『キングダム』に学ぶ“志”ある生き方とは? 自立した個々が集まり、最強のチームができる。Yahoo!アカデミア学長・伊藤羊一インタビュー

Yahoo!アカデミア・学長
株式会社ウェイウェイ・代表取締役 伊藤羊一
(いとう・よういち)
1967年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、1990年に日本興業銀行に入行。企業金融、事業再生支援などに従事。2003年にプラス株式会社に転じ、流通カンパニーにてロジスティクス再編、グループ事業再編などを担当した後、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。2015年にヤフー株式会社に転じ、Yahoo!アカデミアの学長として次世代リーダー育成を行なう。グロービス・オリジナル・MBAプログラム(GDBA)修了。グロービス経営大学院でリーダーシップ科目の教壇に立つ。

なんとなく、受動的に生きるか、「自分はこうしたい」という意志を持って主体的に生きるか。自分自身が主人公になる生き方とは?

 以前、当サイトでベンチャー企業の創業社長に「影響を受けたマンガ」のアンケートを取ったところ、原泰久の人気コミック『キングダム』をあげる人が多かった。未読の読者のためにざっと説明すると、『キングダム』とは若き日の「秦の始皇帝」による中華統一を描いた歴史大河コミックである。

 7つの国がしのぎをけずる春秋戦国時代末期、秦国の王「政」は500年以上続く戦乱の世を終わらせるべく、中華統一を掲げた。そして主人公の「信」は、政の危機を救ったことから親交を深め、秦軍に参加。もともと「天下の大将軍」を目指していた信は、「飛信隊」という自分の部隊を率いるようになり、持ち前のガッツと戦闘能力で立身出世していく。

 この紀元前の物語と現代のビジネスパーソンに一見なんら接点はない。そもそも立身出世を目指すなんて、今では時代錯誤といわれてもおかしくない目標だ。しかし、起業家が『キングダム』を強く推すように、なぜか熱く胸に迫るものがある。権謀術数が渦巻く戦乱の世にありながら、がむしゃらに夢を実現しようとする信と政の姿に鼓舞される自分がいるのだ。時代も状況も現代とはまったく違う。しかし、そこには現代人が求めてやまない“何か”があるように思う。それは一体なんなのか?

 そのヒントが、伊藤羊一氏の著書『キングダム 最強のチームと自分をつくる』(かんき出版)にある。伊藤氏はYahoo!アカデミア(ヤフー企業内大学)の学長として次世代リーダーの育成に取り組み、グロービス経営大学院でもリーダーシップ科目の教壇に立つという人を指導する立場にある。本書は『キングダム』の名台詞を通して、伊藤氏の仕事観や、社会を生き抜くために大切なことを伝えるというユニークなビジネス書である。『キングダム』ファンとして、さっそく伊藤氏にインタビューを試みることに。

――年間500冊以上も読むという漫画フリークだそうですが、それにしてもすごい数です。どんなふうに日々マンガと接しているのでしょうか?

sub_01「マンガを読むことは、私にとって娯楽という感じでもないんです。もちろん娯楽的な要素もあるんですけど、もはや生活の一部になっていて1日1冊以上読まないと落ち着かない(笑)。ガキの頃からバンドをやっていたんですが、自分がプロのミュージシャンになったとして、ライブのオープニング曲からエンディング曲までの構成を考えたり、そのときのオーディエンスの反応とかを妄想するとか、昔から現実逃避をしたりしてきたのですが、今はマンガを読むことで、意図的に現実逃避しているようなところがありますね」

――マンガの主人公は葛藤しながらも、常に自分の意志に従ってまっすぐ行動しますよね。そうしたマンガを読むことで、元気が出たり、勇気づけられることがよくあります。今回の本も、生きていくために大切なことがストレートに伝わってくるように感じました。

「まさにそれを目指して書いたものなんですよね。実は編集者と話し合って、『リーダー』という言葉はあまり使わないようにしています。なぜかというと、マネジメント職の人に向けて書くのではなく、一生懸命、仕事をしているんだけど、ちょっと悶々としているビジネスパーソンに向けて、それでも大丈夫だということを簡潔に伝えたかった。私はYahoo!アカデミアの学長やビジネススクールの講師、という立場にあるわけですが、伝えたいメッセージはとてもシンプルなもので、非常にマンガと親和性が高いんですよね。物事を難しく捉える複雑な思考は、自分の生き方として排除していて、とにかくシンプルに伝わるということを重視しています。だから、今回の本も変化球の台詞は一切排除しているんです」

