家庭の手助けをネットで頼める、新たな助け合いコミュニティとは?エニタイムズ代表・角田千佳インタビュー

株式会社エニタイムズ 代表取締役、CEO・角田千佳(つのだ・ちか)
株式会社エニタイムズ 代表取締役、CEO・角田千佳(つのだ・ちか)慶應義塾大学法学部政治学科卒。2008年、野村證券株式会社に入社。2010年に大手IT企業へ転職し、PR事業に携わる。2013年5月、株式会社エニタイムズを設立。同年末、日常のちょっとしたお困りごとを簡単に依頼・請負できるサービス『ANYTIMES』をリリース。海や山、自然が大好き。

近所付き合いが希薄化した今、インターネットを使って新しいかたちの近所の助け合いを再構築したい

 日常のちょっとした困りごとは、むしろ“ちょっとしたこと”だからこそ困ってしまう。たとえば旅行中の観葉植物の水やりやペットの世話、一人では動かせない家具の移動など、誰かがちょっとだけ手を貸してくれればすむ話だが、一人暮らしではそれもままならない。かといって専門業者も見当たらないし、便利屋に頼むとそれ相応のお金がかかる。

ANYTIMES(エニタイムズ)』は、こうした家庭の困りごとを近所の人に手伝ってもらうためのマッチングサイトだ。ユーザーは依頼したい内容と金額を決めて応募を募り(見積りも可能)、それをやりたいという人がいれば仕事が成立する。制約金額の15%が手数料となるが、家事代行会社や掃会社といった事業者が介在しないため、依頼する側の金銭的な負担が軽く、仕事をする側にとっても比較的いい報酬が得られることが多いという。

 クラウドソーシング・サービスにも近いサービスだが、『ANYTIMES』はオンライン上で完結するものではなく、直接、人と会って仕事をすることが基本。創業者の角田千佳さんに話を伺ったところ、そもそもコンセプトからして他の仕事マッチング・サービスとは異なるようだ。

anytimes_sub01「もともと地域の互助会的なシステムを作りたいという思いから始まっています。昔だと、ちょっとした荷物運びや家具の移動をしたいとなったとき、近所のおじさんや大学生が手伝ってくれたり、隣のおばさんが子どもを預かってくれたりといった助け合いの文化があったと思うんです。ところが今は近所付き合いというものが希薄化されてしまって、頼める人が周りにいないという状況です。インターネットというものを使って、近所のつながりを新しい形で再構築できないかと考えたんですね」

 実際どういった依頼が多いのだろう?

「家事代行や掃除といった訴求をうながすようにしてきたこともあって、やはり家事系の依頼が多いですね。最近だとAirbnbの掃除の依頼も増えています。世界的にプロの業者さんが増加していて、どうやって部屋掃除の業務を回していくかとなったとき、うちのサービスと親和性が高かったのだと思いますね。珍しいケースでは、サッカーの審判や花火大会の場所取り、人気カフェの行列に並んでほしい、といった依頼もありますね。基本的に“ちょっとした用事”というものであれば、公序良俗に反するものでない限り何でも依頼することができます」

『ANYTIMES』は依頼のカテゴリーを設けることで、ひと目でわかるサイトデザインになっている。説明せずともサイトの使い道がわかるという見せ方だ。

「最初は何でも依頼できるという形にしていたんですけど、そうすると、何を依頼していいのかわからない、という声が非常に多かったんです。そこで、ある程度カテゴリーで選べるようにしたり、人気メニューといった形でパッケージ化することにしました。実は年明けにフルリニューアルします。サイトの仕組み自体は変わらないのですが、よりシンプルにして使いやすくしていきたいですね」

 現在のユーザー層は、ITリテラシーが高い首都圏の30~40代が中心。もともと「地域の互助会的なシステム」をコンセプトにしていることもあり、リニューアル後はITに不慣れなお年寄りにも簡単に使えるサイトにしたいという考えだ。

「高齢者の方に使っていただきたいと考えてこのサービスを始めたんですけど、実際はデータでも明らかなように、年齢が上がるにつれてこうしたサービスが受け入れられなくなっていくものなんですね。それが一番の課題で、次に使い方がわからないといった問題があります。まずはITリテラシーの高い層にしっかり利用してもらえる形を整えて、その後、彼らが自分の両親や祖父母の世代に教えていくというふうに広まっていくとよいですよね」

