【鶴瓶・タモリ・さんま】心理学者に聞いてみた!誰でもできる初めての「司会学」(前編)

常に中立の立場で、イベントや行事を「始め、進め、まとめ、終わらせる」という重要な役割を担っている司会。テレビの司会ではなくとも、日常生活には会議や冠婚葬祭、飲み会など、場を仕切らなければならないことは意外にたくさんあるものです。そんなときに、テレビに出ている有名な司会者を見ていると、自分もああやって上手に仕切れたら…なんて思ってしまいますよね。

内藤誼人先生

今回は、そんな有名な司会者が使っている「場を仕切る技術」を心理学者の内藤誼人先生に解説していただきます。内藤先生が「この司会者はすごいな!」と思う司会者を5人選んで、解説していただきました。

笑う門には福来たる?相手に興味を持って「嫌いな人」をゼロに!

笑福亭鶴瓶さん

ー 内藤先生が「この司会者はすごいな!」と感じる司会者の方を教えてください。
まずは笑福亭鶴瓶さんですね。鶴瓶さんの司会者としての魅力はやはり「笑顔」です。なぜなら、笑っている人には敵が生まれないんですよ。笑っているだけで、みんなが仲間になってしまうので(笑)。これを心理学的に言うと、「スマイル効果」と言います。

ー たしかに鶴瓶さんといえば、いつも笑っているイメージがありますよね。

笑顔っていうのは、「私はあなたに心を開いてますよ」というサインですからね。きちんとゲストにしゃべっていただかないといけない司会者にとって、相手の警戒心を解くことはとても大切なスキルです。鶴瓶さんはカメラが回っているときだけではなくて、回っていないときも絶えず笑顔でいるといいます。

笑顔を見せるだけ、というと簡単そうに聞こえますが、笑顔を自然と見せられる司会者ってそう多くありませんからね。その辺はとてもうまいな、と思います。まさに「笑う門には福来たる」ですね。

ー 「笑顔」なら誰でもすぐに真似できそうな気がしますが、意識をしてしまうと案外難しいものですよね。他にも何か鶴瓶さんの魅力はあるのでしょうか?

もうひとつの大きな魅力は、鶴瓶さんには「嫌いな人がいない」ところですね。

ー 「嫌いな人がいない」とは魅力というよりもはや衝撃的な指摘ですが、具体的にはどういうことなのでしょうか?詳しく教えてください!

いろいろな人と絡まなければならない司会者にとって、好き嫌いはご法度です。とはいえ人間ですから、人によって得意不得意はあるでしょう。しかし、鶴瓶さんは嫌いな人がいないのです。正確に言えば「人に興味を持つ」ようにしているそうです。

たとえみんなから嫌われている人がいたとしても、おもしろがって興味を持つ。「どこが嫌われてるんだ?」といった具合に。 そうやって興味を持って接すると、意外にも相手のいいところを見つけられます。すると、どんな相手でも嫌い「だけ」の人はいなくなってしまうのです。

ー 興味を持って接すると、いいところを見つけられるとおっしゃっていますが、嫌いな人なら嫌いなところばかり目につきそうです…。興味を持つ以外で、人を嫌わないための何か具体的なコツとかってありますか?

自分がその嫌いな人と誰かの仲人になった気持ちになるのが一番手っ取り早いかもしれません。「この人のどこを推せば、他の人に紹介できるかな」って考える。すると自然に相手のいいところ、アピールポイントを探せます。

「好き」の反対は「嫌い」ではなく、「無関心」です。だから相手に対して興味を持つことでどんどん相手のことを知っていく=嫌いなところもあるかもしれないけど、好きなところも増えていくことになるのです。

相手を嫌いにならない、嫌悪感を持たないというのは、ビジネスマンにも役にたつところです。最初は難しいかもしれませんが、ぜひ参考にしてみてほしいですね。

身振りを交えつつ、自分から相手の懐に入る!

タモリさん

ー 相手のことを知ることで、相手のいいところも知ることができるので、興味をきちんと持つことが大切なのですね。さて、続いて選ぶのは誰でしょう?

2人目はタモリさんです。タモリさんのすごいところは、必ず相手の懐に入ることができるところです。しかし実は、心理学的に言うとタモリさんは相手との壁ができやすいタイプです。なぜならサングラスをしているから。

ー どうしてサングラスをしていると壁を作られやすいのでしょうか?

