャンパス)卒業後、ケータイサイト開発会社に就職。会社員時代の2009年から個人ブログ『gori.me』をはじめ、2014年に独立。Apple関連情報のブログメディアとして人気を博し、2016年に500万PVを達成。

――独立DATA――
●27歳で独立

【開業資金/0円】
会社員時代から『gori.me』を運営しているため、独立時にかかった費用は特にナシ。基本的に自宅で仕事をしているため、事務所費用もかからない。最近、法人化してレンタルオフィスを借りたものの、今でも自宅か渋谷のカフェで仕事をすることが多いそうだ。

――事業内容――
ブログメディア『gori.me(ゴリミー)
iPhone・iPad・MacなどApple関連情報を中心としたニュースやガジェットレビューのブログメディアを個人で運営している。レビュー記事では、いい面も悪い面もきちんと伝えるというスタンスで、多くのユーザーから信頼を得ている。2016年よりストックフォトサービス『PAKUTASO』とコラボし、YouTubeでレビュー動画を配信している。

新たな職業のひとつ「プロブロガー」。書くことが好きな人にとっては憧れの仕事だが、実際のところブログだけで生計を立てている人はほんの一握り。今回取材した『gori.me』は毎月300~400万PVをキープし、個人ブログというより専門誌にも匹敵する「ブログメディア」だ。かつて「メディア」というと、「テレビ局や出版社が持つもの」というイメージだったが、今や個人でもメディアは持てる! 多くのユーザーに支持される秘訣とは?

子どもの頃から「日記」を書いていた。高校時代にそれが「ブログ」になり、大学のゼミで「ブログメディア」を目指すように

 中高生の頃からとにかくケータイが好きで、量販店でキャリアのパンフレットを集めたりしていたんです。いずれはケータイに関わる仕事に就きたいと思って、大学時代は小檜山賢二さんというPHSの特許を取っている先生のゼミに参加しました。当時はアメリカでiPhoneが発売された直後で、日本はまだまだガラケー全盛の時代。未来の通信デバイスを研究するゼミでしたね。

 そのゼミの非常勤講師としてITジャーナリストの松村太郎さんが講義をされていたんです。松村さんはブログ文化の先駆けともいえる人で、最初期から個人でドメインをとって広告収入を得るということをやっていたんですよね。「個人でメディアを作るなんてスゴイ!」と思うようになって、僕が今ブログメディアをやっているのも松村さんの影響が大きい。

 実は物心つく頃から「書くこと」が好きだったんです。小学生時代をアメリカで過ごしたんですが、親に薦められて日記をずっと書いていて、「いい文章を書くね」と褒められたり、校内の賞をとったりしているうちに、「文章を書くのが楽しい」と感じるようになった。僕は活字も嫌いだし、本を読むのも好きじゃない。だけど、書くことだけはずっと好きで、文章を書く自信だけはあったんですよね。

 帰国後しばらくは日記を書かなくなったんですけど、高校生の頃に『はてなダイアリー』が僕の学年でブームになったんです。もともと日記をつけていたのが、ブログというかたちでまた書くようになった。大学1、2年のときはあまり書かなくなっていたんですけど、松村さんと出会ったことで、再びこまめにブログを更新するようになったんです。いずれは自分も「.com」をとってブログメディアをやりたいという思いがありましたね。

 もともと僕には自分が興味あることを無限に話し続けるという特技がある(笑)。「こんなことがあったんだよね」「これスゴイよね!」と誰かに伝えたいという欲求があって、しかも文章を書くのも好き。自分にとってブログはとにかく相性がよかったんです。

 よく「最初から収益化を狙っていたんですか?」と聞かれるんですけど、最初の頃は収益化もアクセス数もまったく気にしていなかった。言ってしまえば、ただひたすらしゃべるのが好きというのと、それを誰かに伝えたいという欲求を満たすための自己満のブログだったんです。Appleの情報や旅行やグルメの情報を雑多に書いていて、自分が好きなものを書くことがベースでした。その発想自体は今も変わってない(笑)。

