TSUTAYA図書館から考えるこれからの図書館に本当に必要なもの

レンタル最大手のTSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)による公立図書館の業務委託が近頃話題になっています。年中無休、開館時間は朝9時から夜9時まで、図書館内にスターバックスといったカフェなども設置されるなど、民間ならではのなしえる技で人気を集めています。

しかし、選書に関しての問題や図書館としての役割など、その在り方に対して疑問や批判を投げかける声も少なくありません。そこで今回は、TSUTAYA図書館の事例から考える図書館の今後について考えていきたいと思います。

選書が命!様々な利用者に対応した図書館づくり

図書館

佐賀県武雄市の武雄市立図書館2013年からCCCを指定管理者とする運営が始まりました。その際に新たに1万冊もの図書を購入したのですが、佐賀県と全く関係のない地域のラーメンガイドや、もう10年以上前のパソコンのガイド本などが中古で購入される、さらには元々あった武雄市の重要資料を処分してしまうなど、「選書」に関しての問題の声が続出しました。

「選書」とは、読んで字のごとく、図書を選ぶこと。どの本を購入し、どの本を残し、どの本を処分するのか。こうしたTSUTAYA図書館の事例に限らず、他の民間の指定管理者、公立の図書館においても、選書が重要なのがわかります。

この選書、オーソドックスな選定基準はあれど、図書館によって変わってきます。その土地柄や利用者の声、貸し出しデータや世間の書評などを参考にしなければならないので、きちんとできるためにはとても時間がかかります。

さらに公立図書館、学校図書館、専門図書館など、図書館自体の色によっても変わってきますので、選書をする図書館司書の力量が問われます。

ただ流行ってるから、という理由だけで同じ本を何冊も購入するというのはあまりに安直です。一般利用者はもちろん、専門職の人や学生に向けた専門的情報もきちんと取り揃えていく必要があります。

特に、専門書などは図書館でしか見られないような高価なものが多いです。そうしたニーズにもきちんと応えていく必要があるでしょう。そのために、きちんとした選書ができる司書を育成していかなければなりません。

ここは図書館?それとも本屋?欲しい情報にたどり着けない!

本を探せる?

日本の図書館では、『日本十進分類法』という図書の分類法が主流です。本のジャンルの違いを数字で表し、お目当ての本にたどり着く、というものです。日本の図書館では、ほとんどこの分類法が採用されているのですが、TSUTAYA図書館では採用されていません。

また、日本の図書館であれば、どんなジャンルの本がどこにあるのかは大体わかるものですが、TSUTAYA図書館では、建物の構造上複雑になっていること、細かい本棚の配置図、見取り図がないため、お目当ての本を見つけるのがかなり難しいです。

内装にこだわることは大切ですが、まずはどこに何があるのかを誰が見てもわかりやすいところに設置しないといけません。

図書館としての配慮

海老名市立図書館がリニューアルオープン

今年10月、指定管理者としてCCCが運営する神奈川県の海老名市立図書館がリニューアルオープンしました。TSUTAYAの店舗とスターバックスが設置され、とてもおしゃれな内装になりました。

しかし、きれいになった内装とは裏腹に、TSUTAYAの販売スペースと図書館の境目がわかりづらい、本来一番手の届きやすいところに置かなければならないはずの児童書のコーナーが最上階の4Fにあるなど、図書館としての配慮にも懸念がなされています。

このように民間企業が介入してくることで、ビジネスに方向性が傾き、本来の図書館としての機能が損なわれる危険性も否定できません。図書館である以上、子どもから大人まで、あらゆる人が使う公共の場所としての存在意義が求められます。

考える、図書館の今後

オシャレで機能的であたたかい図書館を

とはいえ、年々指定管理者として図書館の業務を民間へ委託するケースは増えています。そして、今後も増えていくでしょう。

もちろん、民間に委託したことで生まれるメリットもたくさんあります。朝早くから夜遅くまでの開館時間の拡大、年中無休、内装の美化など、公立の図書館ではなかなか手の届かないところにまで手を伸ばしてくれます。

それでも考えてほしいのは、まずは「図書館」としての役割、機能をきちんと果たすことです。新しく生まれ変わることは古いところを全て捨ててしまうことではありませんからね。

たとえば図書館司書。資格保有者に対して実際に司書として働いてる人は少ないです。こうしたまだ活用しきれていない層を有効的に企業が雇ってサービスのクオリティーを高めるというのも、アリかもしれません。

つまり、民間のいいところと、行政のいいところをうまく融合した形の図書館ができあがれば、今まで以上にオシャレで機能的であたたかい図書館が生まれるのかもしれません。