――『キングダム』の主人公・信は「天下の大将軍」を目指して戦うわけですが、昔だったら「大会社の社長になる」みたいなわかりやすい目標ですよね。逆説的になるのですが、現代ではなかなかそうした夢を持ちづらい。だからこそ、信の「まっすぐさ」に惹かれるように思うんです。

「男は強くなきゃいけないとか、勝負に勝たなくちゃいけないということは、やっぱり我々も逃げられないところで、向き合っていかないといけないところです。だけど『キングダム』は、それだけじゃない。信のストーリーは、知覚して人として成長していくストーリー。一方、政に目を向けると、経営者やリーダーとしての考え方、行動が素晴らしいわけです。二人はそれぞれ違うタイプですけど、結局のところ、志は同じ。信の『天下の大将軍』になるという目標は、今でいうと、お金持ちになりたい、偉くなりたい、といったマッチョな目標に見えるけど、政とセットで見ると、リーダーシップが醸成されていく過程や、使命感を持つようになる過程が見えてくる。二人は互いに刺激を与え合っているんです」

――政が掲げる中華統一は、自分たちの領土を拡大したいということではなくて、「戦争をなくしたい」という壮大なビジョンなわけですよね。多くの起業家が「世の中の課題を解決したい」というビジョンを語りますけど、それと近いものを感じます。

sub_02「私は経営者と接する機会が多いんですけど、イケてる経営者というのは必ずといっていいほど『社会に貢献したい』と言う。会社をデカくし、儲けることを最終的な目標にしているわけではなくて、自分たちの事業を通して社会が幸せになればいい、という考えなんです。その権化が政みたいなところがありますよね。紀元前の中華において、「戦争をなくす」なんて今以上に非現実的なわけですけど、政は自分にはそれが実現できると信じていて、戦争をなくすのだ!と決めている。スティーブ・ジョブズにしても孫正義さんにしても、偉大な経営者といわれる人は同じようなところがあって、できるだろうか?ではなく、やるのだ!と決めて、そのために経営をしていくという考え方なのだと思います」

――著書では『キングダム』の台詞を通して、志を持つことの大切さについて書かれていますよね。仕事をしていくうえで、なぜ志が大事になってくるんでしょうか?

「志というと、国を動かすとか、大発明をするとか、壮大な目標のように思いがちですけど、私がいう志とは、『自分の意志を持つこと』なんです。なぜオレはこの仕事をしているんだっけ? オレはどういう人生を過ごしたいんだっけ?と誰しも思いますよね。そこで自分なりに考えて、自分の意志を持って生きていこうぜ、ということなんです。結局それが正解だったかなんて死ぬまでわからないし、そもそも正解なんてない。だとしたら、自分なりの志を持って今この瞬間を生きている、と思って生きていたほうが、一つひとつの言動にも力が入るだろうし、バイタリティーのある生き方ができると思うんです。ただなんとなく受動的に生きるか、自分はこうしたい、という意志を持って主体的に生きるか。自ずと結果に表れてくるはずです」

コンプレックスの塊だった20代を経て、ひたすら仕事に打ち込んだ30代。「志」は経験を積み重ねることで生まれ、育まれる

 伊藤氏の講演を聞く若手ビジネスパーソンは、きっと『キングダム』の王騎将軍を見るような眼差しを向けているのではないかと思う。王騎将軍とは百戦錬磨の「天下の大将軍」であり、信が目標とする人物である。しかし、伊藤氏はあっさりこれを否定する。王騎将軍や信のように明確な志を持って生きてきたわけではなく、20代30代の頃の伊藤氏はむしろ受動的な生き方を送ってきたという。

 著書では仕事を通して伊藤氏がどのように成長し、気づきをえていったかというエピソードが随所に記されている。あらためて考えると、信や王騎将軍にこうした本は書けないだろう。伊藤氏に内面の変化があったからこそ、主体的に生きることの大切さが身に染みて実感できると思うのだ。どんな青年時代を送ってきたのだろう?

