人生≒仕事です。別の世界を旅するように、違う仕事を体験することで“可能性”が広がる。「仕事旅行社」代表・田中翼インタビュー

株式会社 仕事旅行社 代表取締役・田中 翼(たなか・つばさ) 1979年神奈川県平塚市生まれ。Central Missouri State University、国際基督教大学を卒業後、金融会社に入社し、営業職として勤務。在職中に様々な業界の会社訪問を繰り返した経験をもとに、2011年に㈱仕事旅行社を設立。職場訪問や仕事体験を「仕事旅行」と銘打った体験型サービスを開始した。そのほか仕事メディア『シゴトゴト』を運営している。

社会人5、6年目になって自分を見つめ直す余裕が生まれると、「自分らしい働き方ってなんだろう?」を考えるようになる

 他にもっと自分に適した仕事があるのではないか? 心から「やりたい」と思える仕事があるのではないか? 仕事を5年10年と続けていくと、ふとそんな疑問が頭をよぎることがある。しかし、転職するにしても、現実的に考えると現在の職種の延長線上で選択せざるをえず、最初に就いた仕事によってある程度、自分の職業人生は決まってくるだろう。まだ世間を知らない学生のうちに自分の適性や理想とする生き方を見極めて職種を決めなければいけないというのは、けっこう酷な話かもしれない。

 まったくの異業種への転職や独立起業、あるいは農業や職人といった今とは180度違う仕事を考えることは、もしかしたらあり得たかもしれない“もう一つの人生”を想像することだと思う。仕事が変われば生活スタイルから人間関係まで何から何まで変わる可能性がある。しかし、ある程度の年齢になると、まったくの未経験で違う職種に飛び込むことに臆してしまいがちだ。そうして「if」だけで終わらせてしまうことは、自ら可能性を狭めているようなものかもしれない。

 もし今とは違う仕事に少しでも興味を持っているなら、ぜひお勧めしたいサービスがある。仕事旅行社が提供する「仕事旅行」という体験型ツアーサービスだ。神主や木彫り職人、探偵やカフェ経営など、これまでに150近い仕事体験ツアーがあり、既定の参加人数に達すると、実際に職場に行ってその道のプロから話を聞いたり、仕事を体験することができる。いわば職場訪問やインターンをもっと気軽にできるようにした試みであり、これまで学生にはそうした門戸が開かれていたが、転職後のミスマッチをなくすためにもむしろ社会人にこそ求められるサービスだと思う。

 創業者の田中翼氏に話を伺ったところ、ユーザー層は20代後半から30代が中心で、女性6割、男性4割ということだった。女性のほうがアクティブなのは昨今の傾向かもしれないが、年代でいうとちょうど今の仕事に悩みはじめる転職志望者層とも重なってくる。

sab_01_w268「必ずしもみんなが仕事に悩んでいるという前提があるわけでもないですが、とはいえ最初の仕事に就いて5、6年もすると落ちついてきますよね。そこで一旦、自分を見つめ直す余裕が生まれ、他の世界に目を向けようとしている方が多いように思いますね。“人生≒(ニアリーイコール)仕事”だと考えているんですが、より良い人生を送るために、自分に一番適した仕事を探したいという流れが強まっているように思います。いくら仕事がつまらなくてもお金がいいからやっているというより、自分らしい働き方ってなんだろう?ということをちゃんと考えて、ヒントを探している方が多くなってきているように感じますね。そもそも今の時代は終身雇用の会社がほとんどないですから、いろんな仕事を見ておきたいという考えもあると思いますし、様々な情報が入ってくる中で、本当に今の仕事でいいのかな?とあらためて考えようとしている方が増えているという実感があります」

 旅になぞらえて考えると、一頃、旅の目的としてよく使われた「自分探し」を想起する。「自分を探してもどこか他に見つかるわけでもない」というふうに、言葉尻だけを捉えて「現実逃避」だとする否定論に陥りがちだったけれど、本質的には凝り固まった価値観を一旦壊し、様々な体験を通して視野を広げ、自分が求めるものを再確認しようとする積極的行為だと思う。「自分探し」というより、「自分らしい生き方(働き方)探し」というほうがしっくりくる。

