【エッジな社長・特別企画】イノベーションを起こす「型破り」な思考法をインキュベーターが伝授!山口高弘インタビュー

GOB Incubation Partners株式会社 代表取締役社長・山口高弘(やまぐち・たかひろ)
GOB Incubation Partners株式会社 代表取締役社長・山口高弘(やまぐち・たかひろ) 元プロスポーツ選手、19歳で不動産会社を起業。3年後に事業売却し、大学に進学。独立起業支援インキュベータ。企業内起業においても多くの事業立ち上げ、企業の新商品、サービス、事業開発に携わる。 GOB-IPでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、事業化支援、キャンプ等を実施している。前職の野村総合研究所ではビジネス・イノベーション室長を担い、主にイノベーション創出をテーマに新規事業開発支援を展開。 政府委員就任多数。著書多数。

就職か起業の二択ではなく、学生と社会の架け橋となる第三のキャリアパスを作っていきたい

 日本とアメリカのベンチャー企業を比べると、きっとアメリカの方が圧倒的に数で上回るだろう。新ビジネスのアイデアについても、私たちが目新しく感じている日本の新ビジネスは、アメリカのベンチャー企業の成功を受け、そのビジネスモデルをもとに生み出されたものが少なくない。マンガやアニメでこれだけ奇想天外な発想のできる日本人がアイデアや創造力に乏しいとは思えない。しかし、新規ビジネス創出においては、日米で歴然とした差があるのが事実。なぜこうした差ができてしまうのだろう?

 ある外国人投資家は、事業アイデアのひとつの考え方として、知人にそのアイデアを話したとき、誰もが「いいね!」と納得するようなアイデアは、すでに必ず誰かが事業化しているものだと話した。むしろ、大半の人が首をかしげるようなアイデアにこそ、新ビジネス創出の可能性が秘められているという考えだ。

 日米の差が生まれるのは、この点にあるのかもしれない。特に日本の企業社会では、先行するビジネスモデルの成功例を提示しないと、なかなかGOサインが出ない。これに対し、パイオニア精神が根付いているアメリカでは、未知の分野に挑戦することは、たとえ失敗しても評価される。だからこそ、若い世代が積極的にベンチャー企業を立ち上げ、彼らのアイデアに投資するインキュベーターという業種も成り立つのだろう。

 経営コンサルタントの山口高弘氏は、現在、企業の新規事業開発に携わりながら、一方でインキュベーターとして若い世代の育成にも取り組んでいる。社名の「GOB」とは、「Get out of the box」という意味。「枠から出よう」というメッセージだ。「イノベーション」に対する山口氏の考えを聞いた。

gob_sab03「学校を卒業した後の選択肢が日本ではほぼ就職しかありません。私は就職というものを、若い人の無限の可能性を枠にはめていくようなことだと常々思っていました。就職を選ばなければ、起業という道しかなく、選択肢が二つしかないのはおかしいと感じていたんです。学びで得た経験を活かして働く際、第3のキャリアパスがあっていいはずです。端的に言うと、ビジネスを自分で創っていく力を武器にして、自分のキャリアを自分でデザインする力を身につけてもらいたい。新ビジネスを創出することは、社内ベンチャーでもできることだし、自分で起業してやってもいい。まずは新ビジネスを創出する力を身につけてもらって、そこから先の実現化においてサポートする事業を展開しています」

 山口氏が展開している事業は、企業の新規事業開発に学生が参加するという、これまでにない試みだ。

「中小企業は沢山の新規事業の構想を持っているものですが、現在の事業にリソースが最適化されているため、構想はあっても事業を立ち上げる余力がないんです。そこで、まず学生をトレーニングした上で、私がメンターとして付き、プロジェクトにジョインしてもらう。学生はたとえアイデアがあっても、資金や環境といったバックアップがなければ実現できないものです。それを私たちが提供していく。いわば“半起業”といったキャリアパスを作る試みです」

 特にITサービスやアプリに関しては、企業で働いている人より、実際のユーザーである学生の方がよくわかっていたりする。彼らが考える「こうしたサービスがあればいいのに」という発想こそ、企業が求めるものなのだ。

