草ベンチャーから始めよう。 求人業界に革新をもたらした成長企業は「仲間探し」から始まった。ビズリーチ代表・南壮一郎インタビュー

株式会社ビズリーチ 代表取締役社長・南 壮一郎(みなみ・そういちろう)
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長・南 壮一郎(みなみ・そういちろう)1976年静岡県出身。6歳から13歳までカナダのトロントで過ごす。帰国後、浜松北高等学校からアメリカのタフツ大学に進学し、数量経済学部・国際関係学部の両学部を卒業。1999年にモルガン・スタンレー証券の日本支社に入社。2002年より香港の投資会社PCCWグループの日本支社の立ち上げに参画。2004年より東北楽天ゴールデンイーグルスの創業に参画。2009年4月、株式会社ビズリーチを設立し、会員制転職サイト『ビズリーチ』をスタート。2010年に株式会社ルクサを設立。2012年にビズリーチのアジア版『RegionUP』開設。2014年に世界経済フォーラム(ダボス会議)の「Young Global Leaders」の1人に選出。2015年に求人検索エンジン『スタンバイ』をスタートした。

周囲から反対されても「やりたいこと」を人に言い続けるうちに、「草ベンチャー仲間」が集まりはじめた

 管理職とグローバル人材に特化した会員制転職サイト『ビズリーチ』がスタートしたのは2009年のこと。この転職サイトの画期的だった点は、求職者自らが会費を払って登録する求職者課金型のサービスだったことだ。これまでの求人業界の仕組みは、企業が求人広告費を支払う、あるいは人材斡旋会社に依頼するといった企業負担が基本だった。一見、求職者の負担がなくていいように感じられるが、エグゼクティブ向けの求人情報が見つけづらいことや、求職者が直接企業とやりとりしづらいといった弊害があった。転職は人生の大きな転機だ。その情報を得るために求職者が対価を支払うことは何も不自然なことではないだろう。

 こうした仕組みがこれまでの日本の求人業界にはなかった。現在、会員数52万人、利用企業数3800社という数字が示すように、『ビズリーチ』は多くの人が求めていた転職プラットフォームだったのだ。

 0年代以降、求人業界は求人誌市場から転職サイト市場に移り、さまざまな転職サイトがしのぎをけずっている。そんな中、後発の株式会社ビズリーチはわずか6年で従業員数551名にまで成長。「エッジな社長」と題して、これまでに数々のベンチャー企業を取材してきた当インタビューだが、551名規模のビズリーチを「ベンチャー」と呼んでは失礼にあたるのではないかと危惧していた。ところが、ビズリーチ創業者の南壮一郎氏は、当然のことのように「ベンチャーです」とにこやかに言うのだ。

bizreach_sub01「一般的には、社歴であったり、上場前であることがベンチャーの定義になると思うのですが、僕は成長し続けているかどうかがベンチャーの定義だと考えています。先日、アメリカに出張に行く機会があって、Googleを訪れたんですけれど、そこで『Googleは今もベンチャーなんですか?』と尋ねたら、『もちろん』と言う。Googleは毎年売上が1兆円伸びている。これだけ成長し続けている企業をベンチャーと呼ばずして、どこをベンチャーと呼ぶの?というわけです。ベンチャーの定義は“スピード”と“イノベーション”しかないと僕は思っている。スピードは間接的な要素で、実際に会社の業績や規模が伸びているかどうかが重要です。一般的な安定企業の伸び率は数%にとどまるものですが、ベンチャーは基本的に“革新”を起こすことで急激に伸びているわけですから、たとえ大企業になったとしても、“革新”を起こして伸び続けている企業はベンチャーなんですよ。そうあり続けるためにも“スピリッツ”がないといけない。僕は何十年と続く会社を創りたいのです。楽天は創業18年目、ソニーは創業1946年で従業員13万人超です。うちなんてたかが6年、ひよっこですよね」

 南氏はモルガン・スタンレー証券、香港の投資会社PCCWグループを経て、東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとなった異色の経歴の持ち主。6歳から13歳までカナダのトロントで過ごし、子どもの頃から「大リーグの球団オーナーになる」という夢があり、金融業界からスポーツ事業に転身した。そして現在は求人業界でインターネット・サービスを展開。こうした大胆な転身は、どういった考え方によるものだろう?