「弊社のサービスを“自分探し”と言ってしまうことには抵抗があるんですけど(笑)、たしかにそういう面もあるかもしれませんね。“自分探し”とは、ある種、自分の価値観を見極める期間というか、いろんな経験をすることで、これは好きだけどこれは嫌い、というふうに自分の軸がどこにあるのかを見極めていく経験だと思うんです。そうやってだんだん自分という人間がわかっていくわけですけど、それの仕事バージョンがあってもいいじゃないですか。実際に他の仕事を体験してみることで、この仕事は好き、この仕事は苦手、思ってもいなかったけど自分はこういうことに喜びややり甲斐を感じるんだな、といった発見があるかもしれない。それを確かめていくことで、最終的には自分の向き不向きや、やりたい仕事に落ち着くものだと考えているんです」

 仕事旅行社のサービスは、それぞれ段階に応じてわかれている。これまた旅行になぞらえられていて面白い。基本となる「仕事旅行」は1日体験コース、「仕事散歩」は2時間ほどの短期コース、「仕事留学」は5日ほど仕事を体験する実践的コースで、それぞれ転職や独立の本気度やその仕事への興味に合わせて選ぶことができる。いずれもポイントになるのは、リアルな職場に行くという実体験。そのため団体の観光バスツアーのようにぞろぞろ大人数で行くわけにもいかない。こうしたこれまでのビジネスモデルに対し、仕事旅行社が新たに力を入れているのが「仕事旅行 for Buisiness」だ。

sab_02_w268「こちらは法人向けのサービスで、何十人何百人単位になるんですけど、一カ所に全員が行くわけではなくて、それぞれ数人のグループに分かれて転々といろんな職場を体験します。新人育成やリーダー育成の研修として企業さまにご利用いただいているのですが、他の仕事や他の職場を体験することで比較ができるようになり、自分の仕事の軸を見定められるようになるので、モチベーションが上がると思います。その結果、やっぱり今の会社はいいな、とあらためて気づく方がけっこういらっしゃるんですよね。いずれにしても仕事に対して前向きになれるので、目先のスキルアップではなくて、もっと本質的に仕事の意味や意義を考えさせてくれる体験になるはずです」

 意外に思いつつ、腑に落ちる話だった。転職を「移住」に置き換えるとしたら、旅行者は今とは別の世界を求めて海外を旅してみるわけだが、逆に外から眺めることで日本の良さを実感し、「やっぱり日本でがんばろう」と思い直して帰国することが多々ある。きっとそれと同じ“気づき”が仕事旅行でも得られるのだろう。

自分の仕事への疑問が起業の原点。ベンチャー企業の職場訪問で、海外旅行と同じようなカルチャーショックを受けた

 会社はそれぞれ文化も違えば集まっている人の属性も違う。歴史ある会社は落ち着いたムードが漂っているものだし、ベンチャー企業は若手中心のフラットなムードだったりする。しかし、学校卒業後にひとつの会社にずっと勤めていると、こうした社風の違いはなかなか見えない。旅行になぞらえると、それは自国から出たことがないようなもの。もちろん今の仕事が好きで愛社精神があるなら無理に外に出る必要もないが、一度きりの人生で他の世界を知らないというのももったいないと思うのだ。仕事旅行社のサービスはまさにこうしたニーズに応えたものだが、田中氏自身がかつて切実に“別の世界”を求めたことから、この事業アイデアが生まれた。

sab_03_w268「両親ともに教員だったので、高校生の頃は教員になるつもりだったんです。双子の兄が高校時代にアメリカに留学していていたんですけど、自分も行ってみようくらいの軽い気持ちでアメリカのミズーリ州の大学に留学したんですね。視野が広がって考え方が変わったりもしましたけど、やっぱり僕は日本が好きなんだと気づかされた(笑)。今思うと、留学経験によって日本で常識とされていることを疑う視点を持つようになったことも大きかったですね。たとえば、日本の企業には新人はこうすべき、といった縦社会的なカルチャーがあるものですけど、それって本当に重要なことなの?というふうに。こうした常識を疑う視点が、結果的に他の会社はどうなんだろう?という疑問につながっていったんです」

 アメリカの大学を卒業後、田中氏は教職課程を修得すべく国際基督教大学に編入。ところが教員の道へは進まず、金融業界に進んだ。なぜなのだろう?