「当初は、学生にできるの?と企業の方も半信半疑だったんですが、学生は既存の枠の中で発想しないので、思っていた以上に良い事業アイデアが出てくる。そこから先のキャリアパスは4つあると考えています。まず、一つ目が企業のスピンオフとして外部の立場で続けていくこと。二つ目が私たちの会社と契約し、社内ベンチャーとして参加することです。なぜかというと、いきなり独立起業しても、やはり事業開発経験が豊富でないと大半は失敗に終わってしまうからです。三つ目が社内ベンチャーとして段階を踏んでから独立してもらう。四つ目が、その企業に就職することです。私はそもそも就職面接というものをナンセンスだと思っているんです。それよりも実際にビジネスを創る力を評価してもらってから採用となった方がいいでしょう」

 山口氏の見立てでは、起業意志がある学生は、学生全体の0.5%程度だという。200人に1人くらいの割合だ。いわゆる既存のインキュベーターは起業を考えている沢山の人に事業アイデアを出してもらい、(彼らからすると)少額の出資をしてレバレッジをかけ、その中のごく少数が成功すればいいというビジネスモデルだ。これは起業意志のある人が大勢いなければ成り立たない。その一方で、山口氏はまず起業意志を持った若者を育成しようと考えているのだ。

「起業家の素質があっても、その才能の活かし方をまったく意識したことがない、という人が仮に10%いるとします。起業意志もなければ社会経験もない。順当にいけば彼らは普通に就職します。ところが、もともとは好奇心や先進的考えを持ったタイプなので、だいたい3年ほど経つとやる気をなくして会社を辞めてしまう。そんな層に対しておせっかいを働こうとしているんです(笑)。いきなり起業しましょうと言ったところでピンとこないと思うので、まず私たちが受託した新事業創造プロジェクトを経験してもらい、そこでピンときたらさらに先に進んでもらうという流れを作っていきたいと考えているんです。さらに出口は起業だけではありません。ビジネスを創り出す力を持っていれば、自分のキャリア、自分の人生を自分で切り拓いていけます。広い意味では、自分の人生を自分でデザインできる、その中の一つとして起業がある、こう考えています」

日本の教育に反発し、10歳から単身タイ生活。帰国後19歳で起業。異色の経歴を持つ経営コンサルタント

 山口氏が起業したのは2014年8月のこと。それまでは野村総合研究所のコンサルタントであり、ビジネス・イノベーション室長を務めてきた。シンクタンク出身というと、堅実な生き方をしてきたビジネスエリートを想起しがちだが、山口氏のこれまでの生き方はかなり型破りだ。なにしろ10歳で単身タイに渡り、ムエタイの修行に4年間打ち込み、義務教育のほとんどを受けていないのだ。人とは違う少年時代を過ごしたことが、常識の枠にとらわれない現在の考え方の原点となっているようだ。

gob_sab02「父がハンマー投げの選手で、子どもを学校に入れるより身体を鍛えさせたほうがいいという考えだったんです。そうした環境で育ったせいか、小学生の頃から日本の教育に対してすごく違和感があった。学校では前へ倣えや組体操をさせられますが、軍隊のように画一的に扱おうとする教育がとにかく嫌で、反発ばかりしていたんです。父が面談に呼ばれたんですが、そんなことをしている学校の方がおかしいと言う(笑)。そんなこともあって、10歳からタイのムエタイ・スクールに入ることになった。勉強も教えてくれる学校のようなところだったんですが、これが本当によかった。日本の教育のように先生が一方的に教えるのではなく、隣り同士でしゃべりながら歴史を学んだりするんです。食事も決まった時間に一斉に食べるのではなく、腹が減る時間は人それぞれだから、好きなときに食べていい。本当に個のペースに合わせて仕組みが設計されていましたね」

 しかし、さすがに将来のことを考えると、このままムエタイを続けるわけにもいかない。日本ではマイナーなムエタイでは職業として成り立たないからだ。帰国して高校に進学することになり、ムエタイからボクシングに転向した。プロライセンスも取得したが。山口氏は19歳でいきなり起業するのだ。