 たしかに便利なサービスだが、見知らぬ人に何かを頼むのはちょっと不安でもある。特にネット上のマッチングサイトというと、有象無象が入り乱れる混沌とした状況になりかねない。こうした人と人とが直に交流するサイトでは、クリーンなイメージを打ち出していくことが求められるだろう。

「サイトを作る際に大きく意識したことが二つあります。一つはブランディングで、安全性や安心といったイメージを作っていくこと。そのためにも“ご近所のお手伝い”というコンセプトを前面に打ち出して、それ以外の依頼がなるべく入らないようにしています。さらに言うと、このサイトを使って誰かに依頼することがカッコイイというイメージになったり、逆に仕事を提供する側も、家事代行会社や清掃会社に雇われて仕事をするより、あくまで個人として仕事をしたほうが自分の自信やブランドになるというイメージをいかに定着させていくか。もう一つはオペレーションの強化です。常にスタッフがサイトをパトロールして、公序良俗に反する依頼がないかをチェックして注意をうながしたり、場合によっては削除するという取り組みをしていますね」

 他のクラウドソーシング・サービスはBtoCの取引きが多い事業モデルだが、『ANYTIMES』はCtoCが大半を占める事業モデルであることが特徴的だ。

「依頼者とサポーター(仕事提供者)がすごくフラットな関係なんですね。BtoCの場合は、お金を払っている側の方がえらい立場という関係になりがちで、そのため価格競争になって、とにかく低価格になることが多いですが、弊社のサービスの場合は、依頼する側も一個人の方が多いですし、サポーターも一個人として自信と誇りを持って仕事をしている方が多い。そのため激安の依頼にはそもそも応募が入らないので、自然と相場ができてくるんです。依頼者にしてみても業者への中間マージンが発生しないので、専門業者に頼むよりずっと安く依頼することができると思います」

子どもの頃の夢は途上国の開発援助の仕事に就くこと。海外を訪れるうちに、むしろ日本に目が向かうように

 角田さんは20代のうちに起業した。その若さでかつてないサービスを設計・運営していることにも驚くが、それ以上に社会的課題を解決したいという明確な目的を持ち、それを実践しようとしていることに目を見張る。聞くところによると、小学生の頃から漠然と起業を意識していたという。

anytimes_sub02「子どもの頃から読書が好きで、緒方貞子さんの本を読んでからずっと憧れていました。その影響で将来は途上国の開発援助の仕事をしたいと思うようになって、国連やJICAの職員になるか、もしくはそうした事業を自分で立ち上げるのもありかな、ということをなんとなく考えていたんですね。だから、起業に限った話ではなく、むしろ国連職員になろうという考えのほうが強かったですね」

 緒方貞子さんというと国連高等難民弁務官として難民支援活動に人生を捧げた女性。どういったところに共感したのだろうか?

「緒方さんが参加する以前の国連は、かなり官僚的な組織だったようです。日本人で、しかも女性が国連のトップになるのは初のことで、最初はすごく弱い立場なんです。それでも緒方さんは官僚的な組織に対して堂々と発言して、しかも自ら現場に赴く現場主義を貫くことで官僚的な組織を変えていったんですよね。彼女が訪れた10分後にテロが起きるような場所にも赴いたりして、数々の功績を残しているのですが、本を読んでいるとまったく奢ったところがない。ただ難民となった人に尊厳を与え、人間らしい生活を送ってもらいたいだけだとおっしゃるんですね。それを許さない社会状況に怒りをおぼえるから活動をしている。本当に素晴らしい生き方だと感じて、感動しましたね」

 大学生時代の角田さんはチアダンスに没頭し、週7日練習というストイックな生活を送ったという。今しかできないことをとことんやろうと考えたのだ。

「小学生のときからバレエをやっていて、中高生のときはずっと創作ダンスをガッツリやってました(笑)。大学でもチアダンスなので、ずっと運動を続けてきたんですよね。子どもの頃は男子よりも足が速いくらいで、スポーツが大好きな子どもでしたね。それもあって大学卒業後の進路を考えたとき、すぐに国際協力の仕事に就こうとは思えなかったんです。なにしろ私はこれまでずっと体育会系の世界で育ってきて、社会人経験もなければ勉強にも力を入れてこなかった。国際公務員になるには大学院を修了する必要があったので、まず勉強し、社会人の基礎も作ってからにしようと考えたんです」