「一番の理由は、教員になる前に社会を経験しておきたいと考えたからです。僕の考える教職とは“人の可能性を広げる”という仕事で、一番やりたかったことが進路指導だったんですね。それを語るには自分自身に社会経験がなければいけない。そこで一回は会社員生活を経験してみようと。じゃあどんな仕事をやろうと考えたとき、人のお金を増やすことは、人の可能性を広げることにつながるんじゃないかと思って金融業界を選んだわけです。だけど実際のところは、当時の風潮として外資系の金融やコンサル会社がカッコイイというのがあって、じゃあ金融関係の会社にしようくらいの感じでした。それほど深く考えて仕事を決めたわけでもなかったんですね」

 給料もよかったし、職場の人間関係も良好で会社は居心地がよかった、これといった不満もないが、そもそも金融の仕事自体に興味が持てなかったそうだ。起きている時間の半分以上を費やすのが仕事なわけだから、ある意味、致命的だ。

「生きる張り合いがないというか、毎日が楽しくないんですよね。さらにリーマンショックにぶつかって、それまでずっと昇り調子だった金融市場全体が急激に下がりはじめた。一部では今でも言われ続けていることですけど、資本主義の終焉が訪れているように勝手に思い込んでしまって、その渦中で仕事をしていると、自分が悪いことをしているような気分になってしまう……。そういうのもあって30歳くらいのときに、なんで働いてるんだろう? このままずっとこの仕事を続けていくのかな?という疑問が出てきて、他の職場がすごく気になりはじめたんです」

 当初はごく普通に転職活動をするつもりだった。しかし、転職エージェントに紹介されるのは前職の経験が活きる同業他社ばかり。これでは意味がない。

「そこで違う業界の仕事をいくつか紹介してもらうわけですけど、仕事の内容自体がよくわからないし、自分が本当に興味を持てるかもよくわからない。その頃、異業種交流のイベントにもよく顔を出すようにしていたので、そこで出会った面白そうな人に直談判をして、いろんな会社を訪問してみることにしたんです。ベンチャー企業やカフェの店舗など、自分でも何がやりたいのかわからないので、少しでも興味があることはお願いするようにしてましたね。その中のひとつにソウ・エクスペリエンスがあって、職場を見た瞬間にカルチャーショックを受けたんです。僕は金融系の会社だったので夏場でもスーツにネクタイが当たり前だった。ところがスーツを着ている人がまったくいないし、短パンにサンダルで出社している人がいたりするんですよね。これまで自分が知っていた世界はなんなんだ?っていう驚きがあって、初めて海外に行ったときのカルチャーショックに似ていると感じたんです」

「企業文化」という言葉があるが、大企業とベンチャー企業、レガシー業界とIT業界では、それこそ別の国に行くくらい文化も違えば人種も違う。「これも旅行のひとつなのではないか?」と田中氏は考えたのだ。また、「一日弟子入り」のような職場体験サービスがアメリカにあるという事実を知ったことも大きかった。さっそく当時通っていた自由大学の学生仲間にプレゼンしたところ、一気に可能性が開かれていった。

sab_04_w268「そのとき同じく受講生だった内田(※共同創業者の内田靖之氏)が興味を持ってくれたんです。自由大学は、講義内容以上に人に出会えたことが大きかった。これが起業のきっかけになりましたね。法人登記をした段階で会社を退職したんですけど、迷いはありませんでした。このサービス自体、人件費しかかからないのでリスクはないじゃないですか。借金があるわけでもないので、自分たちの生活費くらいなら最悪バイトをすればなんとかなる。ダメだったら会社勤めに戻ればいいし、教員になることもまだあきらめていません。ソウ・エクスペリエンス創業者の西村琢さんが自由大学の講師を務めていたこともあって、最初はソウ・エクスペリエンスと個人的に通っていた美容院や整体院に仕事旅行先になってもらうなど、身近なところからスタートしました」

