SEO対策は「忍耐力&面白さ」が大事。ネットショップ店主が語る独立ノウハウ

合同会社ズィーマ 飯島勇介
合同会社ズィーマ 飯島勇介(いいじま・ゆうすけ)1984年新潟県生まれ。大学時代は商学部で簿記や会計を学ぶ。卒業後、倉庫業の会社でシステムエンジニアとして5年間勤務。2012年に退職し、おもしろ雑貨とプレゼントのネットショップ「セレクトショップ・じぃーま」をOPEN。2013年11月に合同会社ズィーマを設立。

zxm_sab_01――独立DATA――
●27歳で独立
【独立資金】計:約53万円
<内訳>
・商品仕入れ代 約50万円
・段ボール代 3000円
・ソフト『ネットショップ・オーナー5』 2万5809円
・サーバー代 月額500円

――事業内容――
●ネットショップ
合同会社ズィーマ
設立:2013年11月15日
資本金:50万円
おもしろ雑貨とプレゼント用雑貨を販売する「セレクトショップ・じぃーま」の運営。自らの開業経験を活かして「ネットショップ開業相談」という相談サービスも行う(基本料金:約2時間で3000円)。この他、スマホ向けアプリ開発やウェブサイト制作なども請け負っている。

脱サラして「ネットで商売はできないか」と多くの人が考える。世間では「ネットショップで年商○億円」といった本がバカ売れしていたりして、誰でも簡単に一儲けできそうな気がしてしまうのだ。しかし、実際にネットショップを開業した飯島さんの最初の1年半は、ほぼ収入がない状態……。そうした苦い経験から、ネットショップの開業を辞めるよう説得する『ストップネットショップ』なる珍サービスまで行っているのだ。実際のところどうなのか!? ネットショップ店主の本音に迫る!

検索に引っかからない「おもしろ雑貨」のネットショップがやりたい。ダメもとで奥さんに相談した

 大学卒業後、倉庫会社のシステムエンジニアとして5年ほど働いたんです。システムは平日に止められないので、ゴールデンウィークや年末年始といった連休中に作業をするのが当たり前で、平日も深夜まで普通に働いてました。忙しいのは忙しいんですが、決してブラック企業というわけではなくて、システム部門ってだいたいどこもそんな感じなんです。当時はやる気もあったし、それなりに仕事も充実してました。ところが、よくある話なんですけど、上司がちょっとよろしくなかった……。

 最初の上司は絵に描いたようなパワハラ上司で、7時間半の勤務時間のうち7時間は怒鳴りちらしているような人でした。その上司が移動になってやっと解放されたと思ったら、今度はものすごくいい加減な上司になった。それくらいならやり過ごせるんですが、仕事の目標を見失ってしまったんです……。技術者って、たとえ仕事が大変だったとしても、社内に自分より優れた技術者の先輩がいて、その人を目標に頑張ったりするものなんですね。ところが、できる先輩がみんな辞めてしまった。いきなりシステム部門のエースみたいになって、しばらくは調子に乗って張りきっていましたが、次第に「このまま会社にいてもしょうがない」と思うようになっていったんです。

 昔から僕はおもしろ雑貨が好きで、よく東急ハンズやロフト、ヴィレッジヴァンガードに行って癒されてたんです。いっぱい買い込んだりするわけじゃないんですけど、ああいう所に行くと、無条件に楽しくて何時間でも見ちゃうんです。そうしたおもしろ雑貨のネットショップってないなあ、と思っていたこともあって、前からネットショップをやってみたいという気持ちがあったんです。

 会社を辞めようかと思いあぐねていたとき、ダメもとで奥さんに相談したら、あっさり「やってみたら」と言ってくれた。家族の同意が得られたことで、いよいよ退職を申し出たわけですけど、その後しばらくして、いい加減な上司が移動になって、ちゃんとした上司になった。迷ったんですけど、辞めると宣言してしまった手前、引っ込みがつかなくて(笑)。

 ネットショップを開業するにあたって、最初の1年くらいは売上が伸びなくても仕方がないと割り切っていました。雑貨の販売なので、たとえ失敗したとしても出費は仕入れ代と当面の生活費くらいで限られているじゃないですか。それくらいなら貯金でなんとかなる。ネットショップなら自前のパソコンで始められるし、商品の物撮りも自分でやろうと思えばできる。開業費用をなるべく抑えて、最初は自宅からスタートしました。