「僕は歴史が好きなので、行動を起こすときは常に歴史的な流れやタイミングを考えるんです。スポーツ事業をやりたいと思って模索していた頃、たまたま僕は50年ぶりの新球団誕生という歴史的瞬間に立ち会うことができた。楽天イーグルスの誕生は、社会の教科書や副読本にも記載される出来事なんですよね。そこで自分が歴史的な出来事に関わる面白さや感動を味わってしまったわけです。7年前、次のキャリアを模索していたとき、今の時代を象徴する出来事は何かと考えると、やはりインターネットだと思った。30年後50年後に今の時代を振り返ったとき、誰もがきっと『インターネット創世記に仕事をしていたな』と思いだすはずです。もっとインターネットを理解したいと思いましたね」

 意外なことに南氏は「起業家になりたい」と思ったことが一切ないという。球団を退職した際も、最初はインターネットを学ぶためにインターネット会社に転職しようと考えていた。ところが、いざ転職活動を始めてみると、なかなか希望どおりの会社にめぐり合えない。

「1カ月で27社の人材紹介会社のヘッドハンターにお会いしました。それ以外に情報収集の方法がなく、なぜこんなに不便なんだろう?と疑問を感じましたね。こうした不便なことをインターネットが直していくものだと考えたとき、結局それこそがイノベーションというものだと思ったのです。転職のほかにMBAで経営について学ぶことも考えていたんですが、海外のMBAに行くと2年間で2~3千万円くらいかかる。そのお金を使って自分でやってみた方が勉強になるのではと。机の前にずっと座っていることが苦手で、早く学校を卒業したかったくらいなのに、また2年間勉強する気にならなかったんですね(笑)」

 こうして南氏は新たな転職サイトの開設に向けて動きはじめる。しかし、求人業界の経験もなければ、インターネットにも疎いという状況。「インターネットのことがわかってない」と周囲からはことごとく反対されたという。

「わかってないよ、でも、やりたいんだ、と言い続けましたね。最初は全部自分でやろうとして大失敗した(笑)。まず外注のシステム開発会社を見つけて頼んだわけですけど、今振り返るとそんなやり方では絶対にうまくいくわけがない。それでも自分がやりたいことを人に言い続けて、とにかく方法を探していくうちに、少しずつ仲間が集まってきたわけです。だけど、いきなりベンチャー企業を立ち上げるほどの資金もない。集まってくれたみんなには『これは草野球と一緒だ』と話しましたね。みんなベンチャーをやりたいと思っているけど、家族がいたり経済的な理由があってできない。だけど、週末は草野球や飲み会に参加して、自分の好きなことに時間を使っている。『その時間で草ベンチャーをやろう』と話したんです。たしかに都合がいいと言われれば都合がいいかもしれない。だけど、その言葉がみんなの心に刺さったんですよね」

未知の体験をすることに価値を置いている。自分の映画を製作している感覚だから、どん底すらも楽しめる

 たとえ周囲が全員反対しても、前例がなくても、とにかく自分がやりたいと思ったらやってみる。南氏のこうした行動力は今にはじまったことではないようだ。カナダから帰国後、日本の中学、高校に進学したが、あるとき雑誌を立ち読みしていて、世界の大学ランキングで東京大学が40位台で、上位のほとんどをアメリカの大学が占めていることを知った。そこで南氏はアメリカの大学への進学を希望する。毎週末、青春18切符を使って往復10時間以上かけてアメリカの予備校の東京校に通い、見事、アメリカのタフツ大学に合格。自ら進路を切り拓いたのだ。