結局のところ、もともと目指していた教職の仕事と、今やっている仕事の目的は同じ。人の可能性を広げていきたい

 仕事旅行社のサービスのポイントは、いかに魅力的な仕事体験ツアーを充実させられるか。起業後まずやるべきことは受け入れ先となるホストを探すことだが、これまでなかったサービスのため、受け入れ先としてもメリットがよくわからない。当初は20件打診して1件返信が得られるという効率だったそうだ。しかし、旅行会社というよりメディアとして捉えた場合、むしろメリットのほうが大きくなる。こうしたアプローチから受け入れ先を広げていったそうだ。

「出費があるわけでもなく、最初は掲載させてくださいというお願いになるので、メディアに紹介されるのと同じことなんですよね。とりあえず最初の3つの仕事体験でサービスが形にできたので、サイトを見せながら説明するというかたちで新規開拓を進めることができたんです。ホスト側からしても、採算目当てで引き受けるというより、プロモーションや採用活動の一環として、やる意義を見出していただけたんです」

 その後の課題となるのがユーザーに対するプロモーションだ。いくらいいサービスだったとしても告知をしないと、それを求める人がリーチできない。当初はフェイスブックやツイッターを使って自力でプロモーションをしているだけだったため、起業後3カ月間は申し込みがゼロだったという。この状況が変わるきっかけとなったのが新聞社の取材だった。

「その記事によってまた別のメディアが取材に来てくれるという感じで、早い段階で話題になったんです。メディアの紹介実績を使って受け入れ先のホストに事業内容を説明したりして、メディアには本当にお世話になりましたね(笑)。ホスト探しについては、雑誌やWEBサイトを参考にして自分たちからアプローチするパターンと、人から紹介してもらうパターンがメインですけど、今では弊社のサービスを知って先方から挙手されるというパターンが増えています。地方自治体との取り組みも増えていて、富山県高岡市の伝統工芸の仕事旅行がまさにそうなんですけど、仕事紹介メディアとしてご利用いただいてるんですよね。いずれも弊社が創りあげたいと考えている世界観に共感していただいていることが大きい。たとえ一般的に注目されている仕事でなかったとしても、お金を払ってまで自分の仕事を見に来てくれる人がいるっていうことは、うれしいことですよね。PR効果や人材採用というメリットだけでなく、自分の仕事に対するモチベーションアップにつながるという声も多く寄せられていますね」

「ユーザー=旅行者」の声はどうだろう。今とは違う仕事を体験することに彼らは何を求めているのか?

sab_05_w268「利用いただいている方の目的としては大きくわけて3パターンがあります。一つは現職のスキルアップのために使われるケース。もう一つが、占い師や探偵、職人仕事や地域の仕事など自分がまったく知らない世界を見に行くことで、知見を広げるといった目的です。三つ目が転職や独立のために情報収集をしたり、コネクションを作りたいという目的です。一方で、他の仕事を体験することで、逆に今の仕事の良さに気づいたという声も多くて、むしろ今の仕事を辞める辞めないはあまり関係がなく、他の世界を知ることで視野や仕事の幅が広がるということに価値があると思っていますね」

 多くの人が同様の目的でセミナーや異業種交流イベントに参加している。これらはすでにビジネスモデルとして確立されているものだが、実際の職場で仕事を体験できるという直接的なビジネスモデルはかつてなかった。

「セミナーとの違いをよく聞かれるんですけど、セミナーの場合は2時間ほどの限られた時間もあって、カッコイイ話しか聞けないものなんですよね。だけど仕事旅行の場合は、表も裏も本当のところが知ることができる。実際に職場を訪れてみると、雑然としたオフィスの様子や働いているスタッフの表情など、求人広告や雑誌の記事では見えないところまで見えてきますよね。ユーザーさんの要望として『もっと仕事の裏側を見せてほしい』という声がけっこうあって、それが魅力だとおっしゃられますね。ホスト側としてはリスクを感じるかもしれませんが、掲載されている会社やフリーランスの方は、みなさん自分たちの仕事に誇りを持っているので、負い目を感じるようなところがない。だから、けっこう裏も表も見せてくれるんですよね」

 これもまた旅行の感覚に似ている。ガイドブックで美しいビーチリゾートの写真を眺めるのと、実際に行ってみるのとではやはり圧倒的に違う。写真の一部だけ切り取られた世界とは違って、その裏には生きるために必死な物売りやナンパ目的のビーチボーイなど、様々な現実がある。地元の人に親切にされたり、ふっかけられて嫌な思いをしたり、そうした経験すべてをひっくるめて得がたい旅の経験になっているのだ。

