営業力とは”聞く力”である。ライターが考える、相手の本音を引き出すトーク術

営業をしている人にとっての喜び、それは、お客様から「商品を買いたい」と言われることです。

しかし初めて会うお客様は、買いたいという気持ちはおろか、興味すら持っていない人がほとんど。営業を成功に導くためには、お客様との関係性を一から構築する必要があります。よく、「営業をするにはトーク力が必要だ」と言われますが、これは誤解を生みやすい表現です。ビジネスにおける“トーク力”とは、“話す力(Talking)”ではなく、“聞く力(Hearing)”。相手の本音をどれだけ聞き出せるかどうかが重要になるのです。

そこで今回は、以前営業をしていた筆者が、現在のライター目線から相手の本音を引き出す方法を紹介したいと思います。

商談が成立するとき、なにが起こっているか

相手の悩みや本音を引き出す
まず最初に、“商談が成立するときに何が起こっているのか”ということを説明します。
下の図をご覧ください。

営業

図に描かれているのは2つの円。左の円は「お客様の悩み」、右の円は「商品の特徴」を表しています。では、2つの円が重なる斜線部分は何を表しているのでしょう。それは「お客様が抱えている悩みの中で、自分の商品で解決することができるもの」です。

営業をするときに、ただ自社の商品説明ばかりしていてはお客様の心には響きません。
まずは相手の悩み・課題を知り、“自分の商品によって、お客様が抱えている悩み・課題がどのように解決するのか”という視点から説明をするのです。そうすれば、お客様も商品を価値あるものとして見てくれるようになり、商談の成功率は格段に上がるでしょう。

何が言いたいかというと、商談を成功させるためのファーストステップは、“相手の悩みや本音を引き出す”ことだということ。実はこの力、ライターはインタビューを通して鍛えられるのです。自分の周りにいるライター達も含めて、“ライター”という職業の人達がどのように相手から本音を引き出しているのかをこれから紹介していきます。

ライター達がインタビューでやっている!相手の本音・悩みを引き出す方法

1.入念な下調べ

入念に下調べを行う
最初に相手に会う前の準備について。
相手について「入念に下調べを行う」ようにしましょう。これは最も大切なことです。

ライターは、インタビューの相手が決まったら、その人のことを本やインターネットなどのあらゆる手段を使って調べます。インターネットで調べて答えが簡単に見つかるような質問ばかりしていると、薄い内容の記事しか出来上がりませんし、インタビューする相手をがっかりさせてしまいます。

簡単に見つかるような情報は頭にインプットした上で、そこからさらに深堀りをする質問をすることによって、相手に「この人分かってるな」という信頼感を抱かせることができるでしょう。

営業においても、相手のことを調べることは大切です。相手の会社はどんな事業をやっているのか、どんな人がいるのか、業績はどうなのか、最近のニュースは何なのかということを把握しておくだけで、話を広げやすくなるのです。

入念な下調べを行った最上級の例をここで紹介します。
出版社「幻冬舎」の代表取締役社長である見城徹氏は、元東京都知事で作家活動もしている石原慎太郎氏に本を執筆してもらうために、なんと彼の有名な著作を2作品丸々本人の前で暗誦してみせたのだそうです。それまで首を縦に振らなかった石原氏が、見城氏と一緒に仕事をすることを承諾したことからも、下調べの大切さが伺えます。

2.相手に興味があるということを伝える

あなたに興味を持っています
次は、相手と対面した時のポイントを紹介します。ここで重要なのは「自分が相手に興味があると相手に伝える」こと。簡単に実践できる方法は、聞き役に徹することです。

ライターがインタビューをする際には、相手の話を広げる技量が求められます。その中で、相手から信頼されるようになるポイントは、事前に調べてきた内容をそれとなく会話の中に織り交ぜることで、「あなたに興味を持っています!」という意思表示をすること。それが相手に伝われば、相手の方から進んで話をしてくれるようになるはずです。

商談の際には、相手の仕事の話を積極的に聞くようにしましょう。上で説明したように、事前に調べているということをさりげなくアピールできれば理想的。相手が話してくれるようになってきたら、“相手が話したいことは何なのか”ということを掴み、その内容を中心に話を広げてあげるようにしましょう。相手をとにかく気持ちよくしゃべらせることが大切なのです。

3.具体的に褒める

具体的に褒める
上で紹介した2つを実践すれば、相手は自分に親近感を持ってくれるようになります。

さらに関係を良好にするために、やっておくといいのは、「具体的に褒める」こと。インタビューが上手いライターは、とても褒め上手。会話の中ですごいと思ったことを素直に相手に伝えることができるのです。褒められて悪い気になる人はいないので、自信を持って思ったことを言えば、きっと相手は喜ぶでしょう。

仕事の際にもそれは同じ。褒める内容は具体的であればあるほど、その言葉は相手に受け入れられやすいので、効果的です。

【番外編】共通点や接点を見つける

自分と共通している点を見つける
最後は番外編で、相手が悩みや課題を打ち明け始めたらどうすればいいかということについて紹介します。

ここまでの3つを実践すれば、相手との距離は既にかなり縮まっているはずです。ここで商談を一気に前進させるために、「相手との共通点や接点を見つけ」ましょう。ライターはインタビュー中、そこまで自分の話はしませんが、自分と共通している点を見つけると「実は自分も〇〇なんですよ!」と食いつきます。人間は共通するものがある人に対して心を開く傾向にあるからです。共通点を発見することができれば、会話はどんどん弾み、インタビューに深みが増します。

商談中に、相手が少しでも現状に対して不満や課題を感じていることを話したら、その課題が自分の商品によって解決できないか考えるようにしましょう。そこで少しでも接点を見つけることができれば、それを相手に伝えます。相手にとっては、「自分が持っていた悩みや課題はこの商品で解決できるんだ!」と、印象がかなりアップすること間違いなしです。

相手に対するホスピタリティが、営業成功へのカギ

ここまで、相手の本音を引き出すためのコツを紹介してきました。すべてのコツに共通して言えるのは、相手に対する“ホスピタリティ”を持つということです。相手が何に困っていて、それに対して自分に何ができるのか。これを考えることがビジネスにおける基本なのです。

皆さんも、自分の商品を売ろうとする前に、目の前のお客様が、どのようなことに悩みや課題を感じているのかを考えるようにしてみてはいかがでしょうか。