就職と同時に『gori.me』をスタート。仕事もブログも全力でやっているうちに会社員ブロガーとしては異例の100万PVを達成

 就職活動では「理想のケータイを作りたい」という気持ちがあって、ケータイ端末を開発している会社に入りたかったんですけど、面接でいいところまでいったのに落ちてしまって(笑)。そこで方向を切り替えて、企画ができそうな会社を志望したんですね。こうして入社したのが、大手IT会社系列のケータイ向けコンテンツ制作会社でした。女性向けの月額課金サイトのチームに配属されて、ユーザーインターフェイスの改善や数値分析、企画提案といったディレクター兼プロデューサーといった仕事でしたね。

 その一方で、社会人になった半年後には自分のドメインを取得して、『gori.me』を始めたんです。日本でもiPhoneが発売されたこともあり、最初からiPhone情報が多かったです。当時はまだOSがいまいちだったこともあって、「脱獄(※iPhoneのOS改善ソフト)」といったマニアックな情報を書いたりしてましたね。

 会社員時代は6時に起きて9時までガムシャラに記事を書いて、出社後もランチを早めに切り上げて記事を1本書いたり、帰宅後に記事を予約投稿したりしていました。業務に支障をきたさない範囲でブログを運営していて、ちゃんと仕事で成果も出していたので、会社からも認められていました。むしろ、ブログを通してスマホ関連の最新情報をサーチできていたので、社内で頼りにされることが多かった。個人的なブログの活動をちゃんと会社に還元できるような取り組みをしていたんです。

 当時は会社を辞めて独立しようなんて考えてもいなかった。だけど、『gori.me』を何年も継続していくうちに、個人ブログとしては異例の100万PVになって、「これだけ多くの人が読んでいるのに独立しないのはもったいない」と周囲からさんざん言われていたんですね。自分としては会社員ブロガーであることに誇りを持っていて、フリーランスはリスクと隣り合わせだし、社会保険料を会社が半額負担してくれる会社員のほうがいいに決まってるだろ、と言い切っていたんです。

 某有名ブロガーに「会社員ブロガーは魅力がない」といった否定的な記事を書かれたことがあって、「ふざけんな!」と思って反論する記事を書いたこともあった。そのときは、僕はチームで働くことが好きだし、会社にいると周囲からいろんな刺激が得られるといった会社員ブロガーの魅力を力説していたんですけど、その半年後に独立することになったんですよね(笑)。

失敗したら自分のせい、成功したら自分のおかげ。責任の所在がはっきりしたフリーランスの生き方は、自分の性に合っている

 そのきっかけとなったのが、自分が所属していた部署の解散でした。その後、電子書籍の部署に異動したんですが、その部署も解散することになって、チームの大部分の人が親会社に吸収されることになった。自分は会社に残って新規事業の手伝いをやることになったんですけど、以前から僕はずっと新規事業をやっていたので、もういいかな……という気持ちでしたね。

 これまでも新規事業の社内コンペに積極的に参加して、実際に新規のソーシャルアプリを作って100万ダウンロードを達成したり、そこそこ結果を出していたわけですけど、さすがに5年もいると会社的にこの企画は通る、これは予算的にムリだといったことが、ある程度わかってくる。それは会社が悪いという話ではなくて、会社が求めるものと自分がやりたいことが一致するかどうかという話で、会社に不満があったわけではないです。

 部署が解散することになった頃から独立を意識しはじめた。そこで、本当に僕は独立してやっていけるのか?ということを検証するために、目標のPV数と収益を設定して半年間それを達成できるかチャレンジしてみたんですよね。会社勤めをしながらその目標を達成できれば、僕には独立する権利があると。

 その結果、半年間、毎月目標を達成できた。これでいつでも独立できる。だけど僕は会社が好きだったので、会社に残りたい気持ちもあった。父にも相談したんですけど、実は父も早期退職してフリーランスになった人で、「独立するんだったら30歳までにやれ」と言われたんです。当時は27歳だったので30歳までに3年ある。そんなとき、大学時代にお世話になった教授に「何をやるにしても絶対3年以上はやれ」と言われたことが頭をよぎったんです。30歳までの3年間……条件がそろっているように感じて独立を決断しました。

 入社時からお世話になっている上司に「自分の実力で勝負したい」とお伝えしたら、わかってもらえて、みんなに応援してもらって円満退社しました。実際フリーランスになってみてあらためて感じるのは、たしかにフリーランスは波があるし、なんの保障もない。みんなこれを嫌がるんですけど、僕は明日を生きるために今日をがんばるという生き方が大好きなんです。