bizreach_sub02「今でこそ日本の普通高校からアメリカの大学に進学している人が沢山いますが、当時はほとんど前例がないことでした。まだインターネットもない時代で、情報もなかった。先生全員から絶対に無理だと反対され、英文の成績証明書を作成してくれないことを知ると、父親のワープロの『一太郎』で自作した英文の証明書を認定してもらいました。ちょうど僕は浜松北高校の100周年の卒業生だったんですが、海外の4年生大学に進学した初めての卒業生になった。自分なりの価値をどう行動で表現するか。これがいつも僕のやってきたことで、モルガン・スタンレー証券に入社したときも同期は8人だけで、当時の日本ではほとんど知られていない会社だったし、転職した香港の投資会社も日本支社の立ち上げだからベンチャーみたいなものですよね。楽天イーグルスも新球団の立ち上げだから、基本的に僕はずっとベンチャーなんですよ(笑)」

 華々しい経歴に見えるが、とんとん拍子で歩んできたわけでもないようだ。香港の投資ファンドを退職し、楽天イーグルスの創業メンバーになるまで、1年半のブランクがあるという。

「その間、フットサル場の管理人をやったり、テニス大会のコーディネイトをやったり、とにかく目の前のことを愚直に全部やってみるという極めて非効率なことをしていたわけです。当時は何が間違っていて何が正しいのかもわからなかった。それがいつもの僕のやり方で、まず自分で突っ込んでいって、うまくいかずにあがいて失敗して、それでもどこかに辿り着くまでやり続けるガッツだけだと思いますね」

 あがき続けた20代の頃の経緯は、後に『絶対ブレない「軸」のつくり方』という著書に綴られた。これだけ紆余曲折ある20代を過ごした人も珍しい。

「僕はこの15年間で、金融をやってプロ野球の仕事をして、インターネットの会社をやってというふうにある意味ブレブレなわけですよ(笑)。だけど、軸だけはブレていないと思っている。その軸が何かというと、その瞬間その瞬間で自分が“楽しい”と思ったものをとことんやるっていうことなんです。最初の仕事では金融は面白い!と思って一生懸命やって、それなりの成果を出すこともできたし、プロ野球の仕事も同じです。そして今はインターネットが面白いと思ってやっている。みんな決めすぎだと思うんです。好きなことってその時々で変わるものだし、これじゃなきゃいけない、というものでもない。やろうと決めたことを、とことんやり抜くっていうことが非常に重要で、人それぞれ努力する部分や価値観は違うと思うんですけど、評価は人がくだすものだから、人が認めるくらいやり抜いて、ちゃんと結果を出すことなのではないかと」

 中でも楽天イーグルスの経験は南氏にとってやはり大きかった。なにしろ、わずか半年間でゼロから球団を立ち上げるという不可能を可能にしたのだ。

「僕たち創業メンバーが楽天イーグルスから何を学んだかというと、『世の中に不可能はない』ということです。実際に半年で球団を作って、しかも数年後には巨人に勝って日本シリーズで優勝してしまった。選手と一緒にビールかけをしている自分の姿なんて想像しがたいことですよね。『仕事でこんなに楽しんでいいんだ』ということを実体験として味わってしまうと、もっとやりたくなるものなんですよね。不可能ではないことがわかっているから、もう一回できることがわかる。できるのにやらない手はないですよね。だから楽天イーグルスの創業メンバーは、ほぼ全員起業して今は経営者になっている。僕たちが特別すごかったわけでもなんでもなくて、あの瞬間あの場所であんな体験をしてしまって、ある意味、劇薬を飲んでみんな同時に覚醒してしまったようなものですよね。だから、ビズリーチに加わってくれたみんなには、僕が楽天イーグルスのときに味わった感動や昂ぶりというものを味わってもらいたいと思ってやっているところがある」

 一度登りつめた後、またゼロから始めるのが南氏のこれまでの生き方かもしれない。球団退職後、意図的に「1年間、仕事をしない」と決めたという。何もしないことをやり抜く。これもまた徹底している。