 こうして角田さんは野村證券株式会社に入社。将来的に自分で事業を立ち上げるにしても経済の仕組みを知る必要があると考え、金融業界を選んだ。昔ながらの大企業でビジネスマナーや営業については学ぶことができたが、3年目で転職したため、金融の深い部分を学ぶまではいかなかったという。そして次なる職場は、大学時代にインターンを経験した株式会社サイバーエージェント。当時のマネジャーが子会社を立ち上げることになり、角田さんに声がかかったのだ。

「新たに事業が創られていく場面を見てみたいと思って転職を決めたんですが、違う国に来たんじゃないかっていうくらい違いを感じましたね(笑)。むしろ真逆の世界を経験できたことは自分にとって良かったと思います。そもそも職種自体が違っていて、その子会社はPR事業でした。CMや広告でPRする従来の方法ではなく、WEBメディアにキャンペーンを仕掛けてニュースとして取り上げてもらうなど、なるべくお金をかけずにPRするという事業でした。WEB上で話題になると、今度はテレビに最新のトレンドとして取り上げられたりして話題が広まっていく。その仕組みをゼロから考えなくてはいけないわけですが、新規事業なので先輩や上司が教えてくれるわけでもない。まったく未知の業界に入ったばかりなのに、なんか考えて、と言われるんですよね(笑)」

 新規事業の立ち上げというと、ある意味ベンチャーにも近い経験だ。実際に起業を経験した今はどう感じているだろう?

「大会社に守られていて環境もすべて整った中での新規事業なので。やはり本当の意味でのベンチャーとは違いますよね。それは自分で起業してみてから実感したことで、当時の自分としては、会社の仕組みを目の当たりするいい経験だったと思います。それまでは大企業の末端の末端という感じで、会社がどういう仕組みで回っているのかまったく見えなかったのが、7、8人ほどの組織だとそれが見えるわけです。業績も全部見えるので、数字を見ながらドキドキしたりしてましたね(笑)」

 サイバーエージェント時代も国連職員を目指して大学院に進学するための勉強は続けていたという。ところが、新たに事業を興す場面を目の当たりにすることで考え方が変わった。

「もともと途上国の援助、いわば街づくりをしたいという思いから国連職員を目指していたわけですが、国際公務員という官僚的な制約の中でやるよりも、自分で事業を興したほうが柔軟に動けるんじゃないかと考えるようになったんですね。自分の向き不向きや好き嫌いで考えても、そのほうが性に合っている。そこで、これまで漠然と考えていた起業をはっきり意識するようになったんです。具体的に何をするか? そう考えたとき、海外の事業をやったこともないですし、リレーションがあるわけでもない。いきなり海外で事業をやるのは難しいことがすぐにわかって、まずは自分の身近なところから街づくりをしていこうと考えたんです」

 大学の卒業旅行で友人とインドを旅したことを皮切りに、角田さんは社会人になってからもフィリピン、アゼルバイジャン、グルジア、インドネシアといった新興国に足を運んだ。実際に途上国の人々の暮らしを目の当たりにしたことが、かえって日本に目を向けるきっかけにもなった。

「それまで途上国というと、食べ物も乏しくて幸せではないようなイメージを持っていたんです。それが最初に行ったインドで衝撃を受けましたね。子どもたちに歯ブラシをあげたら大喜びで使ったりしていて、むしろ幸せの尺度が豊富というか、ちょっとしたことでも幸せを感じて楽しんでいたりする。そんな姿を見ていると、貧困だから不幸せというわけでもないんだな、ということを実感しました。逆に東京に生まれ育った私たちよりも幸せそうに見えたりして、助けたいと思っていたのは一方的な押しつけだったように感じましたね」