「その仕事が好きか嫌いかは、やっぱり想像しているだけではわからないですよね。いい部分だけを切り取ったものを見るのではなくて、ありのままを見たり体験することでようやく自分の中の好き嫌いの判断がつく。それが当たり前のことのはずなのに、仕事に関してはそうした機会がないですよね。だったらそれを体験できるサービスがあればいいんじゃない?というシンプルなところからスタートしているんです」

 学生時代に教職の道に進むつもりだったが田中氏だが、紆余曲折を経て気づけば経営者である。しかし、結局のところ今もかたちを変えて教職の仕事をしているつもりだという。そう考えると、仕事旅行社のサービスは「大人のための進路指導」と言えるかもしれない。

sab_06_w268「僕の考える教職とは『人の可能性を広げること』なので、そうした観点では今やっていることも教育の一環だと思ってます。弊社のサービスを利用して、明日会社に行くのが楽しみになりましたという人や、次の日に転職しちゃいました、という人が実際にいるので、すごく人の人生に関わっているという実感がある。いまだに困難の連続ですが、それがあったから5年も続けられたと思います。結局のところ、僕のやりたいことは、おせっかいなんですよね(笑)。世の中のおせっかいおばちゃんとモチベーション的には何も変わらない。飲み屋で隣に仕事で悩んでいる人がいたら、いろいろアドバイスしたくなるじゃないですか。その感覚でひたすら続けている感じですよね。自分が素敵だな、面白いなって思った仕事や働き方を伝えて、『行ってきなよ』と背中を押してあげたい。そういうのがすべての根幹にあって、人と仕事をつなげていきたいんです」

田中翼氏を知る3つのポイント

座右の書/『高橋是清自伝』

「座右の書は毎度変わるんですけど、今読んでいるのがこの本です。高橋是清は30代半ばで国家事業としてペルー銀山の開発のために渡航するわけですが、実際に行ってみると、現地の人に嘘をつかれていて、銀山はすっからかんで負債だけ抱えて帰国することになる。そのとき連れていった従業員に給料が払えないという状況になって、本来なら国家事業だから政府を責めればいいのに、彼は自分の家を売っぱらって給料を払うんです。かっこいいですよね。結果的に2.26事件で暗殺されてしまうわけですけど、彼は軍国主義がどんどん進んでいく中で、軍費ばかりにお金をつぎ込むことは国家のためにならないとずっと言い続けていた人なんです。危険を承知で自分の考えを貫いていた人ですよね。テクニカルなビジネス書を読むよりも、僕の場合はこうした偉人伝を読むほうがよほど勉強になってます」

オフの過ごし方は「地元のバー旅行」

「休みの日は、基本的に子どもと遊ぶか、一人でバーに行くかのどっちかです。バーと言っても気取ったバーではなくて、地元の平塚の雑多な感じのするバーが好きなんですよ(笑)。都内でこれからの日本はこうあるべきだといった話をした後、平塚のバーでちょっと下世話な話で盛り上がる(笑)。両方を見ることが面白いんですよね。世の中は広いなぁと実感します」

個人的にお薦めの仕事体験ツアー

「僕が実際に体験して影響を受けたという点では、旅行家の藤原かんいちさんの仕事が第1位ですね。このサービスを立ち上げる当初にお会いしたんですけど、なかなかスケールしにくいビジネスモデルでいろいろ葛藤しているとき、『キミの目はくすんでいる』と言われたんですよ(笑)。真っ直ぐに僕の目を見ながら『僕はなりたい大人になれた』とはっきり言うんです。そんなこと、普通は言えないですよね。すごいかっこいいなぁと思いました。そう言われると、たしかに自分は迷ってんなぁって……。いろんな制約がある中で、『自分のやりたいように生きていけばいいんだよ。そしたら自分が出る』ということを言われて、わかりましたと(笑)。彼の影響で意志が固まったんですよね。あんなに破天荒な大人でも生きていける。自分はいろんな選択肢の中で迷って、小さなことに捉われていたんだと気づかされて、一気に視野が広がったんですよね」

取材・文●大寺 明  写真●高村征也

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