sub_03「私は学歴こそ高いですが、ずっと大きなコンプレックスを抱えて生きてきたんです。小学生の頃、学校の成績はよかったんですけど、麻布中学に入ると、自分より頭のいい同級生がいっぱいいて、まずそこでコンプレックスを持つわけです。それから勉強をがんばって東大に入ったところ、麻布中とは比較にならないくらい頭のいいやつがさらにいっぱいいる。当時の私はバンドをやっていて、大人たちはわかってくれねえ、みたいな尾崎豊的な感性だったんですけど、学生のうちはコンプレックスがあろうがなかろうが、社会と関わらなければ特になんてこともない。ところが大学を卒業して日本興業銀行に就職すると、今度は頭がいいうえに体育会系で、コミュニケーション力にも優れた同期がいっぱいいて、どんどん自信をなくしていったんですよね」

――自信を失うというのは、仕事をしていくうえで辛い状況ですよね。

「オレは能力がないダメな人間なんだと思い込んでしまって、社会人3年目の26歳のときに、メンタルの不調に陥り、会社に行けなくなってしまいました。当時は鬱という症状があまり世の中で理解されていなかったので、自分はサボり病なのだと思っていました。実際、土日になると元気になるんだけど、月曜になると吐き気がして会社に行けない状態が3週間くらい続いて、このまま休んでいるとクビになると焦って会社に行くわけですけど、その後も毎朝、吐いちゃうんですよ。そういう時期が数カ月続きましたね」

――どうやって回復していったんですか?

「とにもかくにも会社に行くと、上司や先輩が声をかけてくれるわけです。バブルが弾けた直後とはいえ、まだ会社に牧歌的な空気があって、遊びに行こうとか、教えてやるよ、とみんながかまってくれた。そうこうするうちに、とあるマンションデベロッパーの取引先と仕事をすることになって、みんなのサポートもあり、やってみたら上手くいったわけです。マンションブームのきっかけになったとも言われた案件だったんですが、そこで自信がついたというより、こんなオレでも働いていいんだって(笑)。それまで働く意欲ゼロの不良社員だったのが、どうにか働けるようになったという変化でしたね」

――コンプレックスから目を背けていても何も好転しないというか、何かしら自分なりに納得できることをしていかないと、自信は回復できないのかもしれないですね。

「ただ、まだその時点では与えられた仕事をこなすだけなんですよね。ときには徹夜をしたりして仕事は一生懸命やっているわけですが、上から降りてくるミッションに応えているだけで、自分の志やビジョンはまったくないわけです。だけど、どんどん仕事をこなしていくうちに、それなりの結果が出せるようになってきたんですね」

――どの段階で「志」が持てるようになったんでしょう?

sub_04「2つのきっかけがあったと思います。まずひとつは、日本興業銀行からプラスに転職してから。『仕事っていうのはお客様のニーズに応えるものなんだ』という話をオーナー(今泉嘉久会長)からいつも聞いていたんですけど、仕事をしていくうちにその言葉が腑に落ちていったんです。これまでは上司の要求に応えるための仕事だったのが、お客様に喜んでもらうことが大事だと初めて気づいた。今でこそ『カスタマーファースト』というのは当たり前の考え方ですが、その頃はとても新鮮だった。だけど、やっぱりまだ上司から何か言われてやるということを繰り返していました。そうした働き方が決定的に変わったのが、2011年の東日本大震災のときです。40歳を過ぎてからのことだから、わりと最近のことなんですよね」

――上司の指示があるから働くというのと、世のため人のためという感覚で働くのとでは、やはりがんばり方も変わってくるものでしょうか?

「そこが一番大きく変わったところでしょうね。その前も仕事は好きだったんですけど、必要とされるからやっている、という感覚でした。それが東日本大震災の直後に物流の復旧業務を担当することになって、変わりました。復旧によって水や電池、消毒液、ゴム長靴などを供給できるようになって、感謝してくれる方がいっぱいいたんですね。だけど、その一方で、それすら享受できずに亡くなった方が1万人以上いる。私たちは復旧作業をがんばることができるけど、自分の人生を途中で諦めなくちゃいけなかった方がたくさんいる、ということを実感したとき、この現実は一体なんなんだ……?と考えざるをえなかった。そして、少なくとも自分は生かされているわけだから、亡くなった方の分までちゃんと生きなきゃいけない。目覚めたっていうのも大袈裟だけど、それ以来、今オレは何をすべきかっていうことを、自分で考えて行動するようになったんです」