自分で決めた選択を正解にしていくことが社長の仕事。そう考えたとき、本当にやりたいことが見えてくる

 新興国の人々の暮らしは、日本に比べると物質的に恵まれていないかもしれないし、不便かもしれない。そのかわりみなエネルギッシュで生き生きとして見える。日本社会が発展していく過程で失ってしまったものを私たちは彼らの姿に見つけるのだ。その一つとしてあるのが、共同体が失われ、個人が孤立化してしまったこと。角田さん自身、多忙な会社員時代に一人暮らしであったため、人の助けを必要とし、よく便利屋に依頼していたという。これが事業アイデアのヒントになった。

anytimes_sub03「まずネットで便利屋さんを調べるわけですけど、いろいろオプションが付いて最終的に高くなるんですよね。なぜこんなに高いんだろう?と思って、HPをよく見るとフランチャイズだったりするんです。初期費用で加盟金が200万円くらいかかって、仕事が成約するごとに親会社に20%のマージンを取られるといった仕組みですから、その値段設定になるのも仕方がない。でも、実際にお願いしていることというと、難しい家具の組み立てや家具の移動だったりして、普通の大学生でもできることなんですよね。そうしたちょっとした作業でお金を稼ぎたい人がたくさんいるはずだと考えたことがきっかけになりましたね」

 こうしたかつてないサービスを考えついたとき、気にかかるのが個人間取引きの法的問題や個人間トラブルの問題だ。これに関しては真っ先に弁護士に相談して法的に何も問題がないことを確認した。しかし、やはり一番の問題は、いかにアイデアを形にするかだろう。

「プロダクトがある程度できてから会社を設立するケースが多いと思うんですけど、私の場合は、会社勤めをしながら二足のわらじでやっていくことに納得ができなくて、退職して会社登記をしてからプロダクトを作りはじめたんですね。周りに起業を経験した人がまったくいなかったので、誰にも聞けないことが一番苦しかったですね。友人や知人に相談しても、うまくいく、と言ってくれた人はほとんどいなくて、何度もへこたれそうになりました(笑)。しかも実際に見積もりをとってみると、考えていたよりもずっと時間もお金もかかるということがわかってきたので、前職の知見も活かせる会社をもう1社同時に立ち上げることにしたんです。それなら初月から売上が立つので、当面はその会社の仕事で生計を立てていました。貯金がゼロになったのでそうするしかなかった(笑)」

 もう一方の会社がすぐに軌道に乗ったことが大きかった。実はこの会社のほうでも街づくりに関する事業を試み、アプリ制作も手がけながらリリースせずに終わるなど、迷走し続けた1年間だったという。

「勉強のための1年だったと思うようにしてますね。最初の頃はサイトのデザインとプログラミングの違いすらわからないほどで、pptでデザインさえできればスタートできると思っているくらいの状態でした(笑)。今でも勉強中ですけど、今くらいの知識があれば、たぶん10分の1くらいの時間でもっと効率的にいいものができたと思う。だけど、インターネットサービスの難しさというものをよくわからない状態で始めたことが、逆に強みとなって功を奏したのかな、とも思っています。もしわかっていたら、もっと時間をかけて準備をしたかもしれないし、メンバーが集まるまで始めなかったかもしれないですよね」

 出資を受けられることが決まり、その条件として『ANYTIMES』に専念することを求められたこともあり、もう一つの会社は休眠することになった。いよいよ本格始動といったところだが、かつてないサービスだけあって今度はいかに世の中に認知してもらうか、という難題が待っていた。

「サイトをオープンしたら勝手に人が来てくれるように思っていたんですが、当然、来ないですよね(笑)。なるべく宣伝広告費を使いたくなかったので、近所でチラシをポスティングしたり、ママイベントの会場近くでチラシを配りながら話しかけてヒアリングしたり、アナログな方法で宣伝をかけていきましたね。他には、ありとあらゆる掲示板に書き込んで募集をかけたり、便利屋さんや清掃業者さん、カメラマン専門学校などに電話営業をしましたね。便利屋さんは個人事業主の方が多いので、フランチャイズを退会してうちで登録して仕事をしたほうがお得なんじゃないかと考えたんですけど、違約金が発生するのでそんなに簡単な話でもないようでしたね。だけど、そこで営業し続けたことでいまだに『ANYTIMES』を使ってくださっている方もいらっしゃいます」

 そして2年目に入った今後の課題は、前述のようにいかにブランディングしていくか。現在はコミュニティ・マーケティングに注力し、オウンドメディア『ANYLIFE』で新しい働き方を提案するほか、「アンバサダー制度」を設け、彼らがサポーターのリーダー的存在としてワークショップを開催するなど、ユーザーの意識を高めていくことに努めている。

anytimes_sub04「アンバサダーさんはただこのサービスを使うだけではなくて、広めてくれる方たちだと考えています。私たち運営する側が評価をすることで、エニタイムズのメンバーなんだという意識を持ってもらって、さらにモチベーションを高めてもらえるとうれしいですよね。そうした強いファンの方々がこのサービスを作っていくものだと考えているんです」