1年半はほぼ収入ゼロ。マメにサイト更新を続けるうちに検索に表示され、ようやく上向きはじめた

 ほとんどのネットショップは、売れている商品しか売らないものです。売れ筋ランキング1位の商品を仕入れて、それを転売するようなやり方が一般的なんです。その方が商品名を検索されやすい。そのかわり、Amazonや楽天といった大手との価格競争になってしまう。一方、おもしろ雑貨ってそもそもなんて検索すればいいのかもわからないものですよね。「セレクトショップ・じぃーま」は、逆に検索ワードに引っかからないようなグッズを集めて販売するというニッチな発想というわけです。

 まずはおもしろ雑貨を探さなくてはいけないわけですけど、最初はどこで仕入れればいいのかもわからない。雑貨の卸問屋街を見て回ったりもしたんですが、取引用のカードを作る必要があったりして、個人で申し込むにはちょっと面倒なんですよね。結局、ネット卸しを利用することにしたんですが、これがすごく簡単でした。Amazonで買うのと同じような感覚で、仕入れができてしまうんです。仕入れていくうちに、逆に卸会社から「この商品どうですか?」とメールが来るようになって、だんだん仕入れ先も広がっていきました。

 ところが、覚悟はしていたものの、最初は本っ当に売れなかった。そもそも検索エンジンに引っかからないので、お客さんが来ない。知人が月に1、2回買ってくれるという状況が1年半続いたんです。さすがに焦りはじめて、PPC広告(クリック回数に応じて広告費が発生)を入れることにした。検索で目立つところに表示されるので、当然、売上もそれなりに伸びました。多いときで広告費に15万円くらいかけたりもしたんですが、雑貨は単価が安くて、しかも利率が30~40%だから、数を売らないといけないので、相殺すると赤字になりかねない。ただ忙しくなるだけで、こりゃダメだと……(笑)。

 結局、PPC広告は辞めたんですけど、その後、売上は変わらなかったんです。その間ずっとページの更新だけはこまめにしていたので、自然と検索に表示されるようになっていたんですね。ネットショップは日々サイトを更新することで、ちょっとずつ結果に表れてくるという長期戦なんです。TwitterやFacebookの情報発信は検索結果ではあまり意味がない。あれは形に残らないので、検索ロボットの評価にならないんです。

 僕の場合、ブログに力を注いでるんですが、商品紹介はせずに好きなことだけ書いてますね。ネットの世界では「本当のところどうなの?」という部分をみんな知りたいものだと思うんです。だから、うまくいかない部分も含めて、とにかくリアルな話を書くようにしてます。そこで「この人は嘘をついていない」と思っていただけると、だんだん読者も増えていくし、リンク先の「セレクトショップ・じぃーま」で買物してやるか、という方も出てくる。結局、正直に書くことが、一番アクセス数が集まりやすい記事になるんですよね。

グーグルの検索ロボットに裏ワザは通じない。ユーザー評価の高いコンテンツ作りを目指すべし!

 ネットショップにおいてSEO対策が一番重要なわけですが、一昔前はある程度SEO対策ができた。たとえば、市役所などの公的サイトはグーグルの評価が高かったので、そこにリンクを貼ってもらえれば検索上位に表示できるというやり方があったんです。だけど今は、グーグルの検索ロボットの精度が増して、仕組みもブラックボックスになっていて誰にもわからない。だから、こうしたらこういう結果になった、と地道に検証して、みんなで情報を持ち寄るくらいしかできないんです。

 いろんな憶測が飛び交っていますが、SNSで沢山シェアされているとか、瞬間的にアクセスが集まっているといったことを複合的に判断しているようですね。しかも、検索ロボットが判断するだけでなく、人の目で判断する部隊もあるらしいんです。最新のSEO対策は「コンテンツマーケティング」と呼ばれていて、とにかくユーザーに面白いと評価してもらえるコンテンツを作って、メディアとして関心を集めることなんです。