「大阪のジムに通っていたんですが、オーナーが体調を崩し、代理でジムのマネージャーを務めることになったわけですが、月謝を払えなかったり、校内暴力を起こして問題になったり、次々と練習生の問題が起きる。当時は校内暴力が社会問題になっている時代でしたが、荒れるにはやはり荒れる理由があって、家庭がめちゃくちゃな状況だったりするんですね。家庭がそうだと練習どころではなくなりジムに来なくなってしまう。これはボクシングのパフォーマンスを上げる前に、まず生活を整えないとダメだと思いました。そこで、今でいうシェアハウスのような家族単位の生活環境を作って、練習生を共同生活させることにしたんです。いわば不動産事業ですが、あくまでやんちゃな若者支援が目的で、当時はシェアハウスという言葉がなかったので『長屋』と呼んでいましたね」

 まさに今盛んに言われている社会問題を解決するための事業を3年半にわたって展開した。そのまま起業家として進む道もあったが、山口氏は事業を売却してしまう。大学に進学するためだった。

「OECD諸国の中で当時は日本だけが若者の権利を保障する法律がなかったんです。児童保護法はありましたが、それはかなりハードなケースを扱ったもので、親の虐待やひきこもりといった問題を抱える若者を対象とした法律がなかった。イギリスでは職業に就けない若者をジョブトレーニングする仕組みがあり、その根拠となる法律がある。日本でもこうした法律を作らなければいけないと考えたんですが、高卒の人間が法に携わるということは、日本ではほぼ不可能ですよね。その頃は新たな法律を作るためには、政治家か官僚になるしか道はないと思っていて、そのためにはまず大学に行く必要があると思っていたんです」

 ボクシング漬けの日々を送っていた山口氏は、受験勉強というものをしたことがなかった。大学進学を思い立ったとき、受験までわずか2カ月。普通に考えれば無理な話だが、山口氏はスポーツのメソッドを勉強に応用し、見事、同志社大学に合格。大学・大学院の6年間はずっとグループホーム支援の研究活動に専念した。卒業後はNPOを設立して内閣府の仕事をすることも考えていたが、いろいろ調べていくうちに、シンクタンクが内閣府の仕事を請けていることを知った。これが野村総合研究所に入社した理由だ。

「若者の支援をやらせてもらえるという話だったので入社を決めました。それから5年間はずっと若者支援の活動をしていたんですが、2009年に『子ども・若者育成支援推進法』が施行されたんです。もともとその法律を作るためにシンクタンクに入ったわけですから、目的がなくなってしまった。会社を辞めようと思っていたんですが、以前にシェアハウス事業をやっていたことから、新規事業開発の研究をしてほしいという話になったんです。企業がイノベーションを求める風潮になっていたこともあって、もうしばらく続けてみようと思いましたね」

 山口氏は義務教育も受けなければ就職活動もしていない。なのに自分の目指す方向をしっかりと歩んでいる。自分で選択し、自分で人生をデザインしてきたのだ。画一的な日本の教育を拒絶した少年は、大人になった今、自ら実践してきたこの生き方を、若い世代に伝えようとしているのだ。

常識を疑い、パターンを外して発想する。0から1を創り出すイノベーションの思考法とは?

 野村総合研究所時代、山口氏は数々の企業から新規事業開発の相談を受けてきた。最近になって「イノベーション」が時代のキーワードのように盛んに使われるようになったが、多角化を目指す日本企業には、昔から新規事業を創出しようとする観点があったという。ところが、イノベーションが叫ばれる今の方がむしろ新規事業開発がおこなわれていないと山口氏は言う。なぜなのか? 企業が抱えるジレンマについてうかがった。

gob_sab01「相談内容には大きく分けて三つあります。まず一つが、企業の中にノウハウがないこと。企業は0から1を生み出すプロダクトやサービスを創出していきたいわけですが、これまでやったことがないので、たとえ組織のエースを新規事業開発にあてがっても、失敗の連続という事態が起きたんです。そうなると、誰に任せればいいのか見当もつかない。そこでノウハウを持った外部の人間に協力を求めるようになったわけです。二つ目が、かといってずっと外部の人間に任せるわけにもいかないということ。そこで、社員をトレーニングしたいという要求が出てきた。三つ目が、社内合意の問題です。新規事業を生むには、まずコンセプトを作り、マーケットに投げ込み、反応を見ながら軌道修正していくというのが順当な方法ですが、その前段階で社内合意というステップがある。結果が見えないという理由で大概がそこでポシャってしまうんです」