 運営サイドの取り組みの一方で、直接、人と顔を合わせる『ANYTIMES』の仕事では、人の感謝も見えやすく、自然とモチベーションが向上している人も少なくないようだ。

「実は私もユーザーとして依頼をしているんです。先日、よく家の掃除をお願いしている私の母親くらいの年代のサポーターさんと話をしていて、最近どういう仕事をしてますか?と聞いてみたんですね。すると『来月は仕事でほぼ毎日埋まったのよ』とおっしゃるんです。幼稚園に通う子どもの送り迎えという仕事なんですけど、どうやらお母さんのお腹に赤ちゃんがいて1カ月だけ頼みたいという依頼だったようです。バスの移動時間や交通費がかかるため、時給換算するとそれほど利益の出ない案件だったらしいんですけど、『仕事ができることが嬉しいし、お母さんが助かると思うと嬉しいからやるのよ』とおっしゃるんです。私が運営者だと知ってそうした話を聞くのと、まったく知らずにぽろっと出た言葉として聞くのとでは、やっぱり嬉しさが違いますよね。思わずありがとうございます!と言いそうになってしまって(笑)」

 最後に経営者という決断していく立場についての考え方を聞いた。それは同時に起業を志す人へのアドバイスにもなっていると思う。

「まだえらそうなことは何も言えないんですけど、結局、何かを選んで決めていくことって、時間を巻き戻してやり直せるものでもないですから、最終的にそれが正しかったかどうかという正解は誰にもわからないものだと思うんです。自分が選んだ選択を、どう自分で正解にしていくか。それが社長の仕事なんじゃないかと思いますね。そう考えたとき、本当にシンプルに自分が何をしたいのかが見えてくるものだと思うんです」

角田氏を知る3つのポイント

座右の書/『難民支援の現場から』(緒方貞子著)

「緒方貞子さんはいわゆる常識を逸する生き方をしてきて、それが彼女の人間性そのものを表していると思うんです。そうした生き方にまつわる話とともに、これまでの彼女の難民支援活動が書かれていて、子どもの頃に読んで考えさせられましたね。日本で普通に暮らしていると、世界の難民問題について深く考えることってほとんどないですが、緒方さんは国連高等難民弁務官という官僚的な組織のなかで、現場主義を貫いて難民支援の在り方を変えていったんです。働き方や生き方のスタンスを学べるし、勇気をもらえるんですよね」

仲間集めの方針

「起業当初は友人に自分がやろうとしていることを話すことで、人を紹介してもらったりしてメンバーを集めていきましたね。当時は私がやろうとしていることに賛同してくれる人であることを最重要視していて、今思うと勘みたいなものでしたね。あとは即戦力になるスキルがあるかどうかという基準だったんですけど、今はいろいろ経験して反省した結果、採用の基準を二つに絞ってます。まず会社のビジョンに心から共感してくれる人で、そこへ向かって一緒に歩んでいけるか。もう一つは素直な人であること。素直で謙虚な人というのは、現時点ではそれほどスキルや知識がなかったとしても、成長機会さえあればいくらでも吸収して成長していくものだと思うんです。特に、まったく新しい事業を創っていこうと考えたときには、今までのプライドや固定観念がネガティブになることもあります。むしろ学歴や職歴、スキルといったものよりも、その二つを重視していますね」

リーダー・社長という仕事

「まだ3年目なので自分でリーダーというのもおこがましいくらいなんですけど、私が昔思い描いていた社長やリーダー像というと、その会社の中で一番能力が高くて、カリスマ性もあって人を引っ張っていける人、というイメージだったんですが、必ずしもそれがリーダーの条件でもないのかな、と思うようになりましたね。むしろリーダーの役割は、全体を見てメンバーが働きやすい環境を作っていくことであって、能力でいうと、自分よりもずっと高い能力を持った人たちが集まった組織のほうがはるかに強いと感じていますね」

取材・文●大寺 明  写真●高村 征也

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