 僕のブログで一番アクセス数を集めている記事は、ネットショップを開業してからの経過を期間ごとにまとめた記事です。ネットで検索すると「NAVERまとめ」がいっぱい出てきますよね。あれと同じ原理だと思うんですが、とにかく読みやすくまとめた記事が上位に表示されるみたいなんです。これが今のところ僕の唯一の攻略法です。ネットショップで開業しようとする人は、とかく短期決戦を求めがちですが、結局、日々工夫をしてちょっとずつ良くしていく積み重ねしかない。この仕事に一番必要なのはズバリ“忍耐力”なんです

 今の一日のスケジュールは、朝、子どもを保育園に送ってから9時くらいに事務所(2014年に借りた)に来て、まず商品の購入をチェックします。その後は検索順位を確認したり、仕入れる商品を探す定期チェックをしたり、ブログの更新作業をしたりです。プレゼント用の雑貨はクリスマスやホワイトデーが繁盛期で、1月2月はさっぱりだったり、けっこう波があるので、暇な時期は副業でアプリを作ったりしてます。月に何万円か広告費が入ってくるのでいい副収入になってます。脱サラして時間に余裕ができるかと思いきや、常に何かしらやることがあって、朝から晩までキーボードを叩いてますね。結局、サラリーマン時代以上に働いているという(笑)。

 そこで手を止めてしまうと、途端に収入が落ちてしまうのがネットショップというものです。眠れない夜もあるし、今後のことをうじうじ思い悩む日もありますけど、振り返ればそれもいい経験だったかなと。とりあえずはやってよかったと思います。たぶん、やっていなかったら今も会社勤めをしながらモヤモヤしていたと思う。

ネットショップも実店舗も客商売の基本は同じ。情報商材が言うような、手軽に儲ける方法はない

 無料でネットショップが出せるサービスが登場して、膨大な数のネットショップができましたけど、ほとんどの人はマメに更新しているわけでもないので、サイトにパワーがない。手軽に始めた人ほど、すぐに諦めてしまう傾向があるんです。簡単にお店が出せる反面、継続しているのは1割以下だと思います。

 僕自身、勢いでネットショップを始めて、最初の1年半はすごく苦労した。その経験を活かして「ネットショップ開業相談」というサービスをやっています。相談者で多いのが「積極的にネットショップがやりたい」というより、「積極的に会社を辞めたい」という動機です。そういう場合はまずうまくいかないので、すぐに会社を辞めるのではなく、まずは副業で始めることをお薦めしていますね。また、ネットショップは「何を売るか」が一番大事なわけですが、困るのが手作りアクセサリーを販売したいといった人や、中国の卸サイトで大量生産品を仕入れて転売しようとする人です。自分がいいと思うものが売れ筋とは限らないし、安ければ売れるというものではないですよね。

 ネット上に出てくる情報って、コンサルタントが情報商材を売るためのものだったり、セミナー告知が目的だったりして、「こうすれば上手くいく」みたいな情報がほとんどですよね。逆に「ネットショップで失敗した」と書いている人は滅多にいない。だけど実際は後者がほとんどです。月商○百万とか年商何億とか、あれは基本的に嘘ですから。あるいは、100万人に一人のサクセスストーリーを誰でもできるかのように書いているんです。そもそもネットショップで年商何億も稼げる人が情報商材を売る必要などありませんから。

 そうしたいい話を鵜呑みにして現実を踏まえずに開業しようとする人があまりに多いので、「ストップネットショップ」というネットショップ開業を辞めるよう説得するサービスも始めました。反響はけっこうありましたね。「自分はネットショップをやってくるくせにどうなんだ?」という批判を沢山いただきまして(笑)。依頼はまだ一件もないですが……。僕の説得なんて、集客法やSEO対策など、事前に調べられることを調べているか確認するくらいで、たいしたことは言いません。むしろ僕の説得を論破するくらいの計画を練ってほしいんです。

 結局ネットショップといえども、お店の出し方の一つでしかない。実際に店舗を借りて雑貨屋やラーメン屋を始めるのと意味的には同じで、いずれにせよ、どうすればお客さんを呼べるかを必死に考えなきゃいけない。それが上手な人は月に数百万円稼げるかもしれないし、苦手な人は店をたたむことになる。ただそれだけの話なんです。それがネットショップになると、急に商売の基本みたいなことが曖昧になって、「みんながアクセスしてすぐに売れるんでしょ」というイージーな発想になりがちなんです。