「仕事をしなくなると本当に何もしなくなることを知りましたね。仕事がないとまず一番困るのが朝起きる理由がないんですよね。10時半くらいに起きて、やることがないからネットを見たりして時間を潰していると昼どきになる。ランチタイムしかみんな遊んでくれないので、1日に2回昼ごはんを食べに行くんですよ(笑)。2時くらいにまたヒマになって、僕はマンガが大好きなので次はマンガ喫茶に行く。7時になるとみんな仕事が終わるので一緒に飲みに行って、次の日はまた遅い時間に起きて、また同じようなことをする。とにかく1年間は仕事をしないと決めていたので、それをやり抜くだけでしたね。人間って仕事をしなくなると、本当にやることがない(笑)」

 南氏にとってはそれも無駄なことではなく、貴重な体験のひとつ。「仕事以上に面白いことは世の中にない」と心の底から思えるようになった。

「僕は物欲がそれほどなくて、自分がそれまで知らなかった体験をすることに価値を置いています。起業家になるつもりもなかったけど、こうして会社が大きくなってくると、自分にとって未知のシーンが沢山出てくるわけですよね。昨年もダボス会議のYoung Global Leadersに選んでいただいて、世界の有識者が集まるなかで日本代表としてスピーチをする機会が得られたわけですが、それ自体の価値というより、そうした貴重な機会を味わっている自分が楽しいし、なかなかお会いできないような方ともお会いできるようになることが楽しいですよね。こうして今、取材を受けていることもすごく幸せなことです」

 南氏の「軸」をさらに掘り下げると、「新たな体験を求める」ことにありそうだ。どこか自分の人生を俯瞰して見ているようなところがある。

「新たな体験を求めるか求めないかは、その人の価値観だと思うので、僕のやり方がいいとも思わなければ、推奨するつもりもまったくない。僕はその時々で好き勝手やってきただけなので、参考にならないですよね(笑)。自分が知らないことを体験することは、いいこともあれば悪いこともあって喜怒哀楽さまざまな感情があるわけですけど、そうしたことを体験することが人生そのものだと思っています。よく座右の銘を聞かれるんですが、『ライフ・イズ・エンターテインメント』と答えています。仕事は人生そのものだと思っているから、もっと言うと『ビジネス・イズ・エンターテインメント』ですよね。今39歳になって人生の折り返しを迎えたわけですけど、墓場に入るときは『南壮一郎は人生を楽しんだ』と墓標に記されていれば本望です(笑)」

主役の交代こそがイノベーション。人材会社の主導ではなく、企業と人が対等な場を提供していきたい

 しかし、多くの人は南氏のように自分の価値観に忠実に決断し、行動することがなかなかできない。進路、転職、起業――私たちは新たな行動を取ろうとするとき、どうしても「リスク」を考えてしまう。しかし、よくよく考えてみると「リスク」とはなんなのだろう?「何もしないことが一番のリスク」という考え方もあるが。

bizreach_sub03「これは物語のワンチャプターだよね、と思えばいいんです。たとえば『ハリーポッター』が普通の家に生まれた普通の少年で、普通の仕事をしていたら物語として面白くないですよね。幸か不幸か魔法使いに選ばれて、悪の帝王みたいなやつに襲われる。主人公としてはどん底の気分なわけですけど、読んでいる側としてはそれが面白い。もっとどん底になっちゃえ、と思って楽しんでいたりしますよね。自分の人生も半歩下がって自分の映画を製作しているように思えれば、たとえどん底であったとしても、観ている人と同じ視点で笑ってやり過ごせばいいんです。もちろん実際にそれを味わっている人間はたまったもんじゃない。だけど、それくらいのことがあった方が人生は面白いと思うし、そこで死ぬわけでもない。最悪、仕事で失敗して失職することもあるかもしれないけど、働く意志さえあれば今の日本で食いっぱぐれることはあまりないですよね。そう考えたとき、何がリスクなんだろう?と疑問に思ってしまうのです」