 社内合意の問題については、ほとんどの企業が「企業体質」の問題ととらえ、イノベーションを起こすにはまずここから変えないといけないと考えるそうだ。もっともな話に思えるが、山口氏の考えは違う。

「企業体質に問題があるからジャッジができないというのであれば、役員を変えれば済む話です。根本の問題は別のところにある。まずコンセプトが問題なんです。優れたコンセプトであれば、どんな役員でもGOサインを出すものです。コンセプトとは、ターゲットに対して企業がどのような経験を提供するかです。そもそもこのコンセプトの筋が悪いため、誰もピンとこなくてジャッジのしようがない。企業体質を変える余裕があるなら、コンセプトを見直した方がいい。その次の段階が、インターナル・マーケティングをする際、どういうふうにコンセプトを見せていくかです。コンセプトの提示の仕方で変革を計っていった方がいいでしょう」

 イノベーションが求められるようになった背景には、やはりインターネットの存在が大きい。同時に、イノベーションのヒントもここにあるようだ。

「大きな流れが二つあります。一つがGoogleによる『検索革命』です。消費者と企業の情報格差がなくなり、小手先の事業はすぐに消費者に見透かされてしまうようになった。そうなると、よほどエッジが立ったコンセプトでないと誰も反応しないということになったんです。また、情報が洪水のように溢れている現代では、人々の脳のキャパシティがオーバーしてしまっているため、その負担を軽減しようとして消費者は自分が欲しいものしか見ない。消費者はピンポイントで検索するようになり、そこにハマらない限り見てもらえないという状況になった。もう一つが、Facebookによる『ソーシャル革命』です。『シェアする』という観点になると、右も左も同じ、といったものでは誰もシェアしない。この二重のショックにより、0から1を生むような際立ったコンセプトを作らなければ、新規事業はうまくいかないということが明白になってきたんです」

 90年代末、「情報ビッグバン」という言葉がよく使われていたが、この言葉はむしろ今こそふさわしいだろう。Facebookやtwitterでみんなが情報をシェアするようになったこともあって、常に情報の渦に巻き込まれているような状態だ。

「今の時代の情報量は、人間の認知限界を圧倒的に超えています。そうなったとき、人々がとる行動は積極的思考停止なんです。自分がウォッチしたいごく一部の情報以外、関心を持たない。思考停止している脳に届く情報というのは、複雑ではいけません。シンプルでなければ届かないものなんです。日本の家電メーカーは機能をどんどん追加しがちですけど、説明書があるようなものはもう受け入れられないと思います。理解に3秒以上かかると、人はそこで思考停止になってしまうからです。今の時代に求められるのは、むしろ『引き算をする発想』です。説明せずとも人々の生活に違和感なくとけ込むような設計にしていくべきなんです」

 企業が売上げを伸ばしたいとき、何かと機能やサービスを追加しがちだが、実際に人々が求めているのはむしろ逆のことだったりする。たとえば、よけいなサービスをなくし、短時間・低料金を打ち出したQBハウスがその典型だ。

「最新のマーケティングは、神経科学の領域になってきています。脳に刺激が入ってくると、合理的に判断するよりも先に感情に行きます。その後にロジカルな思考になり、そこでクオリティなどを考慮して購買に至る場合もあるのですが、基本的には感情が行動を決定します。感情は長期記憶によるパターン認識に左右されます。こういう出来事があればこうなる、という経験がリピートされることで長期記憶になる。これがクセもので、リピートされると脳は良くも悪くも大事なことだと認識してしまうんですね。そのため、これまでにない新しいサービスや商品を出していくことは、人々の長期記憶にないため、難しいことでもある。QBハウスの場合、散髪屋は『シャンプーをして髭を剃る』ものだという人々の長期記憶に対し、『カットのみ』というパターン認識に書き換えようとしたわけです。最初は違和感を持たれて苦労しますが、後発にとっては競合との競争に巻き込まれずに済むので、その方が可能性が大きいんです」