サングラスやマスクなど、顔を覆っている人に対して、人間は警戒してとても注意深くなるからです。しかしタモリさんはそれをよく自覚しているので、会話をするときにまず相手の懐に入ります。

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ー 具体的にはどうやって相手の懐に入るのでしょうか?

タモリさんは必ず、自分から話しかけます。「最近どう?」とか「髪切った?」とか、会話の最初にまず自分から相手に入っていってスタートします。相手が壁を自然に作ってしまうのは仕方ないので、その壁を自分が越えて、そしていつの間にか相手の懐に入ってしまう。

恋愛でもそうですが、自分からアクションを起こさないと、人間関係は動きませんからね。そこがタモリさんの大きな魅力です。

−司会だけでなく、恋愛でも同じことが言えるわけですね。他にも何か魅力はありますか?

もうひとつ、タモリさんの大きな魅力を挙げるとすれば「身振り」ですね。これは人間関係においてとても重要です。私たち人間は、動くものには興味を示すけど、動かないでしゃべっている人には、あんまり興味を持たないんです。

カエルもそうで、動いているものにはエサとして認識して食べるけど、目の前で動かずにじっとしているエサがいても不思議と食べないんですよ。見向きもしない。人間もそうで、動いているものには目を向ける。

そういう観点からいくと、タモリさんって動いていないように見えて、やっぱりものすごく動きがあるんですよね。

ー 具体的にはどんな動きがあるのでしょうか? やはり手の動きでしょうね。あまり激しい動きではないですが、ところどころ注意が落ちそうなときには必ずこう身振り手振りを加えていくというのが、タモリさんのテクニックですね。 あとは、タモリさんはもともと形態模写上がりの人だから、人のモノマネをすることもできるわけです。人を惹きつけるためのそうした動きが重要なのです。

熱のあるトークで相手の本音を引っ張り出せ!

明石家さんまさん

ー 続いて、3人目をお願いします。

ゲストの本音を聞き出してしまう、という点では、やはり明石家さんまさんがピカイチですね。さんまさんの魅力は、とにかく自分が一番楽しんでしまうところ。相手を楽しませるっていう気持ちはとても重要なんですが、それと同じくらいに大切なのが、まずは自分が一番楽しくいること。

自分が楽しい気持ちでいると、不思議と相手にも伝わってしまうものなのです。これを心理学では、「心理的感染」と言います。

ー 自分が一番楽しくいるというのは、見落としがちになってしまいそうですが…

たしかにその通りだと思います。しかし、考えてみてください。例えばプレゼンなどでもそうですが、とても冷めたプレゼンテーターが勧める商品をあなたは買いたくなるでしょうか?たとえその商品がどんなにいいものだとしても、それを伝える人が冷めてちゃダメなわけです。

だから、熱意とか情熱とか、そういった興奮を伝えるためにはやはり自分が興奮していないと。そういった興奮を自然と伝えられるのが、さんまさんの大きな魅力ですね。

ー たしかに自分が楽しいと思って人と話していると、場全体が楽しい雰囲気になりますよね。では、自分が楽しいと思うにはどうしたらいいのでしょうか?

自分が言いたいことを言ってしまえばいいと思います。もちろん、場の会話の100%を占めろと言ってるわけではありません。適度に自分の言いたいこと言っていると、相手も「実は私、こんなことがあったんですよ」と話してしまう。心理学ではこれを「自己開示の返報性」って言うんですけど。

ー 自分の話をして、相手の話を聞くのがポイントということですか?

おおむねその通りですが、このとき自分のなんでもない話ではなく、秘密にしておきたいこととか、隠しておきたいことを思い切って言ってみるといいかもしれません。

さんまさんはまさにそうで、自分の離婚の話とかを開けっぴろげに言ってしまいます。自分の子育てで悩んだことや、自分の奥さんのことなんかもネタにして包み隠さずオープンに言ってしまう。

すると自分がオープンなのにつられて、相手もそのオープンさを返してくれるんです。だから、みなさんさんまさんの前だと、言わなくていいような恋人のこととか、彼氏の話をついついしてしまうんですね。

テレビを制作する側としてもありがたいですよね、タレントが普段言わないようなことをしゃべってくれれば番組も作りやすいですし。そういったところがさんまさんの魅力ですね。

内藤先生

−内藤先生、お話ありがとうございました。今回は鶴瓶さん、タモリさん、さんまさんの三者三様の司会術をお伝えしてきました。次回は中堅司会者に加え、私たちが普段から実践できる司会術についてさらにフォーカスしていきます。

内藤先生が現在ご出演中の番組はコチラ! 教えて!ココロくん