 対面販売ではないとはいえ、「この商品が良かった」「イマイチだった」とか、あるいは「きれいにラッピングしてくれてありがとう」といった、お客さんの反応がダイレクトに見えることが面白い。僕のお店は基本的に、ちょっとふざけた雰囲気を売りにしているので、要望欄に「連絡事項または好きな芸能人をお書きください」といったことを書いてるんですよ。そうすると、「最近、奥菜めぐみを見ないがどうしたんでしょう?」というコメントがあったりして、それに返信するのが楽しい(笑)。商品には必ずお手紙を入れるようにもしてます。そうすることで、店員さんと直にコミュニケーションしているような感覚で買い物をしていただくことが大事だと思ってるんです」

ネットショップ開業ノウハウ集

【独立前】

家族の同意を得るべし

家族がいる場合、独立は自分だけの問題ではない。たとえ安月給でも家族を養えるだけの固定収入があることは実にありがたいことなのだ。飯島さんの場合、1年は持つくらいの貯金を用意して開業したが、結局1年半は赤字続きで、奥さんが共働きで収入があったからやっていけた面もある。時間的に自由がきく仕事なので、飯島さんのように日中は2歳の子供の面倒を見るなど、奥さんの負担を軽減してあげるといいだろう。

サーバーの固定費を抑えるべし

実店舗の家賃に比べると、比較にならないほど安いが、ネットショップにはサーバー代という固定費がかかる。月額で3~4千円が相場で、商品数を充実させたり、スマホ対応をしようとすると7~8千円になる。ネットショップ開業ソフトの動作確認か検証され、安心できるのはたしかだが、飯島さんが安いサーバーを探した結果、月500円のサーバーでも問題ないことを確認した。固定費は安いにこしたことはない。

図書館を活用すべし

開業相談をする人に基本を教えるために、飯島さんは図書館を活用することを薦めている。口頭で一から十まで教えようとすると何時間あっても足りないものだが、実用書は情報が整理してまとめられているので時間的に効率的。しかも漏れもなく、図書館なら無料だ。今でも飯島さんは仕事が暇になると、図書館で「ネットショップ」と検索して何冊もの本を借りて読み漁る。本を読んで、自分で考える習慣を身につけることが後あと役に立つのだ。

【独立後】

サイトをこまめに更新すべし

グーグルの検索システムで上位に来るようにするには、「まだ生きているサイトである」ことをアピールすべく、こまめな更新作業が必要。検索ロボットの仕組みがわかっていないため、トヨタのPDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)の方式のように、実行してから検索順位の結果を検証していく地道な作業が求められる。検索エンジン対策のサイトがいろいろあるので、研究してみるといいだろう。

合同会社で安く法人化すべし

ネットショップは個人事業主でもかまわないが、やはり法人にした方がなにかと有利。株式会社の法人手続きは20数万円かかるが、合同会社の場合は10~15万円程度で設立が可能で、ほぼ株式会社と同じ節税対策ができる。そのため近年は合同会社の開業が急速に増えているのだ。その反面、決算の手続きが個人事業主と比較して煩雑であり、赤字でも法人税を支払う義務があるなどのデメリットもあるため、よく検討する必要がある。

商品の魅力を文章で面白く伝えるべし

「セレクトショップ・じぃーま」の商品説明は実にユニーク。無機質な説明ではなく、“よけいなこと”がいっぱい書かれていて、ニンマリしてしまう。「買い物をしなくてもいいから、まずは楽しんでいってよ」というスタンスで、商品紹介自体が娯楽コンテンツとなっているのだ。しかも文字が増えることでSEO対策にもなっている。面白い文章を書くのが苦手……という人は、マスコットキャラを立ててしゃべらせる感じで書くといいかもしれない。

取材・文●大寺 明

zxm_shopおもしろ雑貨とプレゼントのネットショップ
セレクトショップ・じぃーま
 当店に並ぶ雑貨は、どれも店長が鋭い目つきで睨みつけつつ選んだ厳選アイテムばかり。一見なんの変哲もないものであっても、必ず面白いポイントを秘めているものです。そうしたおもしろ雑貨を他のどの雑貨販売サイトよりもやたらと詳しく、かついい加減に解説。たまにアイテムとは関係のない話に脱線することがありますが、「あぁ、この人は疲れているのかな」という感じでスルーしてください。
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