 もともと僕は自分の時間が欲しいとか、不労所得が欲しいという理由で独立したわけではなくて、『gori.me』をもっと大きくしたいという理由で独立しているので、今は会社員時代よりたくさん働いてますけど、まったく苦にならないし、むしろやり甲斐のほうが大きい。失敗したら自分のせいだし、成功したら自分のおかげ。責任の所在がはっきりしたこの感覚が僕の性に合っている。だからこそ、個人運営のブログメディアにこだわっていきたいんです。

独立を機に、なんでもブログから、Apple情報に特化したブログに転換。自己主張をするだけでなく、「ブログメディア」としての自覚が生まれた

ゴリさんのデスク。RSSをチェックしながら原稿を書いている。

 もともとすごい雑多なブログだったわけですが、独立するタイミングで「結局、何のブログなの?」となるのがよくないと思った。いろいろ考えた結果、僕が一番書きたいことで、みんな読みたい情報というと、Apple関連の情報を主軸としたテック系のニュースやガジェットのレビューだと行き着いたんです。

 独立後は毎日更新しないといけないという義務感が芽生えましたね。頻繁にサイトを訪れてくれる人は、『gori.me』を見ればApple関連の最新ニュースはだいたい書いてあるだろう、という前提で見てくれていると思う。これまでも毎日更新していたわけですけど、フリーランスになったことで会社の勤務時間をすべてブログにあてられるようになって、ニュースの速報性や記事の質によりこだわることができるようになった。

 こうすれば必ずPV数が上がるというノウハウは基本的にはないですけど、僕の場合、『gori.me』に来れば必ず何かしら新しい情報があるということを大事にしています。独立直後は1日9本くらい記事を書いていて、通勤時間に記事を1本読んで、昼休みに見ると新たな記事が2本くらい上がっているというふうに読者を飽きさせない取り組みをしていましたね。

 ニュースサイトは基本的にフラットな立ち位置で書かれていますけど、せっかく個人でやっているわけだから、自分のフィルターを通してニュースに対する見解を匂わせたり、文体も僕なりの世界観を出すようにしています。レビュー記事では、本当に欲しいものなのかどうか、という温度感が伝わる文章、構成というのを大事にしています。

 だからレビューでも自分をガンガン出します。ふわっとした曖昧な評価をするより、好きか嫌いかはっきりさせたほうが自分としても読みごたえがあると思うんです。ただし、頭から否定するのではなくて、この2つのうち、こっちを選んだ理由を説明したり、フォローを入れるといったバランスを大切にしています。

 大手メディアと違って、ブロガーにはブロガーの良さがあって、「自分はこう思う」という自己主張がしやすい。個人だからこそできる情報発信を大切にしたほうがいいと思います。だからといって自己満だけで発言していると、単なるオナニーブログになりかねない。そんな情報に価値はないし、読者もつかないと思う。僕の場合は「オレはこう思う」といった自分の味を出しつつ、なぜそうなのかという説明を入れたり、他の製品と比較してみたり、少し広い視野と高い視点で記事を書くことを常に意識しています。そうした意味を込めて、「プロブロガー」ではなく、「ブログメディア運営者」と名乗っているんですよね。

ブログメディア運営 独立ノウハウ集

独立前

フリーランス志望の人こそ、会社員経験を積むべし

フリーランスになるなら、「会社員経験は絶対にしておいたほうがいい」とゴリさんは力説する。電話の取り方、メールの文面、パワポやエクセルの使い方を覚えることができたし、上座下座といったしきたりや営業の際の話し方といった社会人の基礎的マナーを知ったのも会社だった。そして何より重要なのが、チームでいろんな人と仕事をする際の社内調整や、与えられたポジションの中でどうパフォーマンスを発揮するかといった身の処し方だったという。フリーランスはいわば一人社長のようなもの。営業も制作も事務も全部自分一人でやらなければいけない。一人で生きていくために必要な基礎能力が身に着くのが“会社”だ。