――著書では「志は経験を積み重ねることで生まれ、育まれる」と書かれていますが、今の話がまさにそうですよね。

「結局、20代でメンタルが不調になって回復してから、志がしっかり持てるようになるまで15年くらいかかっているわけですよね。その間、何をやっていたかというと、闇雲に仕事をしまくっていて、ときには人を傷つけてしまうようなこともあれば、人から感謝されることがあったり、成果が出たり出なかったり、いろんな刺激を受けてフル回転しているわけです。そうすると世の中と自分との関わりにすごく鋭敏になって、どうすれば自分は社会に貢献できるか、ということに気づきやすい状況になるわけです。私の場合、東日本大震災という衝撃的な事態に直面したとき、自分なりに解釈して飛び込んでいく下地ができていた。たくさん経験を積んで自分の中がどれだけかき混ぜられているかが重要で、部屋の中で引きこもった状態で、オレの志とは?といくら考えても、何も出てこないと思いますね」

ひとつの目的に向かっていれば、チームみんなの価値観が違っていてもいい。みんなをリスペクトすれば、自然といいチームになる

 主人公の信は、とにかく迷いがない。どんな強敵が現われても、「天下の大将軍」を目指すにおいて避けては通れぬ壁だとして、真っ向勝負を挑むのだ。一方の政もまた戦争をなくすという壮大なビジョンがあるため、自分がとるべき選択に迷いがない。まったく軸がブレない彼らの活躍を、胸がすく思いで僕たちは読むわけだけれど、現実に戻るとさまざまな場面で迷いまくっている自分がいる。信や政のように勇気ある決断をすべきことはわかていても、リスクを前にして「踏み出すのが怖い」という局面は誰しもあるだろう。そうした恐怖心を克服するために、伊藤氏は「迷ったらワイルドなほうを選べ」ということを習慣にしているそうだ。

――「迷ったらワイルドなほうを選べ」。すごくいい言葉ですよね。どんな小さな選択でも、これを習慣化することで迷わなくなるわけですよね。

sub_05「ちょっとしたことのようだけど、ランチでこれまでに入ったことのない店で食べてみるとかね(笑)。私もそうだけど、人間誰しもワイルドな方向はちょっと怖いからイヤだとなりがちですよね。それをあえて常にワイルドなほうを選ぶように決めてしまう。そうした選択を一つひとつ愚直にやっていくと、どんどん意思決定が早くなり、ワイルドになる。そうして自分の軸がしっかりできてくると、信のように迷わずに選択できるようになるんです。最初から諦めるんじゃなくて、ワイルドな選択をしてもがいているうちに、違うな……とわかったり、こういうことか……と納得できたり、何かしら気づきがあるはずです。もがくのを止めて思考停止してしまったら、永遠に気づくこともない。だからこそ、ひたすらもがいて行動し続けるんです」

――もがき続けることでしか、人間的成長は得られないのかもしれないですね。

「私の場合、20代後半から40歳過ぎまで、もがき続けてきたわけです。そのなかには、マンション案件が成功して、クライアントの社長と泣きながら抱き合って喜ぶといった経験があったりして、『世のため人のため』という原体験ができた。そういう経験を経ることで、仕事の醍醐味がなんとなくわかってくるわけです。それが1回だけのことなら、すぐに忘れてしまいますけど、10回、20回とそういう経験が積み重なっていくうちに、確信へと変わっていく。そして最終的には、自分の意志に目覚めていくんです」

――『キングダム』は権謀術数が渦巻くなかで、さまざまな駆け引きが描かれますけど、信や政はそこで賢く立ち回るというより、愚直なまでに志を貫こうとしますよね。そうしたある種の愚直さが、生きるにおいて大切なんじゃないかと。Yahoo!アカデミアやグロービスの教壇に立つ際、そうした精神論をどういうふうに教えていますか?

「愚直という言い方と同じような意味合いで、『斜にかまえるな』と伝えています。斜にかまえてそれが人生や仕事にプラスになることは何もないので。リーダーはこうすべき、といった話もほぼしていないですね。だから、教えることはあまりないし、そもそも人に教えること自体、根本的にはできないことだと思っているんです。ただし、目を覚ます刺激を与えることはできる。そのための環境は用意したいと思っていますね」

――著書のタイトルに「最強のチーム」と付いていますが、いいチームを作るためのポイントというと?