 南氏は自らの人生を「プロデュース」している感覚なのだという。経営者という立場についても、「ベンチャーをやりたい」と考えていた仲間がやりやすい環境をプロデュースしているという感覚だ。

「だから、ビズリーチを自分の会社だとは一欠けらも思っていないし、みんなで創ったものだと思っているので、実務的な部分では僕もワンピースの一つとして役割を担うのみですよね。プロデュースした以上、自分もそれをやり抜かないと卑怯になる。もともと起業にそれほど興味関心があったわけでもないので、既存の会社で僕が面白いと思える事業があるのであれば、今でもその会社に入ってやってみたいと思ってしまうんです。先ごろインドネシアの高速鉄道計画をめぐって日本と中国が受注合戦を繰り広げていましたけど、それこそ僕がやりたい!と思いましたね(笑)。あんなにエキサイティングな交渉や事業はない。人生にリスクなんてないですよ。人生は楽しんだもの勝ちなんです。唯一のリスクは死ぬことだけ。それは誰にも平等に訪れるものなので、やりたいことが沢山あるなら、とにかく時間との戦いですよね」

 ビズリーチは常に新たな挑戦を続けている。タイムセールサイト『LUXA(ルクサ)』(その後、分社化)の開設をはじめ、キャリア女性のための転職サイト『ビズリーチ・ウーマン』や20代のためのレコメンド転職サイト『キャリアトレック』の開設など、常に『インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく』ことをミッションとしている。そんなビズリーチの新たなチャレンジが、求職者はもちろん企業や店舗の求人掲載も無料という求人検索エンジン『スタンバイ』だ。求職者課金型の『ビズリーチ』とはまったく逆方向のビジネスモデルに見えるが、南氏がやろうとしていることは一貫しているようだ。

「ビズリーチ創業前に事業の構想を考えていたとき、僕がもっとも念頭に置いていたことは『いかに破壊的なイノベーションが起こせるか』でした。それは、世の中の価値観をいかに変えられるか、ということでもある。最高のイノベーションが何かというと、僕は“主役の交代”だと考えているんです。求人市場でいうと、本来は求職者と企業のいずれかが主役であるはずなのに、日本では人材会社が主役になっていた。僕が7年前に転職活動をしたとき、これがもっともいびつに感じられたことでした。株取引でいうと、主役が株主と企業ではなくて証券取引所になっていた、という話ですよね。求人においては、やっぱり企業が主役であるべきだというのが僕の考えです。まず企業が目的をもって人を雇う。その目的を提供されて人は働くわけですよね。転職活動をしたとき、なぜ主体者であるはずの企業と、仕事を探している僕が直接話し合えないのか疑問でしたよね。本来は転職を支援するはずの人材斡旋会社が中間に入ることで、採用活動が不透明になることが多かったわけです。それこそがインターネットでダイレクトにやるべきだというのが、7年前に僕が気づいたことでした」

 これまでの求人業界では、数万円から100万円単位の料金を支払って求人広告を掲載する仕組みだった。中小企業やベンチャー企業にとってはかなり痛い出費だ。次に登場したのが、採用時に成功報酬が発生する新たなビジネスモデルだが、これも同じく企業負担である。それに対し、『スタンバイ』はGoogleの求人特化版のようなサービスであり、限られた広告スペースだけを収入源にすることで、求職者も企業も完全無料という求人業界のお約束を破るビジネスモデルとなっている。『ビズリーチ』同様“主役の交代”という目的は同じであり、誰でも利用できるマス向けの転職サイトとして、そのインパクトは絶大だ。