何ごとも「3年以上」続けるべし

社会人1年目のゴリさんは猛烈に働き、ストレスで急性胃腸炎になったりしていた。仕事に嫌気がさして愚痴ばかりこぼしていたとき、大学時代にお世話になった教授に「3年は必ずやれ」と諭されたそうだ。結局、会社を5年勤めたわけだが、振り返ってみると1年目は基礎を固める期間、2年目は実践の期間で、後輩ができて少し自覚も生まれる。3年目は応用の期間で、部下ができて管理職も経験できた。3年の間にどんどん立場が変わり、そこで経験してきたことがすべて今に生きているという。また、「新卒カードは絶対に使ったほうがいい」とゴリさんは言う。一生に一度しか新卒入社は経験できない。社会に出てから「同期」の友だちができることは、とても貴重なことなのだ。

WEBメディアに大事なことは「継続と情熱」

「メディアというのはすごく時間がかかるものです」とゴリさんは言う。最初の数年はアクセス数をあまり気にせずブログを書き続け、10万PVで大喜びしていたが、さらに継続していくうちに100万PVに達し、独立後は倍の200万PVに到達。それだけ注目度が高いことと記事の質が評価され、『SmartNews』や『LINE NEWS』と提携することになり、ピックアップされた記事がきっかけで昨年500万PVを達成! 次に目指すは1000万PVだ。そこに行くための近道は存在しないとゴリさんは言う。すぐに結果を出そうとせず、着々と積み重ねながらサイト運営していくしかない。WEBメディアに大事なことは「継続と情熱」の2つだという。

独立後

レビュー用商品は、自腹で買って使い込むべし

当然のことながら、レビューしているApple製品は自腹である。ゴリさんはAppleの新製品が出ると買うことを基本にし、「MacBookPro2016」に約46万円、「iPhone7Plus」に約13万円など去年はApple製品のみで100万円近く経費に使った。ただし片っ端から買うのではなく、欲しいと思うものにしぼって購入し、なぜその製品を選んだのか、実際に使ってみてどうだったのか、という実感がこもったレビューを心がけている。使い込んでみる時間がかかるため、多少レビューが遅れることもあるが、読者が購入を検討する際に本当に知りたいのは、スペック情報だけでなく、実際に使っている人の“生の声”なのだ。

専門誌的な「ブログメディア」として広告収入を得るべし

プロブロガーは基本、広告収入で生計を立てている。ゴリさんの場合、バナー広告報酬が5割(Googleのアドセンス広告が多い)で、アフィリエイトが4割。『gori.me』は単なるブログではなく、新製品情報のニュースメディアという側面を持つため、メーカーからの広告の出稿も多いそうだ。記事広告では予算をかけてプロカメラマンやモデルに依頼するなどし、記事公開後もなるべく多くの人の目に触れるように広告運用に力を入れている。たった一人で作っているメディアとはいえ、モノ情報の専門誌となんら遜色なく、500万PVの広告効果はむしろ雑誌以上かもしれない。ちなみに収入は、会社員時代よりもずっといいそうだ。

自由だからこそ、きちんと自己管理すべし

フリーランスというと、満員電車や会社の人間関係から解放されると羨む人もいるだろう。しかし、裏を返すと引きこもりがちで孤独な仕事になりかねない。時間が自由に使えることも、一歩間違えるとただの自堕落に……。その点に関してゴリさんはとてもストイックだ。朝は7時前に起きてRSSを見ながら執筆開始。昼まで仕事をして、午後はプライベートにあてる。そして夕方からジムでトレーニング。家にこもってずっと仕事をしているのは精神的にも健康的にもよくないという考えだ。仕事を離れてジムでいろんな人と接することで、刺激を受けたり、アイデアが生まれることも多いという。夕食後は寝るまで仕事をして、12時過ぎには寝るという健全なサイクルの生活を送っている。

取材・文●大寺 明

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gori.me(ゴリミー)

テクノロジーの世界は動きが早いが、『gori.me』を見ておけばとりあえずAppleを中心としたITニュースは抑えておくことができるだろう。

『gori.me』では次期iPhoneがどうなるのかという噂レベルの情報から、話題のガジェットのレビューなど、テクノロジーに関する幅広い情報をカバー。特に商品レビューには力を入れており、Apple製品はもちろんのこと、各種アクセサリーや周辺機器、ヘッドホンやバックパックなどを紹介。最近は動画でも商品レビューを行っている。

レビュー記事まとめ

動画レビューまとめ

何を買えばいいか分からないと言う人のためには僕の選んだお気に入り商品として「ゴリミーセレクト」も公開している。

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