「いくつかあると思うのですが、まずリーダーが熱狂していることです。飛信隊はリーダーの信が熱狂しているから、メンバーも熱くなれるわけですよね。私自身は一緒に仕事をする人を全員リスペクトしています。どんなに偉い人も新人も、同じようにリスペクトする。なぜそう思えるかというと、『みんな違っていてよい』、つまり『人間は優劣じゃない』と考えているからです。たしかに仕事のできるできない、はあるかもしれないけど、それと人間の優劣は関係ない。20代の頃の自分がヘタレだったからこそ、そう思うんでしょうね」

――『キングダム』の信もそれに近いように感じます。絶対的なリーダーとしてチームを率いるというより、対等な仲間として接することで、チームに結束力が生まれていますよね。

sub_06「『みんな違っていてよい』ということをベースにすると、自分がマネジメントするというより、みんながイキイキ働けるように、自分ができることは全部やるっていうスタンスになるんですよね。『キングダム』というと、オレについてこい!みたいなリーダーシップをイメージされがちですけど、実はぜんぜん違うんですよね。たしかに信は自ら敵陣に突っ込んでいくけど、同じことをメンバーに強要するわけでもない。むしろ一人ひとりを大事な仲間として接しているんですよね。そうした感覚がマネジメント職の人には一番大切な気がします。みんなをリスペクトして、メンバー全員がイキイキするようになれば、自然といいチームになるんじゃないかって」

――Yahoo!アカデミアの次世代リーダーシップ育成も、そうしたコンセプトなんでしょうか?

「そうですね。コンセプトとしては、自分で自分の人生をコントロールする“自立”に尽きるんですけど、まずリーダー自身が熱狂していて、そこに自立した個人が集まると、自ずといいチームができる。ラグビーに『One for all, All for one』という言葉がありますけど、これがリーダーシップを考えるうえでの基本と考えています。Oneは自立した個人、これが集まって、チームがみんなのために、ひとつの目的に向かって動く。全員の価値観をそろえることが必要だと思ってしまう人が多いんですね。でも、そもそも価値観は全員違うものだし、違っていてもいいんです。だけど、価値観が違う人がそのまま行動するとバラバラになってしまうので、ゴールはそろえようということです。同じゴールを目指しているなら、それぞれの個人は違っていてもいいんです」

――本日は貴重なお話、ありがとうございました!

伊藤羊一氏を知る3つのポイント

Yahoo!アカデミア学長としてのスタンス

「実はYahoo!アカデミアを本業にするつもりは、まったくなかったんです。グロービスやソフトバンクで教えたりしているうちに、社長の宮坂学から、Yahoo!アカデミアを創設するから手伝ってほしいと依頼されて、請われたからやってみるか、という感じで。だから、最初から強い使命感があったわけでもなかった。ところが、実際に始めてみると、自分が今やるべきことだと気づかされた。前職のプラスのときは、同僚や営業の方、お客様が笑顔になってくれることがうれしくて仕事をがんばっていたわけですが、今もそれは同じで、受講生が笑顔になってくれるとうれしいですね。やっている仕事自体は変わってますけど、世の中との向き合い方はまったく変わっていなくて、自分の周りの人が笑顔になれば、日本も多少は元気になるだろうっていう」

自分の「軸」を作るためのアドバイス

「日記をつけるといいと思います。いっぱい書こうとすると続かないので、その日に一番印象的だったことを記録するだけでもいいし、毎日でなくても、2日に一度でも1週間に一度でもいい。ほんの5分だけでも自分を見つめる時間をちゃんと作るということが、すごく大事なんです。もうひとつは、やっぱり人と対話することですね。話そうとすると言葉にしなければいけなくなるので、自分が考えていたことに気づかされるわけです。自分ひとりで考えることも大事だけど、人と対話することも同じくらい大事なことです」

「自信」の作り方

「怠りなく準備しておく、これに尽きると思います。たしかに苦手なことはやらないという人生もある。そこで、どっちを選ぶかを常に問うわけです。自分は何をやりたいのか、どう世の中に貢献したいのか、という志があるなら、ときには苦手なこともやっていかなくてはいけない。実はいまだに私も自信がなくて、人前でプレゼンテーションするときなどは、毎回、どうしよう?と思っていたりする。だけど、自信はないんだけど、不思議なもので確信だけはある。この確信と自信はちょっと違っていて、心のどこかで『きっと大丈夫だろう』と思えるんですね。それも怠りなく準備をしているからであって、そもそも自信がないから準備をするわけですよね」

取材・文●大寺 明  写真●清田直博

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