「昔からテレビが無料で番組を提供してきたように、視聴者が見たいと思うコンテンツさえあれば、いくらでもコマーシャルを貼れるはずですよね。Googleも同様にユーザーが情報を探すのはもちろん、検索ロボットが見つけてくるので情報を発信する側も無料です。インターネットは本質的にはマッチングするためのプラットフォームなので、障壁をなくすためには当事者同士を無料にしてフラットにすべきなんです。そうすることで雇用という沢山の取引が行われ、その場に価値が生まれる。多くの人が行き来する渋谷のスクランブル交差点の周りに沢山の看板広告があるのと同じことで、Googleをはじめ今世界でもっとも成功しているインターネット企業は、実際にそうしたビジネスモデルなわけですから、やはりそこを目指していきたいですよね」

 ためしに『スタンバイ』で職種のキーワード検索をかけてみると、『スタンバイ』オリジナルの求人をはじめ、大手転職サイトやハローワーク、会社HPの求人まで網羅され、「こんな仕事もあったのか」と実に新鮮だった。確実に「選択肢と可能性が広がった」ことを実感する。

bizreach_sub04「『スタンバイ』は、個人がすべての仕事の中から自分の仕事を『選べる』ということをインターネットで実現したかった。大企業で働くのも素晴らしいことですし、僕みたいにベンチャーでやるのもいい。どちらに魅力を感じるかは選択肢の選び方だけですよね。求人を掲載する側に関して言うと、資金力のある会社も3人の会社も条件は一緒なのでイーブンです。もっとも主体的、能動的に採用活動をがんばっている企業や店舗が、求める人材を採用できるという健全な競争環境をこの『スタンバイ』で実現していきたい。それを目指してこの6年間がんばってきて、やっとこの究極のプラットフォームにたどり着いたんです」

南氏を知る3つのポイント

「子どもの頃の大リーグの球団オーナーになるという夢は今も持ち続けています。僕は幼稚園から中学校までブルージェイズというチームがあるカナダのトロントという街で育って、周りにほとんど日本人もいなくて、本格的に日本語を覚えたのは中2からです。だから実を言うと日本の野球をあまりよく知らない(笑)。僕にとって野球というと、やっぱり大リーグなんです。10歳のときに思い描いた夢を大人になった今も持ち続けるのは素敵なことだと思うし、夢って嘘でもなければ人に迷惑をかける話でもない。夢って叶わないほうが楽しいものですよ。それくらい大きな夢ということだから」

ビズリーチの採用方針

「基本的には全員が人事担当です。常に会社が成長し続けるためには、やはり“仲間探し”が重要です。社長であろうが新卒であろうが、採用というのはみんなが貢献できる事業づくりの活動であるべきだと思うんです。強いサッカーチームを作ろうと思ったら、強い選手を集めてきますよね。それと同じで、知り合いに優秀な人がいたら、その人が自分の会社に入ってくれたほうがいい。なぜみんなそうしないのかというと、人事の仕事だと思い込んでしまっているんです。結局、会社の強さっていうのは人の強さであって、全社員が採用に参加すべきです。うちは2014年度に200人ほど中途採用しましたが、その半数が社員紹介です。これこそが会社における究極の主体性だと思っている。みんなが採用にコミットする意識がワークしている企業ほど強くなっていくものだと考えています」

人呼んで「ビジネスモデルヲタク」

「ビジネスの仕組みを知ることが楽しいですよね。どの会社にも儲け方のカラクリがあって、それは決して悪いことではなくて、何かしらの価値を提供して対価をいただく、というビジネスのポイントがある。それを徹底的に調べて研究することがまず面白くて、それをこうしたらもっと良くなるんじゃないかと考えることがさらに好きなわけです。新たなビジネスには“組み合わせ”と“妄想”が必要だと思っていて、妄想は『こういうものがあったらいいよね』とか『こういう解決法があればいいのに』といったイメージですよね。組み合わせについては、基本的に現代のビジネスはほとんどパターン化されているので、別の業種のやり方を持ってきて組み合わせることで、新たなビジネスモデルが成立するかもしれない。そういうことを考えるのが好きで、調べているときは『誰も話しかけないでくれ』というくらい集中します。ほとんど趣味ですね(笑)」

取材・文●大寺 明  写真●高村 征也

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