 QBハウスにせよユニクロにせよ、まったく新しい業態というわけではなく、散髪屋や洋服屋のビジネスモデルを書き換えたわけだ。世の中には短時間で前と同じ髪型にしてほしいという人もいれば、服を選んでいるときに店員に話しかけられたくないという人もいる。言われてみれば「なるほど」と思えるが、こうした逆転の発想を思いつくことは想像以上に難しいという。

「既存の商品やサービスを“箱”として捉えて、まずその箱はどんな形だっけ? ということを検討して、次に箱を解体してみる。そこから新しい箱を作っていくというイメージです。こうしたプロセスのほか、イノベーションを求める企業にはいくつかの提案をしています。まず、データを解析して、どこが伸びている、という発想は辞めましょうということ。また、『インサイト(潜在願望)』を引き出す提案もしています。100を1000にするという思考ではなく、まず特定の一人を想定し、その人の満たされなかった願望を発見していく。そして、それを実現させるためのアイデアを創っていくわけですが、その際、『パターンを外す』という思考法が、0から1のイノベーションを生み出していくんです」

イノベーションを起こす「型破り」な思考法3つ

若い世代へのアドバイス

「よく目的思考についてアドバイスをします。たとえば『20代の投票率をいかに上げるか』という問いに対して、60~70%の学生さんは、CMに誰々を起用すればいいとか、いきなりソリューションを言いだすんです。しかし、問題の原因がわかっていなければ、明らかにピントがズレた回答になってしまう。残りの20~30%の学生さんは投票率がなぜ低いかを考える。そこからソリューションを導き出そうとするわけですが、そうした思考回路になっている時点で、イノベーションは生まれません。投票率の低さが問題となる背景には、若者が政治に参加すべきだという論調がある。むしろこっちの方が問題だと捉え、その目的からすると必ずしも投票行動が必要とは限らない、そもそも政治に参加すること自体ナンセンス、というくらいパターンを外して問題の転換をはかれることが、イノベーターの思考法なんです。若い世代に対しては、思考のパターンをいかに外すかというトレーニングをしていますね」

行動力を生む「ドーパミン」の出し方

「行動力に溢れた起業家と一般の人の違いを脳科学的に言うと、ドーパミンが大量に分泌しているか否かです。逆にドーパミンが出ていないときに、やる気を出そうとしても無理です。このドーパミンは誰でも多く出せるようになります。それが“期待値との差分”です。たとえば、ボクシングの世界チャンピオンになりたい、と本気で願えば、今の自分とのギャップ(差分)ができますよね。ただし、ちょっと頑張れば叶うような夢だったり、無理かもしれないと思いながら努力しても、ドーパミンは出ません。どんどん期待値を上げていくことと、現状に対する圧倒的なリアルの直視、この両方が大切なんです」

座右の書/『共同幻想論』吉本隆明

「自己研さんのために本はとにかく沢山読みますね。ビジネス書ももちろん読みますが、もともと哲学書をずっと読んできていて、中でも吉本隆明さんの『共同幻想論』にもっとも影響を受けましたね。60年代末の学園闘争と期を同じくして書かれた本なんですが、世の中の仕組みは必要悪によって作られていくものであって、個人や家族が求めているものとは真逆のものができていくことが、かなり乱暴に論じられている。社会というものが本能的なものを抑制するための仕掛けであるとして、本来そんなものは幻想なんだと書かれているんです」

取材・文●大寺 明

イノベーションに結びつくアイデア発想法とビジネスモデル設計スキルを伝授。単なる教科書ではなく、「解説+ワークシート」がセットで用意され、これに取り組むことで自然とアイデアが生まれ、ビジネスモデルへと仕上げることができる。繰り返し使っていくと、アイデアとビジネスモデルを創り出す「型」が身につくはず。偶然ではなく再現性のある形で「事業を創り出す」能力を身につけることが本書の目的だ。事実このシートから生まれたアイデアで出資を受けるビジネスが続々と誕生している。アントレプレナー(起業家)志望、イントラプラナー(社内起業家)志望はもちろん、すべてのビジネスパーソン、学生にお薦めしたい。